「不文律」の意味とは?野球やサッカーの例や類語・対義語も解説

「不文律」は「ふぶんりつ」と読み、「不文律を破る」「不文律に従う」などと使われます。野球やサッカーなどのスポーツ界、職場といった社会のいたるところにある「暗黙のルール」です。本記事では「不文律」の読み方と意味について、例文を交えて解説します。「暗黙の了解」などの類語や対義語、英語訳も紹介します。

「不文律」とは?

「不文律」の意味は”暗黙のきまり”

「不文律」の意味は、“文字や文章に書き記されていない暗黙のきまり”です。「不文律」の「律」は、「法律」という言葉にあるように「掟(おきて)」という意味を持ちます。

つまり、「不文律」は直訳すると「文章ではない掟」という意味になり、たとえば、「お互いが暗黙のうちに守っているきまりごと」や「明文化されていない法律」を指します。互いの秩序を守るために慣習的に行われているような約束事も「不文律」のひとつです。

「不文律」の読み方は”ふぶんりつ”、「ふもんりつ」は誤り

「不文律」の読み方は、“ふぶんりつ”と読みます。「ふもんりつ」と読む人がいますが、これは誤りです。なお、「不文律」の対義語には、「成文律(せいぶんりつ)」「成文法(せいぶんほう)」といった言葉があり、こちらも「もん」ではなく「ぶん」と読むのが正しい読み方です。

サッカーや野球での「不文律」とは”公式ルールではないが慣習的に行われているもの”

スポーツにおける「不文律」は、公式ルールではないものの、スポーツマンシップや礼節を重んじるために慣習的に行われているようなものを指すこともあります。たとえば、プロ野球の始球式では、必ずバッターが空振りをしますが、これも「不文律」と言えるでしょう。

また、大量の得点差で勝っているチームは、バントや盗塁をしない、というのも「不文律」のひとつとして挙げられます。一方、サッカーでは、試合後の選手のユニフォーム交換が「不文律」の代表例です。

「不文律」の使い方と例文とは?

「不文律を守る」「破る」などとよく使う

「不文律」はルールやきまりごとを意味する言葉なので、「守る」や「破る」という単語とともによく用いられます。「不文律破り」という表現も、「暗黙のルール破り」という意味合いにとれます。また、「不文律がある」という言い方もよくします。

企業では「慣習」が”不文律”となることも

企業にも「不文律」は存在します。日本では「有給休暇の取りづらさ」が近年話題にのぼることが増えていますが、この「有給休暇を自由に取得してはいけない」というのも企業における「不文律」と言えるでしょう。他にも「部長が帰るまで帰宅してはいけない」などといった「不文律」がある企業もあるかもしれません。

企業独自の根強い「慣習」が「不文律」となり、従業員を拘束し悩ませることも多いもので、「不文律」が必ずしも良いものとは限りません。

「不文律」を使った例文

「不文律」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。

  • 我が家には昔、一番風呂は祖父という不文律があった
  • 不文律を守ることで人間関係もうまくいくものだ
  • 不文律を守ってくれないとフォローのしようがない
  • 新社長の大胆な人事によって、当社の不文律が破られた
  • どんなに面倒でも不文律を破る勇気はない

「不文律」の類語とは?

「不文律」の類語は”暗黙の了解”

「不文律」と似た意味の言葉には、「暗黙の了解」や「暗黙のルール(きまり)」が挙げられます。「わざわざ文章にして説明したわけではないが、当然守るべきもの」「お互いが了承しているルール」という意味で使われる表現です。一般には、「不文律」と似たような使い方をされています。

「不文律」は”不文法”と言い換えることができる

「不文律」と同じ意味の単語としては「不文法」という単語が挙げられます。「不文法(ふぶんほう)」とは、「文章としては成り立っていないものの、法としての人を拘束するもの」という意味の単語です。一般には、「不文律」と「不文法」は同じ意味の言葉としてとらえられていますが、一般的な会話シーンでは「不文律」という表現の方がメジャーでしょう。

似た意味の言葉には「掟」も

「不文律」と似た意味の言葉には「掟」も挙げられます。「掟(おきて)」とは、「こうあるべきと定められた規則や取り決め」という意味の単語で、「我が家の掟だ」などと使います。「不文律」に対し、「掟」の方が強制力が強く、何らかのペナルティを想起させるような表現となります。

「不文律」の英語訳とは?

「不文律」は英語で”unwritten rule”

「不文律」は英語では、”unwritten rule”や”unwritten law”と表現します。「unwritten」とは、”書かれていない・記録していない”という意味です。また、「unwritten law」は”不文律”という和訳以外に「慣習法」という和訳が宛てられることもあります。

例文

It is something of an unwritten law that we should not ask him anything.
(彼には何も訪ねてはいけないという不文律みたいなものがあった)

まとめ

「不文律」とは、「文字や文章に起こされてはいないものの、互いが了承しているきまりごと」を意味する単語です。社会のいたるところに「不文律」は存在し、「暗黙の了解」「暗黙のルール」とも言い換えることができます。一方で、「悪しき慣習」として残る「不文律」もあり、特に職場では「不文律」に悩まされることもあるかもしれません。