「アポロン」とはどんな神?神殿やアルテミス、ダフネとの逸話も

ギリシャ神話の主要な神「アポロン」は欧米芸術の主題として高い人気があります。アポロンとはどのような神なのでしょうか?この記事ではギリシャ神話におけるアポロンの物語や、アポロン神殿などについて解説します。アポロンを主題とした美術作品も紹介しています。



ギリシャ神話の「アポロン」とはどのような神?

アポロンの聖域(デルポイ)

「アポロン」はオリュンポス十二神のうちの一柱

アポロンは、ギリシャ神話の主神ゼウスをはじめとするオリュンポス十二神のうちの一柱です。十二神を中心としたオリュンポス神族は、原初の世界を支配していた大地母神ガイアの子どもたちであるティタン神族を滅ぼし、ギリシャ神話の「神々の物語」として語り継がれました。

「アポロン」は芸術・医学・予言を司る存在

アポロンはオリュンポス神族の中で最も美しい神で、芸術、医学、予言などを司ります。父ゼウスから与えられた弓矢と竪琴が得意で、黄金の馬車に乗って空を駆け巡ります。アポロンはヘラクレスやヘルメス、ディオニュソスなど数多い腹違いの兄弟の中で最も強く父の栄光を受け継ぐ、神々の中でもスター的な存在です。

古代ローマでは、ギリシャ神話の神々を主題とした文学や絵画、彫刻などの文化芸術が発展し、欧米美術の根幹を形づくりました。その中でもアポロンは人気の高い神で、現在も美術館などで彫刻などを目にしたことがある人も多いでしょう。

「アポロン」は女神アルテミスとの双子

ギリシャ神話によれば、アポロンは、神々の王ゼウスと女神レトとの間に双子として生まれました。アポロンの双子の妹は女神アルテミスです。

アルテミスは人間に厳しい罰を下すことから畏怖される女神でしたが、のちに夜や月と結び付けられるようになります。アポロンはそれに対して昼と太陽に結びつけられ、のちの時代には太陽神となりました。

「アポロン神殿」とは?

「アポロン神殿」はアポロン生誕の地「デロス島」にある

ゼウスの正妻ヘラの嫉妬と迫害により、放浪を余儀なくされたレトは、浮島に逃れてアポロンとアルテミスの双子を産みました。アポロンはのちに自らの生誕の地である島をギリシャの聖地とし、デロス(輝ける島)の名を与えました。

アポロン生誕の地として信仰を集めたデロス島は、古代ギリシャ世界の中心として繁栄しました。アポロン神殿をはじめとして、様々な神を祀る多くの神殿が建てられました。現在もアポロン神殿跡やアルテミス神殿跡などが残っています。

デロス島は現在は無人島ですが、ミコノス島から船で訪れ、観光することができます。

聖地デルポイにも「アポロン神殿」がある

神話に多く登場するデルポイ(デルフォイ)の神託は、古代ギリシャ中部のデルポイの神域で行われました。紀元前8世紀頃より神託所や神殿が開発され、国家や人々はデルポイの神託を神の声として仰ぎました。神託は女神官ピュティアによって人々に告げられました。

神話ではアポロンが聖地デルポイを訪れ、神託所を開いたとされます。紀元前6世紀頃には「アポロンの神託」の名声が高まっていました。

デルポイの遺跡には、アポロン神殿跡が現在も残っています。

「アポロン」を英語で言うと?

アポロンの英語名は「Apollo」、ラテン語は「Apollō(アポロ―)」

ギリシャ名アポロンは古代ローマではラテン語でアポロー(Apollō)と呼ばれました。ラテン語が語源となった英語名は「Apollo(アポロ)」です。

アメリカの有人宇宙飛行計画「アポロ計画」は、神話のアポロンから名前をとってつけられたものです。

「アポロン」の逸話と美術作品

月桂冠の風習の起源となった『アポロンとダフネ』の物語

ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス『アポロンとダフネ』(1908年)
(出典:Wikimedia Commons User:FriedC)

アポロンにまつわる物語の中で、芸術の主題として好まれるのが『アポロンとダフネ』です。アポロンはニンフ(精霊)ダプネに求愛しますが、ダフネはそれを拒み、月桂樹に姿を変えてしまいます。悲しんだアポロンが懇願すると、ダフネは月桂樹の葉をアポロンの頭に落とします。月桂樹はアポロンの神木として崇められました。

『アポロンとダフネ』は、アポロンが月桂冠をかぶる姿で描かれる由来となり、また、古代ギリシャ、ローマに月桂冠をかぶる風習をもたらしました。アポロンの月桂冠は、デルポイのピューティア大祭で行われる競技の優勝者に与えられたり、ローマ帝国の闘技会の優勝者の中で卓越した者に与えられたりしました。

『アポロンとダフネ』は絵画の主題として繰り返し描かれました。彫刻ではベルニーニの作品が有名で、ダフネがアポロンに捕らえられた瞬間に、ダフネの指先や髪など体の先端から月桂樹の枝に変化してゆくさまが劇的に表現されています。

大蛇を退治する物語『ピュトンを殺すアポロン』

アポロンはピュトンと呼ばれる大蛇を退治した勇敢な神としての一面もあります。パルナッソス山の中腹にある聖地デルポイにあった神託所は、もともとはガイアのもので、大蛇ピュトンが守っていました。アポロンはピュトンを弓で仕留め、自分の神殿を建てました。デルポイの神託はアポロンの神託ともなり、人々はデルポイに参詣し、神託を受けました。

ルーヴル美術館内の「アポロンの間」の天井画にはドラクロワの描いた『ピュトンを殺すアポロン』があります。馬車の上から大蛇ピュトンを弓で狙うアポロンが描かれています。

まとめ

アポロンはギリシャ神話の主要な神であり、その物語や信仰は古代ローマに受け継がれました。本来は芸術の神でしたが、月の女神アルテミスの双子の兄であったことから、のちに太陽神としての神格が加わりました。また、デルポイのアポロン神殿で神託を下ろすことでも知られています。

アポロンはギリシャの神々の中でも最も美しく理知的な神とされ、芸術の主題としても好まれてきました。中でもアポロンの求愛をダフネが拒み、月桂樹に変身する逸話はドラマチックであり、絵画や彫刻が多く作られました。

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趣味は読書とヨーロッパ旅行です。ドイツには5年余り滞在経験があります。某大学の人間科学部とデザイン学部を卒業。心が豊かになる知識の探索を人生の糧にしています。