「良いお年を」の意味とは?後に続く言葉や別の言い方・喪中の表現

年の瀬が近づいてくるとビジネスシーンでも「良いお年を」という挨拶を耳にすることがあります。この「良いお年を」にはどのような意味があるのでしょう。本記事では、「良いお年を」の後に続く言葉や目上の人に対する使い方について、詳しく解説します。また、「良いお年を」の別の言い方や喪中における年末の挨拶についても触れています。

「良いお年を」の意味とは?

意味は「良いお年をお迎えください」を省略した表現

「良いお年を」の意味は、“「良いお年をお迎えください」を省略した表現”です。年の瀬が近づくとよく耳にする別れ際の挨拶です。「来年という年を、良い年として迎えられますように」という願いを込めた表現でもあります。

「良いお年を」の由来は諸説ある

「良いお年を(お迎えください)」という表現の由来には諸説ありますが、ツケ払いが主流だった時代(江戸時代)に、「すべてのツケを精算して、気持ちよく新年を迎えられますように」という意味で発せられたのがはじまり、という説が有名です。

また、「一年の終わりに大掃除をして、年神様に気持ちよく来てもらいましょう」「良い一年を迎えましょう」という考えから生まれたとも言われています。

「良いお年を」の使い方とは?

目上の人には「良いお年をお迎えください」がベター

「良いお年を」という表現はビジネスシーンでもしばしば耳にしますが、上司や目上の人に対しては「良いお年をお迎えください」という表現がよいでしょう。先述したように、「良いお年を」は略語なので、目上の人には略さずに伝えるのがベターです。「どうぞ良いお年をお迎えください」という表現もできます。

「良いお年をお過ごしください」は誤り

「良いお年をお過ごしください」という人もまれにいますが、近年ではあまり用いられません。古くは「慌ただしい年末を無事に過ごすことができますように」の意味で「お過ごしください」と使うこともあったようですが、現代では「良いお年をお迎えください」という言い回しが主流です。誤って使っていると誤解されかねませんので、「良いお年をお迎えください」と使った方がよいでしょう。

「良いお年を」は12月中旬~30日まで、大晦日にはNG

「良いお年を」という表現は、大体12月も中旬を過ぎたころから使用されます。年内に顔を合わせるのはこれが最後、という機会も増えてくるためです。といっても、具体的なきまりがあるわけではなく、年の瀬を感じ始めたら自然と口にする人が多いようです。

対して、いつまで使ってよいかに関しては明確な期日があります。一般に、「良いお年を」という挨拶を使用するのは12月30日までです。12月31日には使用しません。12月31日、つまり大晦日には、すでに新年を迎え入れる準備も整っているという考えから「良いお年を」というまでもない、というのが理由です。12月31日は、「来年もよろしくお願いします」などの挨拶を使用するのが通例です。

別の言い回しでは「良い年の瀬を」という表現も

「良いお年を」に似た表現では、「良い年の瀬を」という言い回しもあります。この場合、「良い年の瀬をお迎えください」と続きます。「良いお年を」が新しい一年を迎え入れる言葉であるのに対し、「良い年の瀬を」は、年末までの残り少ない日々をよいものにしてください、という願いを込めた表現と言えるでしょう。

メールで使える「良いお年を」の文例

対面では「良いお年を」や「良いお年をお迎えください」といった表現でもよいのですが、メールとなるともう少し丁寧な言い回しを使いたい、と思うことも多いものです。ビジネスメールでは「良いお年を」を含む文章は、結びの挨拶として使用されます。

例文
  • ○○様もどうぞよいお年をお迎えくださいませ。
  • 良いお年をお迎えくださいますことをお祈り申し上げます。
  • 新年にまたお会いできますことを心待ちにしております。どうぞ良いお年をお迎えください。
  • 末筆ながら、皆様のご多幸をお祈り申し上げます。良いお年をお迎えください。
  • お忙しい日々が続くかとは存じますが、お身体に気を付けて、どうぞ良いお年をお迎えください。

「良いお年を」はNG?喪中の挨拶とは?

自分が喪中の場合は使っても問題ない

「良いお年を」はお祝いの言葉ではないため、本来は、喪中にあたって使用してはいけない、というわけではありません。そのため、本人が不都合を感じないのであれば、喪中であっても年末の挨拶として「良いお年を」や「良いお年をお迎えください」としても問題ないでしょう。

相手が喪中の場合には「来年もよろしくお願いします」がベター

これに対し、相手が喪中であることが分かっている場合には、使わないのがベターです。喪中につき新年をしめやかに迎えたいと考える人にとって、「良いお年を」という表現は間違いではないにしても好ましく思われないためです。喪中の人には、「来年もよろしくお願いいたします」などにとどめておくのが無難です。

「良いお年を」に対する返事とは?

「良いお年を」と返すのが通例

「良いお年を」と言われた場合には、同じく「良いお年を」と返答します。相手が目上の人であれば、「良いお年をお迎えください」と返すと良いでしょう。「ありがとうございます。○○さんもよいお年をお迎えください」とするとより丁寧な印象です。また、「皆様も~」や「○○さんも~」と冒頭に付け足すことで、気持ちの入った表現となります。

「良いお年を」の英語訳とは?

英語では「Have a happy new year!」が定番

英語では、「良いお年を」の意味で”Have a happy new year!”という表現がよく用いられます。「Have a great new year!」としてもよいでしょう。クリスマス時期よりも前に使う場合には、「Have a merry Christmas and a happy new year.(よいクリスマスとよいお年を)」と表現することもしばしばです。

また、丁寧な言い回しでは、「Best wishes for the New Year.」も挙げられます。「Best wishes」とは、「たくさんの幸せが訪れますように」「お幸せに」の意味で使われる定型表現です。なお、「Best wishes for the New Year.」には、「恭賀新年」との和訳があてられることもあります。

まとめ

「良いお年を」は聞きなれた表現ですが、目上の人に使う場合には「良いお年をお迎えください」と略さずに使った方が丁寧です。また、「良いお年を」と声をかけられた場合に返答にためらう人も多いですが、「○○様もどうぞ良いお年をお迎えください」と同じ表現を返して問題ありません。相手の心遣いに感謝する意味で、「ありがとうございます」と先に付け足すとより丁寧です。失礼がないことはもちろん、気持ちのこもったやり取りができると良い年を迎えられるのではないでしょうか。