「嗜好」の意味や読み方とは?例文・類語や「嗜好品」の種類も解説

「嗜好品」というと何をイメージしますか?「嗜好」という単語は、「嗜好を持つ」などの表現でも使われますが、本記事ではこの「嗜好」の意味と使い方について詳しく解説します。また、「嗜好品」の具体的な種類や、類語・対義語・英語表現などの関連用語も併せて紹介します。

「嗜好」の意味や読み方とは?

「嗜好」の意味は”好み親しむこと”

「嗜好」の意味は、“たしなむこと・好み親しむこと”です。端的に言うと「人の好み」を意味すると言えるでしょう。

「嗜好」の「嗜」は、「たしなむ(嗜む)」とも読み、「何かを好んで親しむ」という意味があります。「嗜む」は、食べ物以外にも芸事にもよく用いられる表現です。

「嗜好」の読み方は”しこう”

「嗜好」の読み方は、“しこう”です。

「嗜好」の使い方と例文とは?

「嗜好を持つ」「嗜好に合う」と使う

「嗜好」という単語は、「嗜好を持つ」「嗜好に合う」といった表現でよく用いられます。「嗜好を持つ」というのは「好む・好みがある」のニュアンスに、「嗜好に合う」は「好みに合う」というニュアンスです。

例文
  • 彼は独特な嗜好を持っている
  • 嗜好の合わない人と二人きりで過ごすのは神経を使う
  • 日本人の嗜好に合う商品だと思う

「嗜好に刺さる」は口語的表現

「嗜好」はしばしば「嗜好に刺さる」という表現で用いられることがあります。この場合の「刺さる」は、「強い衝撃を受ける・強く印象に残る」という意味で使われていて、「嗜好に刺さる」の形で「自分の嗜好(好み)にぴったりと合う・強い影響を受ける」といったニュアンスとなります。

例文
  • 私の作品が嗜好に刺さる人に届くといいな→好んで親しんでくれる人に届くといいな
  • 奇抜なキャラクターだけど、誰かの嗜好に刺さるのかな→こんな奇抜なキャラクターを好む人がいるのだろうか

「嗜好品」とは”楽しむために摂取するもの”のこと

「嗜好」という単語の一番の使用例が「嗜好品」でしょう。「嗜好品」とは、主に飲食物に対して使われる表現で、「栄養摂取ではなく楽しむために摂取するもの」という意味です。そのため、単なる「好み」「好き嫌い」を意味する言葉ではありません。栄養のためではなく、楽しむため、ストレス解消のために摂取されるものが「嗜好品」と呼ばれます。

「嗜好品」の種類は多種多様

「嗜好品」の代表例と言えば、酒類やたばこが挙げられるでしょうか。「嗜好品」は飲食物に対して使用されることが多いですが、食品や飲料以外にも、車やバイクなどを指すこともあります。

例文
  • ビール、ウイスキー、焼酎などの酒類
  • ジュースなどの清涼飲料水
  • コーヒー、紅茶などのお茶類
  • ガム、スナックなど菓子類

「嗜好性」とは”好んで食べるかどうかの指標”の意味

「嗜好性」とは、”(人や動物が)好んで食べるかどうかの指標”のことです。「嗜好性が強い」などといった表現で用いられます。たとえば、親が甘党で家に常に菓子類がある場合、子供もそれに感化され菓子類への強い嗜好性を示すことがあります。このように、食品の性質だけでなく、環境によっても嗜好性は左右されると言われています。

「嗜好」の類語とは?

類語①「趣味」は”意識的に楽しみ愛好するもの”

「嗜好」と似た意味の言葉には「趣味」が挙げられます。たとえば、「音楽観賞が趣味です」などというように、日常的にもよく耳にする表現です。この「趣味」には、「(専門家としてではなく)楽しみとして愛好するもの」「好み」という意味があります。

「趣味」は、そのために時間を割き、没頭するという人も多いように、「意識的に愛好するもの」というニュアンスを含むのが特徴です。一方の「嗜好」は、「嗜好品」に代表されるように、生活に密着していて無意識に摂取したり行動したりするもの、というニュアンスがある点が異なります。

類語②「趣向」は全く異なる意味の単語

「趣向」は”しゅこう”と読み、「嗜好」と語感が似ていますが、意味は全く異なり、類語ではありません。「趣向」とは、「味わいが出るように行われる工夫」「その工夫によって生じるおもむき」という意味の単語です。「方向性・方針」という意味もあります。

対して、「嗜好」は「好み」を意味する単語です。読みは似ていますが、意味は全く異なりますので混同しないように注意が必要です。

「志向」や「指向」との違い

「嗜好」と同じ読みの単語には「志向」と[指向」が挙げられます。いずれも「嗜好」とは異なる意味を持つ単語です。

「志向」とは、”気持ちがある方向を目指すこと・意識をある対象に向けること”という意味です。「上昇志向」や「ブランド志向」といった表現でよく用いられます。一方、「指向」とは、”ある方向を目指すこと・事物がある方向に向かうこと”という意味で、「針は南東を指向している」などといった使用が可能です。「志向」と「指向」は似たような意味ですが、気持ちは「志向」、物理的な方角は「指向」と区別して使われることが多いようです。

「嗜好」の対義語とは?

「嗜好品」の対義語は”実用品”

「嗜好」は「好み」を意味する言葉で対義語を探すのは難しいのですが、「嗜好品」と反対の意味を持つ単語では「実用品」や「生活必需品」が挙げられます。栄養のためではなく楽しむことを目的として摂取されるものが「嗜好品」ですので、日常的に使用される物品や生活にどうしても必要なものを意味する「実用品」や「生活必需品」が対義表現と言えるでしょう。

「嗜好」の英語表現とは?

英語では「taste」をよく使う

「嗜好」を英語で表現する場合には、「taste」を使用します。たとえば、「This music is not to my taste」で「この音楽は私の嗜好には合わない(気に入らない)」という意味になります。他にも、「preference」や「fondness」も「嗜好」の意味で使われる英単語です。

また、「嗜好に合わない」という場合には「I’m not very fond of this.(これは私の嗜好には合わない)」といった表現も用いられます。

まとめ

「嗜好品」でよく耳にする「嗜好」とは、「好んで楽しむ」という意味の単語で、端的に言うと「好み」の意味で使われます。一方、「嗜好品」と使うと、「栄養のためではなく楽しみとして摂取する品」という意味になり、ニュアンスが多少異なります。両方のニュアンスを覚えておくことが「嗜好」という単語を使う際のポイントです。