「一考」の意味とは?「ご一考」や「一考の余地」も例文で解説

「ご一考の程お願いいたします」「この件は一考を要する」などに使われる単語「一考」について、その意味・使い方を解説します。ビジネスシーンでよくみられる「一考の余地がある」「一考に値する」などの使い方を例文で紹介するとともに、「検討」「思案」などの類語や「一考」の英訳についても触れています。

「一考」の意味や読み方とは?

「一考」の意味は”一度考えてみること”

「一考」の意味は、“一度考えてみること”です。漢字からも推測できますが、「少し考え、はかること」を意味して”一考”と使います。

「一考」の読み方は”いっこう”

「一考」の読み方は、“いっこう”です。「一考」の”考”は、「思考」のように音読みで「こう」と読むのが正しい読み方です。また、「一考」の”一”はつまるのがポイントで、「いちこう」は誤った読み方です。

「一考」のビジネスシーンでの使い方と例文とは?

「一考する」「一考した」と使う

「一考」は、”一考する”あるいは”一考した”と使います。たとえば、「決断を急がずに一考するべきだ」や「一考した結果がこれだ」といった使い方ができるでしょう。また、一旦考えたい、という場合に「一考させていただきます」といった使い方をすることもあります。

ビジネスメールでは「ご一考ください」もよく使う

「一考」の最も多い使用例では”ご一考ください”が挙げられます。「一度考えてみてください・検討してみてください」というニュアンスで使用される表現で、取引先とのメールでもよく用いられる表現です。この「ご一考ください」のニュアンスでは、より丁寧な言い回しもいくつかあります。

例文
  • お忙しいところ恐縮ではございますが、本件についてご一考いただけますと幸いです。
  • 提案書を送付させていただきます。ご一考の程、宜しくお願い申し上げます。
  • ○○様にも、ご一考いただければ幸いに存じます。

「一考に値する」は”採用の可能性・考える意味”を示唆する

「一考に値する」とは、直訳すると”少し考えてみる価値がある”という意味になり、つまり「(物事を)採用する可能性がある・考える価値がある」というニュアンスで使用されます。たとえば、「もう少し考えれば採用されるかもしれない企画」などに対して「この企画書は一考に値する」と使ったり、「採用の可能性・役に立つ可能性がある」というニュアンスで「B社の提案書は一考の価値がある」と使ったりすることができるでしょう。

一方で、「一考の価値もない」と否定形で使うと「検討する余地は全くない・考えるに値しない」というニュアンスになります。

「一考を要する」は「考える必要がある」の意味

「一考を要する」とは、”考える必要がある”という意味です。「改めて考えた方が良い」というニュアンスでも使用されます。たとえば、「本件は、予算面で一考を要する」というと、「予算について考え直した方がよい」という意味です。

「一考の余地がある」は検討不足のニュアンスにも

「一考の余地がある」とは、”まだ考える(検討する)だけのゆとりがある”という意味で、「まだ考えが足りない・もっとよく考えるべきだ」といったニュアンスにもとることのできる表現です。また、「もっと良い結論があるのでは?」と疑問を提議するような場面でも使われます。それゆえ、目上の人に対してはあまり使わない表現でもあります。

例文
  • この件については、私自身はまだ一考の余地があると思っています
  • まだ一考の余地があるはずだ、来週までに企画書を修正しておくように

「一考を投じる」は”考えさせた”の意味に

「投じる」とは、動詞”投ずる”の変化形で、「なげる・投げ込むように入れる・投げかける」などの意味を持ちます。「一考を投じる」と使うと、”一度考えてみるよう投げかける・はたらきかける”といったニュアンスにとることができるでしょう。

例文

彼女の発言は、多くの人に一考を投じることとなった

「一考」の類語とは?

「一考」と似た意味の単語は”検討”

「一考」と似た意味の単語には、”検討”が挙げられます。「検討」とは、”調べたずねること・詳しく調べ考えること”という意味の単語で、「良いかどうか考えるというニュアンスを持ちます。目上の人に対し、「ご検討ください」などとよく使われますが、ただ「考える」というニュアンスの「一考」に対し、”よく調べてよいかどうかを考える”という点で意味合いが異なります。

「思案」も似た意味の表現

「思案」とは、”思いを巡らすこと・考えること”という意味の単語です。「思案する」という風に使いますが、「思案」には”どれが最善の策なのかを考える・最善である方法を考える”というニュアンスがあります。「ご一考ください」のように、”ご思案ください”とも使えますが、「ベストな方法」について考えるのが”思案”の特徴です。

「一考」の英語訳とは?

「一考」は英語では”検討する”と表現する

「一考」を英訳する場合は、”検討”という意味の単語「consideration(名詞)」が適切でしょう。たとえば、「Thank you for your consideration.」は”ご一考の程よろしくお願いいたします”という意味の定型表現です。また、「考え・思考」という意味の”thought”を使い、「give it a thought(考慮する)」とすることもあります。

例文

It would be much appreciated if you could give it thought.(ご一考いただければ幸いです)

まとめ

「一考」とは、読んで字のごとく「一度考える・少し考えはかる」という意味を持ちます。「ご検討ください」のように「ご一考ください」「ご一考いただければ幸いです」のような締めの言葉としてもよく用いられますが、厳密には「検討」とはニュアンスが異なります。「一考」の使用例と併せて、類語も覚えておくと活用の幅が広がります。