「閑職」の意味とは?使い方の例や部署の特徴・類語表現も解説

「閑職に回された」「新人で閑職部署に配属されて辛い」などで使われる「閑職」とはどういった職務を指すのでしょう。本記事では、「閑職」の意味をはじめ、「閑職」の具体な特徴を紹介します。また、「閑職」と似た意味で使われる類語や英語訳についても触れています。

「閑職」とは?

「閑職」の意味は”暇な職種・重要でない職”

「閑職」の意味は、“職務が非常に少ないポストや職責がなく重要とされないポスト”のことです。

「閑職」の”閑”には、「しずか・することがなく暇」といった意味があり、文字通り、「重要ではない暇な職務(ポスト)」を意味する言葉です。

「閑職に左遷される」「飛ばされる」といった表現で使う

「閑職」はしばしば、「左遷」という言葉とともに用いられます。「左遷(させん)」とは、「これまでの地位から低い地位に落とすこと」という意味です。他にも、次のような表現とともに用いられます。

例文
  • プロジェクトでの失敗を理由に、彼は閑職へと左遷されることになった
  • 前期の営業成績が良くなかったので、閑職に飛ばされるのではないかとひやひやしている
  • 身体を壊してしまったので、上司に掛け合い、閑職に回してもらった
  • 閑職に耐えていればいつかきっと認めてもらえると信じている

「閑職」とはどんな部署なの?

「閑職部署」の特徴は業務量が少ないこと

「閑職」と呼ばれる職にはどのような特徴があるのでしょう。「閑職」は、業務量が極端に少ないポストを指すことが多いのが特徴です。たとえば、朝出社しても特にやることがなく、仕事が依頼されるまで掃除やネットサーフィンをして時間をつぶす、というのは「閑職」の良い例です。

また、「閑職と言えばこの部署」といった定義があるわけではありませんが、営業部やマーケティング企画など花形部署に比べ、バックオフィス(社内向け業務)を担当する部署に対して使われることが多いと言えるでしょう。

誰でもこなせる業務を淡々と繰り返すのも「閑職」の例

業務量の少なさだけでなく、業務の簡単さを理由に「閑職」と呼ぶことがあります。

たとえば、「主な仕事は文具類の発注だけ」をというように、簡単な仕事のみを担当するというのは「閑職」と呼べるでしょう。もちろん、備品管理も大切な業務のひとつですが、一般的にはほかの業務と兼任するのが通例です。単純業務のみを担うポストは、結果的に暇になりやすく、「閑職」と呼ばれやすくなります。

「閑職」でも忙しいパターンもある

中には、業務で慌ただしいポストでも「閑職」と呼ばれることがあります。

たとえば、出世街道まっしぐらだったエリート社員が、出世コースからは外れた雑務をひたすらこなす職に異動になった場合には「閑職に飛ばされた」と表現します。この場合の「閑職」は、暇かどうかではなく、「重要ではない仕事」という意味で使われています。

「閑職」への異動は問題行動から身体的理由まで様々

「閑職」へと異動になる理由は、様々です。仕事ができない・使えない、あるいは業績低迷などを理由に「閑職」に追いやられる人もいれば、セクハラ・パワハラなどの問題行動を理由に飛ばされる人もいます。一方で、自分から「閑職」を望むという人もいます。病気やストレスなど身体的理由から、会社と相談し、合意したうえで「閑職」へと移動する人もいるのです。

「閑職」とは楽しい?それともつらい?

「閑職」への異動で精神的に参る人も多い

「閑職=暇でうらやましい」という意見も少なからずありますが、望まずして「閑職」へと移動した人の多くは、自分が置かれた状況にとまどうものです。プライドを傷つけられたと落ち込んだり、同期など以前の同僚との歴然とした差に焦りを感じたり、精神的に参る人も多いようです。出世とは無縁の「閑職コース」に、行く先への不安を抱える人もいます。

環境の変化にとまどうことは仕方のないことですが、あまり長々とそういった気分を引きずっていると精神的にもよくありません。まずは、現状を受け止め、今できることに眼を向けることが大切です。

過ごし方次第で、その後のキャリア・転職がプラスに転じることも

「閑職」は時間に余裕があるのが最大の特長です。自分に足りないスキルを見直し、新しいスキルを獲得するために勉強するチャンスでもあります。そういった意味では、人生に楽しさを見つける機会作りにも繋がるでしょう。

また、「閑職」から抜け出すためにライフプランを立て直したり、思い切って転職を視野に入れる人もいます。転職活動には時間も労力もかかるものですが、「閑職」ならではの余裕が役に立つでしょう。

「閑職」の類語とは?

「閑職に回される」は”降格”や”更迭”とも表現できる

「閑職に回される」という表現は、”降格”や”更迭”と言い換えることができます。「降格」には、”格式・地位を下げること”という意味が、「更迭」には”その役目の人が変わること(変えること)”という意味があります。「閑職に回される」のように、仕事上の地位を下げられる、という意味では似た意味があると言えるでしょう。

「冷や飯を食わされる」という表現も

「閑職に回される(流される)」と似た意味の慣用表現には、”冷や飯を食わされる”が挙げられます。「冷や飯を食う(食わされる)」とは、”冷遇されること”を意味する表現です。たとえば、集団から除外されたり、待遇が悪くなったりする様を意味します。

「閑職」と似た意味の表現には”窓際族”

「閑職」のように、暇なポストに追いやられた人は、「窓際族」と呼ばれることがあります。「窓際族」とは、企業内で「閑職」に追いやられた職員を指す表現です。
終身雇用制が定着した日本では、管理職などの役職に就けず、何らかの問題があっても定年まで雇用せざるを得ず、その結果、仕事がなくただ窓を眺めて過ごすしかないような一定年齢を超えた「おじさん」が数多く生み出された時代がありました。そうした人々を指す言葉として生まれたのが「窓際族」です。役職について重要な職責を持つわけでなもなく、なすすべもないような社員のことを指す表現です。

「閑職」の英語訳とは?

「閑職」を英語にすると”sinecure”

「閑職」は英語では“sinecure”と訳します。「sinecure」とは、”楽で収入のいい仕事・実務がなく収入のある閑職”という意味の単語です。また、ほかにも「easy(簡単な)」や「idle(暇な)」、「leisurely(のんびり)」などの単語を使って、次のように表現することもできます。

  • an easy job
  • an idle job
  • a leisurely post

まとめ

「閑職」とは、「暇な仕事・重要ではないポスト」という意味の単語で、「閑職に回された」「閑職に飛ばされた」という風に使われます。「閑職部署に左遷された」という風に使うこともありますが、部署によらず「閑職」と呼ばれるようなポストは存在します。また、業務量が少ないだけでなく、「出世コースから外れたポスト」という意味で「閑職」と使うこともしばしばです。