「上記」の意味とは?ビジネスでの使い方・例文と類語との違い

「上記の通り決定いたしました」や「上記の件、同意いたします」などに使われる「上記」という表現ですが、具体的にはどう使うのが正しいのでしょう。本記事では、「上記」という単語の意味と使い方を例文で解説します。また、ビジネスシーンでよく目にする「以上」「上述」「前記」などの類語との違いや英語訳についても触れています。

「上記」の意味や読み方とは?

「上記」の意味は”上または前に記してあること”

「上記」の意味は、“上または前に記してあること”です。つまり、「上記」という単語よりも前に書かれた事柄を指して「上記」と使用します。

「上記」の読み方は”じょうき”

「上記」の読み方は“じょうき”です。

「どこまでが上記か」という細かい定義はない

「上記」の指す部分は曖昧で、「どの部分までを上記」とするかに細かい定義はありません。文章中から、「上記」とされる事柄を読み解くことが求められます。

「上記」の使い方と例文とは?

「上記の通り」と客観的事実に対してよく使う

「上記」は、”上記の通り”という表現でよく用いられます。たとえば、面接の日時や場所などの詳細を記載した後で、「面接の詳細につきましては、上記の通りです。当日はお気をつけてお越しください」などとすることも可能です。また、「上記の通り」という表現に限らず、場所や日時、実際に起きた事柄など客観的事実に対して用いられることが多いと言えるでしょう。

例文
  • 上記の内容をよくご確認いただきますよう、お願い申し上げます。
  • 現場からの要請は上記の通りです。ご勘案頂けますようお願いいたします。

「上記の件」という使い方も

「上記」は”上記の件”という使い方もよく目にします。たとえば「同意書」がその良い例です。「記」としていくつか箇条書きにした後に、「上記の件について、同意します」の一文を添え、署名・捺印を求めるような書式が挙げられます。

また、「上記の件について、今後は○○にお問い合わせください」や「上記の件につきましては、変更の可能性があります。あらかじめご了承ください」などといった表現もできるでしょう。メインとなるような情報を先に記載し、後から補足的な情報を追記する場合などにも用いられる表現です。

「上記」は書いてあることに対して使う表現

「上記」は、”記す(しるす)”の漢字が使われているように、基本的には書き言葉として用いられます。会話・口頭で使う場合は、手元に資料があり、その文書を指し示しながら解説する場合など、限られたシーンでしか用いられません。

「上記」は主に横書きに対して使われる、縦書きでは”右記”

「上記」という単語は”上・あるいは前に書かれた事柄”を指すことは先述した通りですが、これはつまり横書きであることを示しています。縦書きの場合に「前に書かれた内容」に言及したい場合には「右記」という表現が正しいでしょう。縦書きでは、「前に書いた内容」が文書の右側に来るからです。

余談ですが、横書きでこれから書く内容には「下記」を、縦書きでこれから書く内容には「左記」を使用します。関連用語として覚えておきましょう。

「上記」と「以上」の違いとは?

「以上」にも”これまでに述べてきたこと”の意味がある

「以上」には、程度や数量に対し”それよりも多い(20歳以上・10部以上、など)”という意味もありますが、「これまで述べてきたこと」という意味で「以上」と使用することもあります。たとえば、「以上の通りです」「以上、ご報告申し上げます」などの使用が挙げられます。

また、「記」として箇条書きにした場合には、その終わりを示す表現として「以上」を使用するのが通例です。

文章以外では「以上」を使う

「以上」もまた、「上記」と似た意味を持ちますが、その両者の違いは使い方にあります。一般に、「上記」は書き言葉として使用されるのに対し、「以上」は話し言葉です。文章以外の場面で「これまでに述べたこと」という意味で使う場合に「以上」と使用します。また、「以上」は、特に総括するようなシーンで「以上の通り、Aには○○という傾向が顕著に現れました」と使うことが多いのも特徴です。

「上記」の類語とは?

「上述」は主観的な事柄で使うことが多い

「上述(じょうじゅつ)」は、”上で述べたこと”という意味の単語で、「上記」同様に横書きで用いられる表現です。たとえば、「上述のような理由が挙げられます」「原因は上述の通りです」といった使い方ができます。「上記」が客観的事実に対してよく用いられるのに対し、「上述」はどちらかというと主観的な事柄に対してよく用いられる点が特徴です。自分の意見が混じった文章において、「上で述べたこと」という場合に「上述」と使います。

「上記」の類語には”前記”や”先述”も

「前記(ぜんき)」とは、”前に書き記したこと”という意味の単語です。「前記の通り」など、「上記」と同じような表現として使用することができます。「前記」もまた、「記したこと」に対して用いる書き言葉ですが、横書きでしか使用できない「上記」に対し、縦書き・横書きのいずれでも使用できる点は「前記」の大きな特徴です。なお、この「前記」には、「編集前記」のように”本文の前に書き記すこと”という意味もあります。

「先述(せんじゅつ)」は、”先に述べたこと”という意味の単語で、「先述したように~」や「先述した通りです」などの言い回しで使うことができます。この「先述」の一番の特徴は、別の記事で以前書いた事柄に対しても使えるという点でしょう。「○○については、先述の記事をご参照ください」などという表現も可能です。

「上記」の英語訳とは?

「上記」は英語では”above”で表現

「上記」を英語で表現する場合には「上」という意味を持つ“above”という単語を使用します。「the above」だけでも「上記の」という意味で使用できますが、「the above‐mentioned」という表現も可能です。また、日本語の使用例で紹介した「上記の通り」や「上記の件」は以下のように表します。

例文
  • 上記の件 the above matters
  • 上記の通り as above
  • 上記のように as noted above
  • 上記で間違いありませんか?Is the above correct? / Is the above information correct?
  • 上記のスケジュールは確定しました The schedule above has been confirmed.

まとめ

「上記」とは、文字通り「上に記したこと」を指し示す言葉で、「上述」や「先述」「前記」などと同じ意味合いを持ちます。ただし、「上記」は書き記したことにのみ使う表現であること、また横書きでのみ用いる表現という点がポイントです。縦書きの場合には用いることはできませんし、話し言葉としては「以上」を使用することが多いでしょう。