「疎外感を抱く」「疎外感に苛まれる」などと使われる「疎外感」とは、どういった感覚を意味するのでしょう。「疎外感」という単語の詳しい意味や「疎外感」の使い方を例文とともに解説します。また、「疎外感を与える人」との付き合い方や似た意味の言葉「孤独感」との違い、英語訳についても触れています。
「疎外感」の意味と読み方とは?
「疎外感」の意味は”排除されているという感覚”
「疎外感」の意味は、“自分だけ仲間外れにされているような感覚・排除されているという感覚”です。そもそも「疎外」とは、”よそよそしくし、近づけない状態にすること・避けること”という意味の単語なので、「疎外感」は”避けられているような感覚”という風にもとらえることができます。
「疎外感」の読み方は”そがいかん”
「疎外感」の読み方は、“そがいかん”です。
「疎外感」の使い方と例文とは?
職場や家族・友達になじめない様を表す
「疎外感」は「仲間外れにされているような感覚」のことなので、何らかの集団・グループになじめない様を表す際によく用いられます。たとえば、職場の同僚や学校の友人関係をはじめ、家族に対してなど、集団の種類を問わずに使用することが可能です。
- 転職して1か月、新しい職場ではいまだなじめず疎外感が増している
- 私の疎外感はどうやら勘違いだったようだ
- 年頃の娘は私を避けるだけでなく、妻とはとても仲が良さそうで疎外感を抱いている
「疎外感に苛まれる」は”悩み苦しむ”の意味
「疎外感」は”苛まれる(さいなまれる)”という表現で使われることもあります。この「苛まれる」とは、”苛む(さいなむ)”を受け身にした単語で、「苦しめられる・咎められる」といった意味を持ちます。そのため、「疎外感に苛まれる」とは、”疎外感に悩み苦しむ様”を意味する表現となります。
登校拒否したいほどの疎外感に苛まれている
「疎外感を感じる」のほか”抱く・覚える”という表現も
「疎外感」という単語は、感情・感覚を意味するため、「抱く」や「覚える」という動詞とともに用いられます。中でも多いのが、「疎外感を感じる」という表現です。「疎外感を感じる」という表現は、「感」という同じ意味の漢字が重なるため「重言」あるいは「重複表現」とも呼ばれます。ただし、同じ「重言」でも「違和感を感じる」や「疎外感を感じる」に関しては、一般に許容されている表現なので、使用しても問題はないでしょう。
「疎外感を感じる」と文字にした場合に見栄えが気になるようであれば、「抱く」や「覚える」などの単語に置き換えるのがおすすめです。また、「疎外感」という単語を使わずに、「疎外されていて孤独を感じる」などと表現する方法もあります。
「疎外感を与える人」とは付き合わないのがベター
自分は仲良くしよう、協調性をもって接しようと考えていても、明らかに悪意を持って接したり、嫌がらせをしてきたりする「疎外感を与える人」に出会うこともあります。そうした人とは、仕事上の最低限の付き合いにとどめ、深く付き合わないのが得策です。相手の悪意に付き合うことで自分が疲弊してしまうのは避けたいので、悪意に飲み込まれずに聞き流したりやり過ごしたりするのがよいでしょう。
「疎外感」の類語とは?
「孤独感」と「疎外感」の違いは”周囲の状況”
「疎外感」と似た意味の単語に「孤独感」が挙げられます。「孤独感」とは、「ただたださみしいと感じること・独りぼっちだと感じること」を意味します。一見すると「疎外感」の類語と言えそうですが、厳密にはニュアンスが異なります。
「疎外感」は「周囲に避けられているように感じる」という意味なので、少なからず周囲の人の影響があります。一方、「孤独感」は、周囲の人の態度・接し方に関わらず生じる感情です。そのため、「疎外感」が「孤独感」につながることはありますが、「孤独感」には「疎外」の有無は関係ありません。
- 恋人といても孤独感が埋まらない
- 孤独感に耐えられない
「劣等感」は”劣っていると感じること”で類語ではない
「疎外感」のように「○○感」という単語はほかにもたくさんありますが、そのひとつ「劣等感」もまた「疎外感」と混同されやすい単語です。「劣等感」とは、「自分が他人よりも劣っていると感じること・自分が他人よりも能力がないと感じること」という意味を持ちます。「疎外感」のように、「周囲に避けられている」というニュアンスはないため、混同しないようにしたい単語です。
- 多かれ少なかれ、誰もが劣等感を抱えている
- 劣等感は次のステップへの原動力になることもある
「疎外感」の英語表現とは?
「疎外感」の英語表現は”alienation”を使う
「疎外感」を英語で表現する場合には、“alienation”という単語を使用します。「alienation」とは”疎外”という意味で、動詞は「alienate(遠ざける・不和にする)」です。「a sense of alienation」で”疎外感”という意味になります。たとえば、「Many youths feel alienated in modern society(現代では多くの若者が、社会で疎外感を感じている)」といった使用が可能です。また、「私が彼女に疎外感を与えている」を英訳すると、次のような表現ができます。
- I’m making her feel alienated.
- I’ve made her feel alienated.
- I’m giving her a sense of alienation.
まとめ
「疎外感」とは、「仲間外れにされているような感覚・避けられているような感覚」という意味の単語です。「孤独感」も似たニュアンスがありますが、「疎外感」は周囲からの影響を受けた感覚であるのがポイントです。周囲との関わりの中で生まれるのが「疎外感」と覚えておきましょう。