「未曾有」の意味とは?正しい読み方や例文解説と類語・英語訳

大規模な自然災害に見舞われることの多い日本では「未曾有の災害」という表現がしばしば用いられることがあります。「未曾有」はその意味だけでなく、難読漢字として読みの難しさもしばしば話題に上ります。本記事では、「未曾有」の正しい意味と読み方、その使い方について例文で詳しく解説しました。また、類語や英語訳についても触れています。

「未曾有」とは?

「未曾有」の意味は”今までに一度もなかったこと”

「未曾有」の意味は、“今までに一度もなかったこと・極めて珍しいこと”です。「未曾有」の「曾」の字には”かつて”という意味があり、「未曾有」と並べることで”今だかつてあらず”という意味になります。

「未曾有」の読み方は”みぞう”、「みぞうゆう」は誤り

「未曾有」の読み方は“みぞう”と読みます。以前ある政治家が「みぞうゆう」と読み間違えたことで話題になったことがありますが、正しくは「みぞう」です。また、「未曾有」の漢字を”みぞうう”と読んだ時代もあったようですが、現代においては「みぞう」と読まれるのが通例となっています。

仏教用語に由来する言葉

「未曾有」は、”仏の神秘さ・尊さ”を称賛する際に用いられる仏教用語として使用されていた単語です。そのため、本来は「いまだかつてないほど素晴らしい」と褒めたたえる表現だったと言われています。この意味は現代でもなくなったわけではありませんが、良いことよりも悪いことに対する使用が多い傾向にあります。

「未曾有」の使い方と例文とは?

「未曾有の出来事」と災害時などに使うことが多い

「未曾有」は”いまだかつてない程の事柄”を指して使用されますが、特に災害や事件など良くない事柄に対してよく用いられます。

例文
  • 今年は未曾有の出来事と呼ばれる規模の災害がいくつも発生した
  • 未曾有の出来事にも耐えうるだけの蓄えが必要だ
  • 未曾有と呼ぶには大げさだ

ビジネスでは「未曾有の事態」ともよく使う

ビジネスシーンで「未曾有」と使う場合には、「未曾有の事態」という表現がしばしば用いられます。たとえば、厳しい経営難に陥った場合などは「未曾有の事態」ということができるでしょう。「不況・苦境」といった表現よりも、状況が重大かつ深刻であることを意味します。より大変な印象を与えることができる表現です。

例文
  • 諸外国の不況のあおりを受けて、当社は未曾有の事態に直面している
  • 経営陣の不祥事が続き総辞職となり、皆が困惑している。まさに未曾有の事態と言えるだろう

「未曾有」の類語とは?

「未曾有」の類語①前代未聞

「未曾有」と似た意味を持つ四字熟語に“前代未聞”が挙げられます。「前代未聞(ぜんだいみもん)」とは、”今までに聞いたことがないほどに珍しいこと”という意味です。たとえば、「前代未聞の事態」と表現したり、「このような災害は前代未聞だ」という風に使ったりすることができます。「未曾有」と似た意味を持ちますが、”驚く程の珍しいこと・風変わりな”というニュアンスでも「前代未聞」と使うことがあります。

「未曾有」の類語②空前絶後

「未曾有」と似た意味の表現には、“空前絶後”も挙げられます。「空前絶後(くうぜんぜつご)」とは、”これまでにはもちろん、これから先もあり得ないこと”という意味の四字熟語です。”いまだかつてない程珍しい”という意味の「未曾有」よりも、強い印象を与える表現です。たとえば、「先の台風は、空前絶後の災害だ」というと、”先日の台風は、これまでにない程の災害で、かつ、これから先にもないほどの大災害だ”というニュアンスとなり、その被害の大きさをより一層強調した表現となります。

他にも、「前例のない」や「類のない」といった言い回しに代えて表現することも可能です。

「未曾有」の英語訳とは?

「未曾有」は英語では”unprecedented”と表現

「未曾有」を英語で表現する場合には、“unprecedented”という単語を使用します。「unprecedented」とは、”前例のない・空前の・未曾有の”といった意味を持つ単語です。たとえば、「the unprecedented conditions」で”未曾有の状況”という意味になります。良い事柄・悪い事柄の両方に用いられる単語です。

また、「これまでに経験したことがない」という英訳でも表現することができます。たとえば、「the most disastrous earthquake on record(記録上最も悲惨な地震=未曾有の大地震)」あるいは「the most disastrous earthquake that has ever been experienced(これまで経験した中で最も悲惨な地震=未曾有の大地震)」といった表現が可能です。また、”聞いたことがない”という意味では「unheard-of~」という表現をすることもあります。

まとめ

「未曾有」とは、”これまでに一度もなかったこと・きわめて珍しいこと”という意味です。難読漢字のひとつとしてもよく話題になるワードで、「みぞうゆう」や「みぞうう」といった誤読もよく見受けられますが、正しくは「みぞう」です。読みと意味を併せて覚えておきましょう。