「彼の仕事にはただただ感嘆するばかりであった」「あまりの出来栄えに感嘆の声が出る」と使う「感嘆」には、二通りの意味があることを知っていますか?本記事では、「感嘆」の詳しい意味を「感嘆のため息」などの使い方とともに解説します。また、「感嘆符」や「感嘆文」といった関連用語や、類語・対義語、英語訳についても紹介します。
「感嘆」の意味とは?
「感嘆」の意味は”感心し、褒めること”
「感嘆」の意味は、“感心し、褒めたたえること”です。ため息をつくほど感心したり、感激して褒め称えたりする場合に「感嘆する」と使います。
「感嘆」には”嘆き悲しむ”という意味もある
「感嘆」は”感心し、褒める”という意味で使われる場合が大半ですが、その一方で「嘆き悲しむこと」という意味も持ちます。
「感嘆」の”嘆”の漢字は「なげく(嘆く)」とも読み、”ため息をつくこと・感動すること”という意味があるのです。そのため「感嘆」には、”褒める”という意味だけでなく、”ひどく悲しむ様”という意味もあります。
ただし、一般には「感心し、褒め称える」の意味で使われることが多く、「嘆き悲しむ」という意味で「感嘆」と使うことはそう多くはないでしょう。
「感嘆」の使い方と例文とは?
「感嘆する」「感嘆した」と使う
「感嘆」は、「感嘆する」あるいは「感嘆した」という表現で用いられるのが一般的です。また、「深く感心し褒め称える様」を言い表す場合には「感嘆するばかりであった」という表現もよく用いられます。
- 並々ならぬ努力に感嘆した
- 彼の手腕にはただただ感嘆するばかりだ
「感嘆の声が出る」「感嘆のため息」もよく使う表現
「感嘆」は、「感嘆の声が出る」「感嘆のため息がもれる」という表現でもよく用いられます。「感嘆の声」とは、驚いたり感心したりした場合に口にされる歓声を指します。「感嘆の声をあげる」や「感嘆の声をもたらす」といった言い回しも可能です。
- 彼女の素晴らしい作品は多くの人に感嘆の声をもたらした
- 感嘆の声を上げる人は少なくはないだろう
一方、「感嘆のため息がもれる」とは、「素晴らしすぎてため息がもれる・あきれるほど素晴らしい」という意味で使われることもありますが、「悲しみから思わずため息が出てしまう」というニュアンスでも用いることができます。
- 必死にやってきたプロジェクトが突如打ち切りになり、感嘆のため息がもれた
- 人気アイドルの突然の引退発表に、感嘆のため息がもれる
「感嘆」は目上の人には不適切
「感嘆」という単語はビジネスシーンでもよく用いられますが、目上の人の行動・功績に対しては使用しません。「感嘆」には「褒める」のニュアンスが入るため、目上の人に対して使うと失礼に当たることがあるためです。
目上の人に対して「感嘆」のニュアンスを伝える場合には、「感銘」という表現が適切です。「感銘(かんめい)」とは、「人生に影響するような、忘れられない程の深い感動」を意味します。たとえば、「先日の社長のお話に大変感銘を受けました」などと使うことができます。
「感嘆符」「感嘆詞」「感嘆文」とは?
「感嘆府」とは”!(ビックリマーク)”のこと
「感嘆府」とは「!」のことで、いわゆる「ビックリマーク」を指します。「感嘆」は「感心し褒めること」という意味ですが、「感嘆符」は驚きや興奮、強調などを表現したい場合に用いられる記号として定着しています。「!!」と二つ並べたり、「?!(疑問符感嘆府)」として使用したり、あるいは注意喚起を促す際の記号にと、様々な使い方が可能です。ただし、ビジネスメールなど文章中で多用するとカジュアルすぎる印象となったり、読みづらくなったりするので配慮は必要です。
「感嘆詞」は感動・応答・呼びかけに用いられる言葉のこと
「感嘆詞」とは、感動などをあらわす言葉のことで、「感動詞」とも呼ばれます。他の語に修飾されることなく独立しているのが特徴で、呼びかけや応答、掛け声として使われるような単語も「感嘆詞」には含まれます。
- 感動:ああ、おお、まあ
- 呼びかけ:ちょっと、もしもし
- 応答:はい、いいえ、うん
- 掛け声:えい、よいしょ
「感嘆文」は感動を全面に出した文章のこと
「感嘆文」とは、驚きや悲しみ、喜びなどといった感情を全面に出した文章のことです。感動している気持ちを表したり、特別な状態(状況)に驚きを示したりする場合に用いられます。たとえば、「なんてきれいなんでしょう!」といった文章が「感嘆文」にあたります。単に「きれい!」「すばらしい!」といった表現も感嘆文のひとつと言えるでしょう。
なお、日本語で「感嘆文」という場合、英語学習(英文法)における「感嘆文」を指す場合があります。英語での感嘆文には、次のような例が挙げられます。
- What a beautiful flower it is! (それは)なんて美しい花なのでしょう。
- How kind he is! 彼はなんて親切なんだ。
英語では、文末の「主語+述語」を省略し、「What a beautiful flower!」とすることも可能です。
「感嘆」の類語と対義語とは?
「感嘆」の類語は”驚嘆”や”嗟嘆”
「感嘆」と似た意味の単語には、“驚嘆”や“嗟嘆”が挙げられます。「驚嘆(きょうたん)」とは、”驚いて感心すること”という意味の単語で、「思いがけず驚くほど素晴らしいことが起こり感動した」と表現したい場合に用いられます。
「嗟嘆(さたん)」は、”非常に感心して褒めること”という意味の単語です。実は、「嗟嘆」には、”嘆くこと”という意味もあり、「感嘆」と同様に、二通りの意味を持ちます。他にも、「称賛(意味:褒め称えること)」なども、「感嘆」と似た意味の単語として使用することができます。
目上の人には「敬服」や「感服」といった言い換えも
「感嘆」は目上の人には不適切であることは先述しましたが、「感嘆」の言い換え表現としては「感銘」以外にも「敬服」や「感服」といった表現も使用可能です。
「感服(かんぷく)」とは、「深く感心し、尊敬の念を抱く」という意味です。「感服」は目上の人・目下の人の両方に使えるため、幅広く活用できます。目上の人には特に、「感服いたしました」とすると丁寧です。
「敬服(けいふく)」には、「心の底から敬う・敬って従う」という意味を持ちます。自分と同等、あるいはそれ以上の人に対してのみ使う表現です。「感服」よりも尊敬の念が強い表現として使用されています。たとえば、「社長の判断には敬服いたしました」といった使い方が可能です。
「感嘆」の対義語は”嘲笑”や”罵倒”
「感嘆」の対義語は、“嘲笑”や“罵倒”があります。
「嘲笑(ちょうしょう)」とは、”あざけり笑うこと・あざけって笑いものにすること”という意味です。たとえば、「人の失敗を嘲笑する」と使います。「嘲笑」と似た意味の単語には「冷笑(れいしょう:見下した態度で笑うこと)」も挙げられます。
「罵倒(ばとう)」には”ひどくののしること・激しい言葉でののしること”といった意味があります。「相手を罵倒する」などと使われ、「感嘆」とは反対の意味を持つ単語と言えるでしょう。
「感嘆」の英語訳とは?
「感嘆」は英語では”admiration”、動詞は”admire”
「感嘆」の英訳は“admiration”となり、動詞(感嘆する)は“admire”を使用します。名詞「admiration」には、”感嘆・感心・称賛・憧れなどの意味があります。
- I was filled with admiration for her talent.(彼女の才能に感嘆した)
- I feel admiration for his work.(彼の作品に感嘆した)
- I have great admiration for your achievement.(あなたの功績に感嘆しています)
英語における「感嘆詞」は”Oh!”や”Wow!”
英語表現における「感嘆詞」では、“Oh!”や“Wow!”がよく知られています。また、英文では、「感嘆詞」の後に「!(感嘆府)」をつけることが多いのも特徴です。
- 驚き:Oh! (おお)、Wow! (おお)、Oops!(おっと)
- 喜び:Yay!(イェイ)、Hooray!(やった・万歳)
- 呼びかけ:Hey(ねえ)
- 応答:Uh-huh(ふむふむ、相槌)
まとめ
「感嘆」は、主に「感心し、褒め称えること」という意味で用いられ、素晴らしいものに触れた際などに「感嘆する」「感嘆の声が上がる」といった使い方をします。その一方で、「感嘆」には、「嘆き悲しむ」という意味もあり、「感嘆のため息がもれる」とは、賞賛・悲しみの両方の意味で使える表現です。また、目上の人には「感嘆」ではなく「感銘」「感服」などと言い換える必要があるのもぜひ覚えておきたいポイントです。