「顕学」の意味とは?類語「碩学・博学」との違いや英語表現も

「顕学」とは、ゲームでも用いられたことのある単語ですが、本来は学問に関する単語のひとつです。本記事では「顕学」という言葉の意味をはじめ、使用例について解説します。また、「碩学」や「博学」といった類語との違いや、「顕学」の英語訳についても紹介します。

「顕学」の意味とは?

「顕学」の意味は”有名な学問・学者”

「顕学」の意味は、“有名な学問・名高い学問・有名な学者”のことです。読み方は「けんがく」です。「勢力のある学問・学派」あるいは「高名な学者」という意味で用いられることもあります。

「顕」には”名高い・地位が高い”という意味がある

「顕学」の”顕”の字は、音読みでは「けん」と読み、訓読みでは”あきらか・あらわれる”という読みを持ちます。その読みの通り、「はっきりしている・あきらかにする」と言った意味もありますが、「顕学」のように”名高い・地位が高い”という意味も持つ漢字です。

中国戦国時代の思想書『韓非子』にも「顕学篇」がある

中国戦国時代の法家である「韓非」による思想書『韓非子(かんぴし)』にも、「顕学篇」と呼ばれる章があります。この「顕学篇」では、当時非常に大きな位置を占めていた「儒家」と「墨家」というふたつの学派を「顕学」と位置づけながらも、その批判などが語られています。

「顕学」と「碩学」の違いとは?

「顕学」と「碩学」の違いは”意味が異なる”

「顕学(けんがく)」と「碩学(せきがく)」は似た意味をもつ言葉・類語としてしばしば紹介されますが、厳密には意味の異なる単語です。

「顕学」が、「高名な学問・学派、有名な学者」と名声や知名度に関して言及する単語であるのに対し、「碩学」は「広く深く学問を修めた人」と学問の広さと深さを意味します。「顕学」では学問の広さは問われません。

「碩学」の「碩」は、訓読みでは「おおきい」とも読み、「優れている・立派な・大きい」といった意味を持つ漢字です。そこから、「学問が広く深い」という意味で「碩学」と称するようになったと考えられます。広く深い知識を持っていること・またその人を指す単語が「碩学」で、とりわけ知名度の高い学問・学者が「顕学」です。

「碩学の○○」の形でよく使われる

「碩学」という単語は、「碩学の○○」という形でもよく用いられます。たとえば、「碩学の徒」というと、「広く深い学問を修めた人・知識が広く深い人」という意味です。

他にも、「碩学の学者」などといった表現も可能です。また、「徒」や「学者」のように特定の人を表す単語を用いなくても、「広く深く学問を修めた人」という意味で「碩学」と使うこともできます。

例文
  • 文学者でありながら、翻訳家や詩人としても活躍する彼は、我が国を代表する碩学のひとりだ
  • プロスポーツ選手としての活躍も記憶に新しいが、次は医学の道に進むときいて、碩学とは彼のことだと頷いている

「顕学」の使い方と例文とは?

「勢いのある学問分野」や「名高い学者」のことを指す

「顕学」は「勢いのある学問分野」を指して使われる他、「名高い学者」を指しても使うことができます。このとき、名高い学者の意味で使う際には「顕学者」とはいわずに「顕学」と呼ぶのが特徴です。

たとえば、「世界的にも有名な経営の顕学といえば、ピーター・ドラッカーだ」といったように、顕学には学者の意味が含まれるため、「者」をつけません。

「顕学」を使った例文

「顕学」を使った例文をご紹介しましょう。

  • 顕学と呼ばれる研究分野の話を聞くことができ、大変うれしく思う。
  • この道の顕学である○○教授の意見なのだから、誰も反対はしないだろう。

「顕学」の類語・類義語とは?

類語①「博学」とは”幅広い分野の豊富な知識を持っていること”

「顕学」と似た表現に「博学」が挙げられます。「博学(はくがく)」とは、”幅広い分野にわたる豊富な知識を持っていること”という意味です。日常的にも耳にすることのある身近な単語ですが、「顕学」とは意味合いが異なります。

「顕学」は”有名な学問・勢いのある派閥・高名な学者”といった意味であり、知識の量・幅は問題ではありません。また、「顕学」のように「学者」の意味はなく、「博学な人」は「博学者」と呼ばれる点も相違点です。

類語②「有識」とは”知識が広いこと・学問のある人”

「有識者会議」などに使われる「有識」もまた、「顕学」と似た意味の単語としてしばしば紹介されます。「有識(ゆうしき)」とは、”知識が広いこと・学問があり見識が高いこと”という意味です。「学問・見識のある人」という意味も持ちますが、「有識者」という単語でもよく知られています。

「有識」もまた、知識の幅や学問の程度に関して言及した表現で、「顕学」とは少々ニュアンスが異なります。しかし、場合によっては、「顕学(有名な学者)」が「有識者(学問があり、広い知識を持つ人)」であるというケースもあります。

「顕学」の英語訳とは?

「顕学」は英語で”eminent scholar”

「顕学」のような”著名な学者・優れた学者”は英語で「an eminent scholar」と表現します。「eminent」とは、”地位の高い・高名な・優れた”などの意味を持つ単語です。「学問のある人」という意味では、”a person of knowledge”という表現も可能です。

また、「顕学」を”高尚な(気高く立派な)学問”という意味で使う場合には、「profound studies」と表現することもあります。「profound」とは、”心からの・重大な”などの意味のほかに「学識の深い」という意味も持つ単語です。

まとめ

「顕学」とは、「有名な学問・高名な学者」という意味の単語で、しばしば「勢いのある学問・学派」といった意味でも使用されます。類語として紹介した「博学」や「有識」のように日常会話で見聞きすることは少ない単語でしょう。また、「顕学」は「碩学」と混同しやすいので、類語を分けて覚えておくと良いでしょう。