「自重」の意味とは?2つの読みと意味・使い方や類語を解説

「自重しなさい」などに使う「自重」と「自重トレーニング」に使う「自重」は読み方も異なれば、その意味も異なります。本記事では、「自重」の持つ「じちょう」と「じじゅう」の二つの読みに着目し、その意味と使い方を例文で詳しく解説します。また、「自重(じちょう)」の類語「自粛」や「自制」、英語訳についても紹介しています。

「自重」の意味と読み方とは?

「自重(じちょう)」の意味は”慎重に行動すること”

「自重」の意味は、“自分が間違いを起こさないよう慎重に行動すること”です。「自分の行いを慎み、軽々しいふるまいをしないこと」というニュアンスも持ちます。特に、最近では「行動を慎む」というニュアンスでよく使用されています。

「自重(じちょう)」には”自分を大切にする”という意味も

「自重(じちょう)」には、”慎重に行動する”という意味の他、「自分自身を大切にする・重んじる」という意味もあります。むやみに自分自身を卑下しないこと・自らを価値のあるものとして大切にすることが「自重」です。この「自分を大切にした行動」というニュアンスが、「慎重に行動する」という意味に繋がっていると考えられます。

「自重」の読み方は”じちょう”

「自重」の読み方は“じちょう”です。

「じじゅう」と読む場合は”そのもの本体の重さ”のこと

「自重」を”じじゅう”と読む場合には、「そのもの本体の重さ」という意味になります。読んで字のごとく、「自分(そのもの)自身の重さ」を指します。たとえば、車両や船舶などにおいて、「付属物・積載物を除いた本体の重さ」という意味で使用される表現です。

「自重」の使い方と例文とは?

「軽々しい行動をしない」の意味でよく使う

「自重」は”慎重に行動する・軽々しい行動をしない”というニュアンスでよく用いられます。他にも「行動を慎む・行動に気を付ける」というニュアンスで「自重する」と使われることもよくある例です。

例文
  • 忘年会では羽目を外しすぎたので、しばらく飲みの席は自重しよう。
  • 将来のことも考えて、お金のかかる趣味は自重することにした。

また、「上司に自重するように言われた」というと、「上司に行動を慎むように言われた」という意味合いになります。簡単に言うと「調子に乗るな」といったニュアンスでも使用される表現です。

「自分を大切にする」という意味での使用例

「自重」には、”自分自身を重んじる・自分を大切にする”という意味もあります。その代表的な使用例が「ご自重ください」という表現です。この「ご自重ください」とは”自分を大切にしてください”、つまり「お体にお気を付けください」と同じニュアンスになります。手紙やメッセージのやり取りで相手を気遣う結びの挨拶として用いられる表現です。

例文
  • ご多忙の折とは存じますが、何卒ご自重ください。
  • まだまだ寒い日が続きますので、一層のご自重をお祈り申し上げます。

「自重トレーニング」は”自分の体重を負荷としたトレーニング”のこと

「自重トレーニング(じじゅうとれーにんぐ)」とは、”自分自身の体重を負荷として活用したトレーニング”のことです。自分の体重を利用するので、器具がなくてもできるトレーニング方法です。たとえば、腕立て伏せやスクワット、懸垂(けんすい)などがその代表例として挙げられます。

「自重」の類語とは?

類語①「自粛」とは”他者の評価を気にして行動を慎むこと”

「自重」と似た意味の単語に“自粛”が挙げられます。「自粛(じしゅく)」とは、”自分で自分の行動を慎むこと”という意味です。「自重」は”自分が問題を起こさないように慎重な行動をとる”という意味でしたが、「自粛」は”他者からの評価を気にして、自分の意思で行動・態度を慎む”場合に使う点が特徴です。

類語②「自制」とは”自分の欲望を抑えること”

「自制(じせい)」とは、”自分の感情や欲望を抑えること”という意味です。「自分の感情をおさえ、言動に表さないこと」が”自制”です。「自制心」という表現でもよく用いられますが、「自制心」とは”自分の感情や欲望を抑えようとする心”という意味になります。「自重」は”慎重に行動する・軽々しい行動をしない”という意味ですので、「自制」とは異なる意味を持つ単語と言えるでしょう。

「ご自重ください」とは”ご自愛ください”とも

「自重」の使い方として”ご自重ください”という表現を紹介しましたが、この「ご自重ください」の類似表現として“ご自愛ください”が挙げられます。「ご自愛ください」とは、相手の体調を思いやる表現のひとつで、「ご自重ください」と同じように、手紙やメールの結びの挨拶としてもよく用いられる表現です。

「自重」の英語訳とは?

「自重する」の英語訳では”Watch”を使う

「自重する」を英語で表現する場合には、“watch”を使用します。「watch」は”見る”という意味がよく知られていますが、「watch oneself」の形で”気を付ける”という意味になります。

例文
  • You had better watch yourself.(君は自重した方がよい)
  • Watch yourself when you are drinking.(酒の席では自重しなさい)

また、「prudent(慎重な・用心深い、の意味)」を使用して「Be prudent in ~」で「~する際には用心しなさい(自重しなさい)」という意味にすることもできます。

まとめ

「自重(じちょう)」とは、「間違いを起こさないよう行動を慎む・軽々しく行動しない」「自分を大切にする」という意味があります。また、「じじゅう」と読み、「そのものの本体の重さ」という意味でも使われます。ビジネスシーンでは前者のニュアンスで使用されることが多く、「自重する」あるいは「自重しなさい」などとよく見聞きする表現です。ぜひこの機会に覚えておきましょう。