「座して待つ」の意味や使い方とは?類義語や英語訳・元ネタも解説

「座して待つ」という表現は、漫画やアニメで聞いたことがあるという人も多いかもしれませんが、元は中国・三国時代の政治家であり軍師でもある「諸葛孔明」のことばです。この「座して待つ」について、その意味や使い方を例文で解説します。また、「座して待つ」と似た意味の言葉や英語訳についても紹介します。

「座して待つ」とは?

「座して待つ」の意味は”ただじっと待つこと”

「座して待つ」の意味は、“何もせず、ただじっと座って待つこと・静かにじっと待っている”ことです。「座して(ざして)」とは、”じっとして・座って”という意味です。

「座して待つ」は、”ただじっと待つ”という意味から、「傍観する・黙って見過ごす」のニュアンスも持ちます。また、「忍耐強くじっと待つ」というニュアンスで使われることもあります。

「座して待つ」の読み方は”ざしてまつ”

「座して待つ」の読み方は、“ざしてまつ”です。

「座して待つ」の由来は諸葛孔明の”座して死を待つ”

「座して待つ」という表現は、三国志でも有名な軍師「諸葛孔明」の言葉にある「座して死を待つ」という表現に由来します。「座して死を待つ」とは、「戦などにおいて戦おうとはせず、ただ死を待つ」という意味ですが、「諸葛孔明」は、「ただじっとしているくらいならやるべきことをやり、活路を見出すべきだ」との意思を表明する場合に、この「座して死を待つ」という表現を使ったとされています。

「座して死を待つ」という表現の「死」という単語が与える印象が強いこともあり、現代では「座して待つ」という表現の方が好んで使われるようになったようです。

「座して待つ」の例文とは?

「座して待つ」の使用例

「座して待つ」という表現は、諸葛孔明の言葉のように、「座して待つくらいなら~した方がよい、~すべきだ」という文脈で、「座して待つより~」の形でよく用いられます。

例文
  • 座して待つよりも、自分から行動する方が得策だ
  • 座して待つより、打開策を皆で検討しましょう

もちろん、「じっと待っている=傍観する」というニュアンスで使用されることもあります。

例文
  • 新人の私にはできることがなく、ただ座して待つしかない
  • 座して待つのはビジネスパーソンとして得策ではない

「座して待つのみ」は”行動しない方が良い”という意味も

「座して待つ」を「座して待つのみ」の形で使用した場合は、「何らかの行動をとらない方がかえって良い」というニュアンスにもとることができます。たとえば、「この件に関してはマネージャにすべてを託したので、あとは座して待つのみだ」という風な使用が可能です。

「座して死を待つ」と使う例もある

「座して待つ」という表現の方が一般的には使いやすいですが、本来の形である「座して死を待つ」という表現で用いられることがあります。この場合、実際の「死」を意味するのではなく、単に慣用的に用いられたと言えるでしょう。

たとえば、「この件に関して、私は座して死を待つつもりはありません」というと、「この件に関しては、ただ見過ごすつもりはなく、様々な手段を講じる決意だ」という意味です。「死」という言葉の印象から、「何もしないと計画が頓挫する・契約が破断になる」というニュアンスも含みます。

「座して待つ」の類義語とは?

「座して待つ」の類義語は”座視する・看過する”

「座して待つ」の類義語は、“座視する”“看過する”が挙げられます。「座視する(ざしする)」とは、”そばで黙って見て手出しをしないこと・傍観する”という意味です。また、「看過する(かんかする)」とは、”(あることを目にしながら)そのまま放っておくこと・見逃すこと”という意味です。他にも、「放置する」「知らん顔する」や「目をつむる」といった表現も、「座して待つ」と似た意味の表現と言えるでしょう。

「座して待つ」の英語訳とは?

「座して待つ」を英訳する場合は”look on”がベター

「座して待つ」を英語で表現する場合には、意訳する必要があります。たとえば、「傍観する」という意味の英語表現“look on”を使うことができます。他にも、「無視する・傍観する」という意味では、”neglect”という単語もあります。

例文
  • He just looked on and didn’t speak a word.(彼はただ傍観するだけで、一言も話さなかった)
  • I cannot neglect his warning.(彼の警告を無視することはできない)

また、「行動すべき時にただじっとしてる」という意味の慣用表現には、”sit on one’s behind”があります。「sit on one’s behind」とは、”何もしないでいる・だらだらしている”という意味の表現で、ほかにも「sit on one’s ass」「sit on one’s butt」「sit on one’s rump」といった表現も同義です。

まとめ

「座して待つ」とは、「ただじっと座って待つ」という意味から、「傍観する・見過ごす」といった意味の他、「忍耐強く待つ」というニュアンスでも用いられる表現です。元々は諸葛孔明の「座して死を待つよりは~」という名言に由来することもあり、現代でも「座して待つよりは~した方が良い」」という風に、行動策・解決策を述べるシーンで用いられることも多いのが特徴です。