「特記事項」の意味とは?履歴書・報告書の書き方やビジネス例文

履歴書や日報などの報告書には、「特記事項」の欄があることも多いでしょう。この「特記事項」には何を書けばいいのでしょう。また、「書かない」という選択肢は正しいのでしょうか。本記事では「特記事項」の意味をはじめ、履歴書・職務経歴書やビジネスにおける報告書など、様々な書類の「特記事項」の書き方について例を挙げながら解説します。

「特記事項」の意味や使い方とは?

「特記事項」の意味は”特別に記載すべき事柄”のこと

「特記事項」の意味は、“特別に記載すべき事柄”のことです。「特にこれだけは伝えておきたい」という意味で使われます。注目すべき点を述べる際や読む人に気を付けてほしい点を挙げる際にも「特記事項」という表現を用いることがあります。

「特記事項」はメインで伝えたい情報に対して使う表現ではない

「特記事項」は”これだけは伝えておきたい”という意味で用いられる表現ですが、メインで伝えたい情報に対して用いる表現ではありません。主たる情報の補足・強化のための情報や、付随的な情報が「特記事項」に該当します。補助的な情報を添えることで、相手の興味をひいたり、信頼性を高めたりすることが「特記事項」の目的です。

「特記事項」メールの機能のひとつとして用いられる

「特記事項」はメールの機能のひとつとして用いられることもあります。この「メール機能としての特記事項」では、主に、組織の代理責任の放棄や機密情報が含まれていることの警告メッセージとして利用されます。

具体的に言うと、「組織はこのメッセージに書かれた内容に一切責任を負わない」ことを受信者に通知する目的で「特記事項」の機能が使用されます。加えて、送信ミスなどで意図しない相手がメールを受け取った場合に、「その内容を他人と共有せずに破棄するよう要請する」のもメールの「特記事項」の代表的な使用例です。

「特記事項」の例と書き方とは?

履歴書では自己アピールや希望条件を書く

履歴書の「特記事項」欄は、様々な活用方法があります。そのひとつめが、自己アピールとして使用する方法です。資格について細かく記載したり、得意分野や長所を述べたりするのに使用できます。希望条件を記入するのもよくある例です。入社後に配属を希望する職種や就労時間の希望、あるいは収入について希望額を提示することもあります。

例文
  • 現在、「○○(資格名)」について勉強中で、○月の取得を目指しています。
  • 入社後は、家族の介護等の関係から本社勤務を希望します。
  • 前職では経理事務にも携わっていたので、数字には自信があります。

「特記事項」には”できないこと”を書く場合も

「特記事項」には、入社後にどうしても応じられないこと・できないことについて記載する場合もあります。たとえば、転居を伴う転勤はできない・残業には応じられない・(アルバイトの場合は)週3日以上の勤務はできない、などの条件が挙げられます。

例文
  • 親族の介護のため、恐れ入りますが、転居を伴う転勤はできません。
  • 持病の通院のため、月に1度はお休みをいただきたく存じます。
  • 子どもの保育所の関係で、定時後1時間を超える残業はできかねます。ご了承願います。

転職時の職務経歴書でも簡潔にまとめるのがポイント

転職時には、履歴書に加え、職務経歴書の提出が求められます。この職務経歴書の「特記事項」欄も、上述のように自己アピールに使ったり、希望条件の提示に活用したりするのが一般的です。ただし、履歴書の「特記事項」欄は限りがあるのに対し、自由なフォーマットで作成できる職務経歴書は、「特記事項」欄の自由度も広がります。そのため、思いの丈をだらだらと記載しがちですが、読みやすさを考慮して簡潔に記載するように心がけましょう。

書くことがない場合は「特になし」と記入

履歴書のように予め「特記事項」のスペースが設けられている場合には、たとえ記載したいことがない場合でも空欄にするのは好ましくありません。特に就職活動においては、空白が嫌われます。空白なのか、単に書き忘れたのか判別がつきにくいこともその理由のひとつです。

特に書くことがない場合には「特になし」「特にありません」などと記載しましょう。また、履歴書では「貴社規定に従います」という表現もよく用いられます。

報告書の「特記事項」の書き方とは?

報告書でも「補助的情報」を記載するのは同じ

ビジネスシーンではあらゆる報告書に「特記事項」が記載されています。この場合、書類の種類を問わず、「補助的な情報」を書き入れます。たとえば、報告書の他の項目には該当しないものの、共有すべき内容・報告すべき内容を記載することが多いでしょう。もちろん、ここでも特にない場合にはブランクにせずに「特になし」と記入するのがマナーです。

例文
  • 本日の作業内容ではありませんでしたが、○○の箇所に破損が見られたため応急処置をしました
  • 作業は無事に完了していますが、消耗品の減りが早かったので後日補充に伺います
  • 備品在庫が少なかったため、発注要

日報では自分の気付きを記載することも

「作業報告書」などとは異なり、日報は日々記入するものなので「特記事項」に何を書けばよいか戸惑う人も多いものです。日報では、その日の自分なりの考察・気づいた点を記載しましょう。たとえば、取引先とのやりとりで印象に残った話・仕事につなげられそうな話題・経済や業界動向などの時事ネタなども使えます。日々こうしたネタを書く癖をつけておくことで、引き出しが増えるものです。

「特記事項」の類語とは?

類語①「備考」とは”参考として添付する事柄”

「備考」とは、”参考として添付する内容”という意味です。「備考」はあくまでも”参考程度”の情報にすぎないのに対し、「特記事項」は(メインの情報ではないとしても)重要なこと・注意をしてほしい情報という意味も含む点で異なります。

類語②「特筆」は”特記事項”とほぼ同等

「特筆(とくひつ)」とは、”一つの情報・内容に対し、これだけは特に知っておいてほしい”という情報や”特別に配慮してほしい”という内容を指します。そのため、「特記事項」と同じ意味の単語として使用することができるでしょう。ただし、厳密に言うと、「特筆」よりも「特記事項」の方が注意度が高いとされています。

「特記事項」の英語訳とは?

「特記事項」は英語で”notification”

「特記事項」に相当する英単語には“notification”が挙げられます。「notification」は、”特記事項・知らせ”という意味の単語です。ほかにも「notice」も”特記事項・報知”の意味で使用されます。また、同じ「特記事項」という和訳が宛てられる単語でも、「attention(注意点・注目)」や「alarm(警報)」「caution(注意点)」などは「注意喚起」のニュアンスの強い表現と言えるでしょう。

その他のの表現
  • bulletin(特記事項・ニュース速報)
  • observation(注意点・特記事項)
  • announcement(留意点・特記事項)

まとめ

「特記事項」とは、主たる情報の補足・強化のためにどうしても伝えたい情報・知っておいてほしい情報などに対して使用する表現です。履歴書など就職活動の応募書類では自己アピールとして使うほか、希望条件を伝える際に活用できます。各種報告書でも「特記事項」に記載する情報はあくまでも補足的な情報となりますが、日報に関してはその日の気付きなど柔軟な使い方が可能です。