「添え状」とは?就活の履歴書からビジネス書類まで書き方を解説

就職活動中は履歴書や職務経歴書、あるいは内定承諾書などあらゆる書類を企業に送付することがあります。その際に必要となるのが「添え状」です。本記事では「添え状」とは何かをはじめ、「添え状」の基本的な書き方や就活・内定・ビジネス文書などシーン別に「添え状」作成のポイントについて解説します。

「添え状」とは?

「添え状」とは挨拶の代わりとして同封する書類

「添え状」とは、“物や書類を送付する際に同封するもの”です。いわば「挨拶」の代わりとなるものです。本来、対面形式で物を渡す場合には、当然のように挨拶をかわしますが、その挨拶の代わりとなり、封筒の中身を知らせる書類が「添え状」です。「送付状」と呼ばれることもあります。

「添え状」の基本テンプレート

「添え状」の基本形(作成例)

例文

令和△年10月1日

株式会社○○御中
鈴木 太郎様

△△株式会社
〒○○○ー○○○○
東京都新宿区西新宿++-++
tel:**-****-****
営業部 山田 次郎

書類送付のご案内

拝啓 秋晴の候、貴社におかれましては、ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
下記の通り書類をお送りいたしますので、ご査収くださいますようお願い申し上げます。

敬具

御見積書 1通

以上

共通項目は日付・宛先・署名・挨拶文など6ポイント

「添え状」は、誰が・誰に・何を・どれだけ送ったのかが分かるようにそれぞれ明記するのが基本です。一般に「添え状」に記載される項目には、以下のようなものが挙げられます。

「添え状」の項目

  1. 送付年月日
  2. 相手先企業名・担当者名:社名は正式名称で「〇〇株式会社」と記載する
  3. 送り主名:送付している人の社名・氏名を記載
  4. タイトル:「書類送付の件」「~送付のご案内」など
  5. 挨拶文:頭語(拝啓など)ではじめ、「新緑の候」のような時候の挨拶を入れた文章を記載。結び語(敬具など)で締めくくる
  6. 送付内容:「記」として、送付する書類を箇条書きで記載する。文末は「以上」で締めくくる

「添え状」シーン別書き方のポイントとは?

1:履歴書・職務経歴書など就活応募書類

自己アピールや言い訳を長々と書くのはNG

履歴書や職務経歴書を送付する際の「添え状」には、挨拶文のところに簡単な自己アピールを記載してもよいでしょう。とはいえ、「添え状」いっぱいに長々と記載することは避けたいポイントです。言い訳がましく見える懸念もありますので、簡潔かつ謙虚な姿勢でまとめます。

なお、履歴書送付時など個人名で送付する場合には、差出人の欄に個人の自宅住所や電話番号も明記するのが通例です。

例文

応募書類の送付につきまして

拝啓 秋涼の候、貴社ますますご盛栄のこととお喜び申し上げます。
この度、ウェブサイトに掲載されておりました営業職の求人を拝見し、応募させていただきます。私はこれまでに5年の営業経験があり、単に売り上げを伸ばすだけでなく顧客満足にも貢献できるようヒアリング力・提案力向上を心がけてまいりました。その経験を生かして、貴社の○○事業に携わりたいと考え、応募させていただきました。

ご検討の上、ぜひ面接の機会を頂けますと幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。

敬具

応募書類手渡しの場合は添え状は不要

応募書類を直接企業に持参する場合にも、封筒に入れて提出しますが、手渡しする場合には「添え状」は必要ありません。「添え状」は本来、顔を併せない場合の挨拶代わりの役割を担う書類なので、顔を併せて挨拶ができる場合には不要です。手渡しする場合には、口頭で何が入っているのかを告げるとよいでしょう。

2:内定承諾書・健康診断書など入社書類

入社後の意気込みを一言添えるとベター

内定が出ると企業から内定を通知する書類(内定通知書)と併せて、入社の意思を企業に告げる「内定承諾書」が送付されます。この「内定承諾書」は署名・捺印の上、郵送にて送付するのが一般的ですが、ここでもやはり「添え状」を同封して返送します。この場合、一般的な挨拶だけでは味気ないので、一言添えるとよいでしょう。長々と語る必要はなく、1~2文程度で結構です。端的にまとめて記載すると感じの良い「添え状」になります。

例文

内定承諾書送付の件

拝啓 ○○の候、貴社におかれましてはますますご清栄のこととお喜び申し上げます。このたびは内定通知書をご送付いただきましてありがとうございました。今後はますます気を引き締めて、精進していく所存でございます。今後とも、ご指導のほどよろしくお願いいたします。

つきましては、ご指示にありました書類をお送りいたしますので、ご査収の程宜しくお願い申し上げます。

敬具

・内定承諾書 1通

以上

健康診断書の場合

入社に際しては、健康診断書の提出が求められる例も多いものです。就活におけるほかの書類と異なり、健康診断書の場合は時候の挨拶のみで返送しても問題ありません。また、タイトルも、一般的なビジネスシーンで用いられる「書類送付の件」でよいでしょう。

例文

書類送付の件

拝啓 時下ますますご盛栄のこととお慶び申しあげます。ご指示にありました書類を、下記の通り送付させていただきます。ご査収の程よろしくお願い申し上げます。

敬具

健康診断書 1通

以上

3:書類送付などビジネスシーン

季節の挨拶程度の簡潔な文書が一般的

ビジネスシーンでは、見積書や請求書など様々なシーンで書類のやり取りが発生します。その際にも「添え状」や「送付状」を同封するのが一般的です。企業によっては、送付内容によってタイトルを変更するのではなく、「送付状」として使用するところもあります。

例文

送付状

拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
下記の通り、書類をお送りいたしますので、よろしくご査収の程お願い申し上げます。

敬具

また、「拝啓」ではなく「前略」を使い、より簡潔な文章で送付する例もあります。

例文

前略 お申し越しの書類をお送りいたしますので、ご確認の上、お取り計らいの程お願い申し上げます。

病院には「ご清栄」がベター

挨拶文では、「貴社ますますご盛栄のことと存じます」という表現がよく用いられます。一般企業に関してはその文言で問題ありませんが、病院など医療機関に対しては「ご盛栄」という表現は不向きです。「ご盛栄」とは、商売が栄えることを祝うという意味が強いため、医療機関や葬儀社などでは嫌われます。代わりに、「ご清栄」という表現を用いるとよいでしょう。

「添え状」の書き方のポイントと注意点とは?

縦書き・横書きは送付書類にあわせると○

「添え状」は横書きが主流です。これは、ビジネスで取り扱われる書類が横書きなためです。もし、同封する書類がすべて縦書き、という場合には縦書きで作成しても問題はありませんが、一般には手書きの場合も横書きにあわせます。

紙の大きさにも注意するとベター

「添え状」に使用する紙のサイズは、同封する紙のサイズに合うものにするのが一般的です。封入する際に、書類の折れを予防するためにクリアファイルに入れることがありますが、この場合はクリアファイルと同等のA4サイズにあわせます。一筆箋など極端に小さいサイズのものは、ビジネスのやり取りではカジュアルすぎる印象を与える懸念があるため、避けた方が無難です。

手書きでなくても誠意は伝わる

「添え状」は、パソコンで作成し印刷しても問題ありません。就職活動中は、履歴書は手書きがよい・誠意が伝わる、などと言われることもありますが、パソコンで作成するのが一般的となっています。「添え状」は、誰が・何を・誰に送付しているかが重要ですので、分かりやすさが重要です。

まとめ

「添え状」はビジネスシーンにおける文書のやり取りでは基本アイテムです。何を送付しているのかを相手に伝えるのが「添え状」の役割ですので、分かりやすさをまず心がけます。一般には挨拶文程度の文章で問題ありませんが、就職活動中は一言添えるとよいでしょう。