「警鐘」の意味とは?「警鐘を鳴らす」など例文と類語・英語表現も

何らかの危険性を伝える場合に「警鐘を鳴らす」という表現を用いることがありますが、この「警鐘」にはどういった由来・意味があるのでしょう。また消防車が「カンカン」と鳴らす警鐘はどんな意味があるかご存知でしょうか?

本記事では「警鐘」の意味や使い方について例文で解説します。また、類語や「警笛」との違い、英語訳についても触れています。

「警鐘」の意味とは?

「警鐘」の意味は”警告のためにならされる鐘”

「警鐘」の意味は、“警告のためにならされる鐘”のことです。古くは戦いや災害の際に、危険を知らせるために鐘をならしたものですが、その差し迫る危険を伝える鐘のことを「警鐘」と呼びます。

転じて、現代では比喩として”良くない事態が近づいているのを知らせること”という意味で使用されています。

消防車のカンカン音も「警鐘」

私たちが普段の生活の中で、音として耳にしている「警鐘」といえば消防車です。消防車のサイレン音は道路交通法で定められていて、「ウ~ウ~ウ~、カンカンカン」と警鐘があれば火災出動を意味します。

鎮火したあとは「カーンカーン」と警鐘のみを2回鳴らして、「火災がありましたが鎮火しました」と知らせながら帰っていきます。

「警鐘」の読み方は”けいしょう”

「警鐘」の読み方は“けいしょう”です。まれに「けいりん」と誤った読みをする人もいますが、そもそも「警鐘」の「鐘」はいわゆる”釣り鐘”を意味する字であるため、「りんりん」というよりは「かんかん」といった音のイメージが近いでしょう。

「警鐘」の使い方と例文とは?

「警鐘を鳴らす」のフレーズが一般的

「警鐘」は、”警鐘を鳴らす”という表現で用いられるのが一般的です。「警鐘を鳴らす」とは、”事態が悪化していることを指摘する・危険が迫っていることを知らせ警戒させる”という意味になります。

例文
  • 今夏の猛烈な気温上昇に、医師たちが警鐘を鳴らしている
  • 警鐘を鳴らすのは有識者の務めのひとつと言えるだろう

本来、火事などを伝えるために用いられた「警鐘」ですが、昨今は火事や洪水などのように今すぐに命に係わる事柄よりも、”現在の状況やその先に起こる事柄を憂慮し、警告する”というニュアンスで用いられることが増えているようです。

「専門家が警鐘」などの形でも用いられる

「警鐘」という単語は、ニュースの見出しでもよく用いられます。たとえば、とある専門家が地球温暖化やそれに伴う気候変動を研究し、新たな見通しを発表した場合に「○○大研究チーム、気候変動に警鐘」として記事になることもあるでしょう。

「警鐘」という単語を使うことで、タイトルから「事態が良くない方向へと向かっていて、その危険性を伝えている」ということが伺えます。

「警鐘する」とは使わない

「警鐘」は”警告している”という文脈で用いられる単語ですが、「警鐘を鳴らす」はあくまでも「警告するための鐘」を比喩として用いた表現です。そのため、「警鐘する」という使い方はしません。

また、「警鐘を発する」という表現で使う人もいますが、こちらもメジャーな使い方とは言えないでしょう。”危険性を指摘して、警戒を促す”という意味では「警鐘を鳴らす」というフレーズで用いるのが一般的です。

「警鐘」の類語・言い換え

似た意味の表現は「注意を促す」や「忠告する」

「警鐘を鳴らす」と似た意味の言い回しでは、“注意を促す”“忠告する”が挙げられます。たとえば、「急激な気温上昇に警鐘を鳴らした」は、”急激な気温上昇に注意を促した”と言い換えることができるでしょう。

「忠告」には、”過ちや欠点などを戒めさとす”という意味があり、「良くないことが起きそうな場合に気を付けるようにさとす」際に使用できます。そのため、「市民に警鐘を鳴らした」は、”市民に忠告した”との言い換えも可能です。

「警笛」は”電車などの警笛音”のこと、類語ではない

「警鐘」と似た単語に「警笛」が挙げられます。「警笛(けいてき)」とは、”電車などが近づいてくる際に、それを知らせるために使われる警告音”のことです。

「危険を知らせるためのもの」という点では共通する意味がありますが、「警笛を鳴らす」は交通機関で主に使われる表現です。そのため、一般的に「警告する」や「警戒を促す」というニュアンスで使用することはできません。

「警鐘」の英語訳とは?

「警鐘」は英語で”alarm bell”

「警鐘」は英語では“alarm bell”と表現します。また「警鐘を鳴らす」は”sound an alarm bell”と表現します。「ring the alarm」もまた、「警鐘を鳴らす」という意味で使用される表現です。これら以外でも、”良くない方に向かっていることを知らせ、警戒を促す”という意味では、単に「warn」や「alert」を使って表現することもあります。

例文

その会合は地球温暖化に警鐘を鳴らした

  • The meeting sounded an alarm bell on the Global warming.
  • The meeting rang the alarm on the Global warming.
  • The experts warned against the Global warming.

まとめ

「警鐘」とは「危険を知らせ、警戒を促す鐘」のことで、現代では「良くない方向へと向かっていることを指摘する・警告する」という表現で使用されるのが一般的です。具体的には、事態が悪化していること、あるいはこの先良くない状況が待ち受けているような場合に「~に警鐘を鳴らす」あるいは「~が警鐘を鳴らした」のように用いられます。「専門家が警鐘」のニュース見出しを目にしたら、良くない事柄を想定しましょう。