「沈黙は金」とは?正しい意味と読み方・使用シーンも解説

「沈黙は金なり、雄弁は銀なり」という格言にはどのような意味があるのでしょう。実は「沈黙は金」とは、単に黙っていればよい、という意味の格言ではありません。詳しい意味とともに、「沈黙は金」と言われがちなシーンも紹介します。また、「沈黙は金」の類語や似た意味のことわざ、英語訳についても触れています。



「沈黙は金」の意味とは

「沈黙は金」は「黙ることが時に大切である」という意味

「沈黙は金」とは、「沈黙は金にも例えられる程の価値がある」、つまり「黙ることが時には大切である」という意味を持つ格言です。たとえば、「あれこれと弁解するよりも、時に、黙っていた方が得策である」という意味合いでも使われます。

「とにかく黙っていればよい」の意味で使う格言ではない

「沈黙は金」は、「沈黙は価値あることだ」という意味の格言ですが、「ただただ黙っていることがよい」という意味ではありません。

日本では、思っていることを敢えて口に出さなかったり、空気を読んだりすることを良しとする風潮が根強いので誤解されやすいのですが、本来は「沈黙は金なり、雄弁は銀なり」と続けて使用し、「沈黙することは、時に、雄弁にも勝る」という意味です。つまり、「状況によっては黙っている方がよい」という意味に過ぎず、単に「沈黙を美徳」とするのとは少し意味合いが異なります。

読み方は「沈黙はきん」が正解、「かね」は誤り

「沈黙は金なり、雄弁は銀なり」からもわかるように、「金(きん)」と「銀(ぎん)」が対比として用いられる表現なので、「ちんもくはきん」と読むのが正解です。「沈黙は金」の「金」を「かね」と読むのは誤りです。「価値あるもの」として「金(かね)」を用いた言い回しには「時は金なり(かねなり)」がありますが、混同しないようにしましょう。

「沈黙は金」の使い方

「沈黙は金」の文例

「沈黙は金」は、教訓として自分の中にとどめておくほか、「黙っていた方がいいよ」と相手を諭すような場面でよく用いられます。

例文
  • 大事な商談では、「沈黙は金」がうまくいくこともある。相手の要望を見極めながら発言することが大切だ
  • 親は子がいくつになっても口を出してしまいがちだが、「沈黙は金」を守る方が親子関係も良好だ
  • 「沈黙は金なり」というように、思っていることをすぐに口に出してはいけない

「弁解せずに非を認める」というニュアンスでの使用例

「沈黙は金」に対して「雄弁が銀」と呼ばれるのは、自論を述べることが時に言い訳がましい印象・ネガティブな印象を与えてしまう懸念があるのも理由のひとつです。そのため、「沈黙は金」は、「あれこれと弁解をせずに素直に非を認める」というニュアンスで使用されることもあります。

例文
  • 沈黙は金というから、素直に謝罪と反省を心がけている
  • 沈黙は金、ここは黙って耐えるしかない
  • 沈黙は金だとわかっていても、上司の叱責には声を挙げたくなるものだ

「沈黙は金」に相当するシーンの例

「沈黙は金」、つまり「黙っている方がよい時」には、どのようなシーンがあるのでしょう。たとえば、自分のミスに対して言い訳が口をついて出そうになった場合には「沈黙が金」が得策でしょう。自分のミスだけでなく、相手のミスを指摘する場面でも「沈黙は金」を思い出し、むやみに口を出さず、相手に配慮した指摘ができるとベターです。

また、相手の言動にカッとなり暴言を吐いてしまいそうな時も「沈黙が金」の代表例です。怒りに限らず、感情的になっているときは、不用意な一言を述べがちです。これはビジネスだけでなく、恋愛などでもよくあるシチュエーションで、「売り言葉に買い言葉」とならないよう黙っていることがよいシーンはたくさんあります。

「沈黙は金」と関係のあることわざ・格言

「沈黙は金なり、雄弁は銀なり」ということわざで有名

「沈黙は金」は、「沈黙は金なり」という使い方や「沈黙は金なり、雄弁は銀なり」という対の表現でよく用いられます。

「雄弁(ゆうべん)」とは、「人の心を動かすような弁舌・力強い物言い」を意味します。つまり、「沈黙は金なり、雄弁は銀なり」と続けることで、「沈黙が金に値するほどの価値があるのに対し、雄弁は銀ほどの価値しかない」という意味になるのです。わかりやすく言うと、「弁舌をふるうよりも、黙っていた方がよい時がある」ことを示す表現で、「(雄弁と比べたら)沈黙することの方が称賛される」という意味にもとることができます。

聖書では「ダビデの沈黙」として有名

「沈黙は金」という格言は、聖書では「ダビデの沈黙」として知られています。「ダビデ」は、語ることに秀でた才能を持ちながらも、神を前にして雄弁に語ることせず沈黙を貫きました。「救いは神からのみ来るものだ」という信念のもと、神の前でも沈黙したまま立ち尽くした、と言われています。

参考:日本基督教公団公式サイト

「沈黙は金」の類語

「沈黙は是なり」が同じ意味

「沈黙は金なり」と同じ意味の表現には、「沈黙は是なり」が挙げられます。「是(ぜ)」とは、「正しいこと・道理にかなっていること」という意味の単語で、「沈黙は是なり」と使うと「沈黙は理に適っている」という意味になります。

似た意味のことわざには「言わぬが花」「口は災いの元」

「沈黙は金」と似た意味のことわざには、「言わぬが花」「口は災いの元」があります。「言わぬが花」とは、「はっきりと言わない方が味が出る・露骨に言葉にすると興ざめする」という意味で、敢えて口にしないことで奥ゆかしさが感じられることを表しています。

「口は災いの元」とは、「思わぬ一言が自らに災いをもたらすことがある」という意味で、転じて「言葉は慎むべきだ」という意味で使用されます。

「言わぬが仏」は誤り、正しくは「知らぬが仏」

「沈黙は金」の意味で「言わぬが仏」ということわざを使う人がいますが、これは誤りです。「言わぬが花」とは言っても、「言わぬが仏」という慣用句はありません。

「言わぬが仏」は、おそらく、「知らぬが仏」の誤用と考えられます。「知らぬが仏」とは、「知らない方が幸せである」という意味のことわざです。

「沈黙は金」の英語訳

英語にも「Speech is silver, silence is golden」という格言がある

「沈黙は金なり、雄弁は銀なり」という格言は、実は日本で生まれたものではなく、イギリスの思想家であり歴史家でもあるトーマス・カーライルが自著に記した言葉に由来します。英語では、「Speech is silver, silence is golden」と表現され、「雄弁は銀なり~」から始まります。本記事では「沈黙は金なり、雄弁は銀なり」と表現してきましたが、日本でも「雄弁は銀なり、沈黙は金なり」として使われることもあり、「沈黙」「雄弁」のどちらを先に用いても誤りではありません。

まとめ

「沈黙は金」とは、「黙っていることは時に、金ほどの価値がある」という意味で、しばしば「沈黙は金なり、雄弁は銀なり」と対で用いられる格言です。ただし、単に黙っていることがよいかというとそうではなく、「口に出すことでよくない結果を招くこともあるから、状況によって黙っていた方が得策である」というのが本来の意味です。「口は災いの元」に似た意味のことわざとして使用するとよいでしょう。