「範疇」の意味とは?使い方や例文と類語「範囲」との違いも紹介

「この件は契約の範疇に収まる」「私の権限の範疇を超えている」など、あらゆる事柄の幅や範囲を表す言葉のひとつに「範疇(はんちゅう)」があります。本記事では「範疇」の詳しい意味とその使い方を例文で解説します。また、似た意味の単語「範囲」との違いをはじめ、類語・英語訳についても記載しました。

「範疇」とは?

「範疇」の意味は”同一性質のものが属する部類・部門・枠組み”

「範疇」の意味は、“同一性質のものが属する部類・部門・根本的な枠組み”のことです。「範」には”区切られた枠”という意味が、「疇」には”たぐい・同類”という意味があります。そこから、「同じような性質を持つものが属する部類・似た特徴を持つものの範囲」という意味となったようです。「範疇」は、”同じような性質を持つものの部類に属すること”を「範疇にある」と表現し、”その部類に属さない”場合には「範疇にない」と表現します。

「範疇」の読み方は”はんちゅう”

「範疇」の読み方は“はんちゅう”です。

哲学用語としては「基本概念」を意味する言葉

「範疇」は哲学用語のひとつとしても有名です。哲学用語としての「範疇」は、”最も基本的な認識論上の概念”という意味で使用されます。たとえば、これ以上分類できないレベルの基本概念や、物事を判断する上でどうしても依存せざるを得ない概念を指して「範疇」と言います。

「範疇」の「疇」の漢字は常用外

「範疇」の”範”の字は「模範(もはん)」や「規範(きはん)」などの単語でも目にする漢字ですが、「疇」の漢字はなじみがない人も多いことでしょう。実はこの「疇」の漢字は常用外漢字であるため、あまり用いられない漢字のひとつなのです。とはいえ、「範疇」という単語はビジネスシーンでもよく使う単語ですので、これを機に「はんちゅう」という単語の読みは覚えておきましょう。

「範疇」の使い方と例文とは?

「範疇に入る」「範疇に収まる」などと使う

「範疇」の使用例では、「範疇に入る」あるいは「範疇に収まる」という表現が挙げられます。この場合、”同じ部類に属する・同一の性質を持つものの枠内に入っている”という意味です。端的に表す場合には、「範疇だ・範疇である」としても問題ありません。

例文
  • これもマネージャーとしての業務の範疇に入るのだろうか
  • 契約書の範疇に収まるよう、調整が必要だ
  • これも業務の範疇だ

「範疇を超える」は”範囲外”のニュアンス

一方、「同じような性質を持つものの枠組みに入らない・それ以上である」という意味では”範疇を超える”という表現が用いられます。「範疇を逸脱する」という言い回しも可能です。

例文
  • 彼の知識は趣味の範疇を超えている
  • 彼の行動は、私の理解できる範疇を超えている
  • 明らかに業務の範疇を逸脱している

「範疇にない」は”該当しない”のニュアンスに

「範疇にない」は、”その範囲にはない・逸脱している”というニュアンスから、「該当しない」という意味合いで用いられることもあります。たとえば、「この業務は通常、アルバイトスタッフの業務の範疇にない」というと、”アルバイトスタッフの業務には該当しない”という意味です。同様に、「範疇外」という表現を使うこともあります。「契約の範疇外」などと使います。

「○○の範疇」という表現で幅広く使うことが可能

「範疇」は、”○○の範疇”という形で、様々な物事の範囲・カテゴリーを表す際に使用することができます。たとえば、「想像の範疇を出ない」というと”想像の域からは出ない(現実には不可能だ)”の意味になります。他にも、「常識の範疇・責任の範疇・許容の範疇」など、様々な事柄のカテゴリーの枠組み・範囲を意味する表現として使用可能です。

「範疇」と「範囲」の違いとは?

「範囲」とは”区切り・広がり”のこと

「範囲」とは、”区切り・一定のきまった広がり”という意味です。「範囲」の「範」は、”区切られた枠”を、「囲」は、”かこい・まわり”を意味します。つまり、一定の限られた広がり・カテゴリーを表すのが「範囲」です。

例文
  • 彼女は行動範囲が広い
  • 今回は試験範囲が広く、大変だ
  • できる範囲で回答します。

「範疇」とは”同じ性質のものの範囲”

「範疇」の意味を説明する際に「範囲」という単語を使用することもありますが、実際には「範疇」と「範囲」ではややニュアンスが異なります。「範囲」は”特定の広がり”を意味するため、「範疇」よりも枠組みが広いのが特徴です。「範疇」は、「範囲」の中でも”同じ性質のものを集めた(さらに細かい)範囲”のニュアンスになります。「範囲」が”特定のカテゴリー”であるならば、そのカテゴリー内でさらに分けられた同質のものの枠組みが「範疇」なのです。

「範疇」の類語とは?

「範疇」の類語は”部類”や”種別”

「範疇」と似た意味の単語には“部類”“種別”が挙げられます。「部類」とは、”種類によって区別すること・その区分け”という意味で、「友達の部類に入る」や「エリートの部類に属する」などと使います。「種別」は、”種類による区別・区分のこと”です。「物件の種別」や「列車の種別」などといった使い方が可能です。「範疇」と似た意味の表現にはほかにも、「部門」や「区別」などが挙げられます。

「範疇」の英語訳とは?

「範疇」の英訳では”category(カテゴリー)”を使う

「範疇」の英語訳では“category”を用いるのが一般的です。たとえば、「私の範疇を超えている(範疇外だ)」とは、”The work is out of my category.”と表現します。「私の範疇ではない」という言い回しでは、単に”The work is not mine.(私のものではない)”と表現することも可能です。

まとめ

「範疇」とは、「同じような性質を持つものが属する部類・枠組み」を意味します。「範疇にある」「範疇にない」という表現のほか「範疇を超えている」などともよく使用されます。「範囲」と似たニュアンスを持ちますが、「範囲」の中にあるさらに分けられた枠組み・部類を「範疇」ととらえるとわかりやすいでしょう。