「羨望」の意味とは?「羨望の眼差し」など使い方と類語・対義語

「羨望の眼差しで見つめる」「彼は羨望の的だ」など、「羨望」という単語には様々な使い方があります。本記事では「羨望」の意味とともに、その使い方を例文で詳しく解説します。また、「羨望」と似たニュアンスの「嫉妬」との違いをはじめ、類語・対義語や英語訳など関連用語も記載しました。

「羨望」の意味と読み方とは?

「羨望」の意味は”うらやましく思うこと”

「羨望」の意味は、“うらやましく思うこと”です。他人の能力や環境、財産などに対して「うらやましい」と思う気持ちを表す際に使用します。

「羨」は、訓読みでは”うらやましい・うらやむ”と読み、「望」は訓読みで”のぞむ”と読みます。その読み通り、「うらやましいと思い、そうなりたいと望む」ことが「羨望」です。

「羨望」の読み方は”せんぼう”

「羨望」の読み方は“せんぼう”です。

「羨望」の使い方と例文とは?

「羨望の眼差し」は周囲のうらやましい気持ち

「羨望の眼差し」とは、周囲がうらやましく思う様を表す際に用いられる表現です。周囲からの憧れ・羨む気持ちが眼(視線)に宿る様を「羨望の眼差し」あるいは「羨望の目」などと言い表します。

例文
  • 同僚の熱い羨望の眼差しを感じる
  • 幸せ溢れる新婦の笑顔に羨望の目を向けた

「羨望の的」は”うらやましいと思われる対象”のこと

「羨望の的」とは、”うらやましいと思われる対象”を意味します。たとえば、「彼は羨望の的だ」というと、”彼は(周囲の人に)うらやましがられている”という意味になります。

例文
  • 友人の中でも結婚が早かった私は、当時羨望の的だった
  • 社長賞を受賞し破格の賞与を手にした彼は羨望の的だ

「羨望する」の形でも使われる

「羨望」は、”羨望の的・羨望の眼差し”のように慣用表現として使われることが多いですが、「羨望する」と動詞として使うことも可能です。「羨望する」とは、”うらやむ・うらやましいと思う”という意味です。また、「羨望に耐えない」とすると、”羨望の気持ちを抑えることができない”という意味になり、より強い感情を表す表現となります。

例文
  • 友人の成功を羨望する
  • 同期の栄転を聞き、羨望に耐えない

「羨望心」は”うらやむ心”のこと

「羨望心」とは、読んで字のごとく”うらやむ気持ち・心情”を表します。たとえば、「羨望心を抱く・羨望心を持つ」といった使い方が可能で、いずれも「羨望する」と同じ意味で使用することができます。

「羨望」と「嫉妬」の違いとは?

「嫉妬」とは”うらやましくもねたむこと”

「嫉妬(しっと)」とは、”自分より優れた人を妬む(ねたむ)こと”や”やきもち”を意味する単語です。「嫉妬」は、”嫉妬心”という表現でもよく用いられます。たとえば、「出世した友人を嫉妬する」や「彼と親し気な女性に嫉妬する」などといった使い方が可能です。

「羨望」と「嫉妬」との違いはネガティブなニュアンス

「羨望」と「嫉妬」は、いずれも”うらやましい”という感情を含む表現ですが、「嫉妬」の持つ”妬む(ねたむ)”という意味には「うらやましくも憎む」というニュアンスが含まれます。つまり、「嫉妬」がネガティブな意味を含む”うらやましい”という感情であるのに対し、「羨望」はあくまでも純粋に”うらやましく思う”感情である点で異なります。「羨望」がやがて「嫉妬心」に変わることもありますが、両者はニュアンスの全く異なる表現です。

「羨望」の類語とは?

似た意味の単語は「憧れ」や「憧憬」

「羨望」と似た意味の単語は“憧れ”“憧憬(しょうけい)”です。「憧れ」とは、”思い焦がれたり、理想として思いを寄せたりする様”を表します。たとえば、理想とする人に対して、「自分もそうなりたい」と強く思うこと・惹かれることが「憧れ」です。「憧憬(しょうけい)」もまた、”憧れること”を意味する単語です。

「憧れ・憧憬」は”理想とする人”に対する感情というのが特徴で、「羨望」は”自分よりも恵まれた境遇にある人”に対する感情である点で異なります。どのような人に対する感情なのかで、使う単語が変わってきます。

目上の人には「羨慕」を使う

「目上の人に対してうらやましく思う」という意味では”羨慕(せんぼ)”という単語があります。「羨慕」は、”うらやみ、したうこと”という意味です。「羨望」が”自分よりも優れた人”という幅広い対象に使えるのに対し、「羨慕」は”目上の人の見識・学識・人格”などに対して使うやや限定的な表現と言えるでしょう。

「羨望」の対義語とは?

「羨望」と反対の意味の単語は”幻滅”

「羨望」と反対の意味を持つ単語には“幻滅”が挙げられます。「幻滅(げんめつ)」とは、”幻想からさめ、現実に戻りがっかりすること”という意味の単語です。たとえば、自分が思い描いていた事柄が、現実には幻に過ぎなかった・そうではなかったということを悟った場合に「幻滅」と表現します。

例文
  • 入社早々、激務な先輩社員の姿に幻滅した。ホワイトな職場には程遠い会社だった
  • 悠々自適な田舎暮らしを夢見ていたが、幻滅することばかりだ

「羨望」の英語訳とは?

「羨望」は英語で”envious”や”jealous”を使う

「羨望」を英語で表現する場合には、“envious(形容詞)”を使用します。「envious」とは”うらやましい”という意味の英単語で、「うらやむ」という動詞では”envy”があります。「I envy you.」「I’m envious of you.」で”うらやましいです”という意味になります。日本語の「羨望」のように、単に”(相手の持ち物などを)うらやましい”という意味で使われます。

「うらやましい」という気持ちを表す英単語には“jealous”もあります。「jealous」は”嫉妬深い・やきもちを妬く”などの和訳で知られていますが、会話表現として「うらやましい」という場合には、”envy”や”envious”よりも「jealous」の方が好んで使われるようです。たとえば、「I’m jealous of you!」で”うらやましい!いいな!”という意味です。ネガティブな感情を表す際にも「jealous」を使うことがありますが、日常的な軽い表現としても使えるのが特徴です。

まとめ

「羨望(せんぼう)」とは「うらやましく思う気持ち」という意味の単語で、「羨望の眼差し」「羨望の的」などの表現でよく知られています。これに対し、同じ「うらやましい」というニュアンスを含む単語でも「妬む・憎む」という意味を持つのが「嫉妬」です。似ているようで意味合いが大きく変わるため、区別して覚えておきましょう。