「師事」の意味とは?「師事する」など使い方や履歴書の書き方も

「○○氏に師事する(した)」などと使う「師事」という単語は、具体的にはどうすることを意味するのでしょう。本記事では、「師事」の詳しい意味とその使い方について、例文とともに解説しました。また、履歴書における「師事」の使用例や類語・言い換え表現、英語訳についても触れています。

「師事」の意味とは?

「師事」の意味は”師として尊敬し、教えを受ける”

「師事(しじ)」の意味は、“師として尊敬し、教えを受けること”です。「師事」の「師」は、手本となる人・教えを与える人といった意味を持ちます。「事」の字には、”ことがら”という意味の他に”つかえる”という意味もあるようです。これらから、「師事」は”(その人)の弟子となって、師として尊敬する人の教えを受ける”ことを意味します。

「師事」の使い方と例文とは?

「~に師事する」の形が一般的

「師事」は、”~に師事する”という表現で用いるのが一般的です。学問や芸術など様々な分野で使うことができますが、「師」とされる人はその道に秀でた、尊敬に値する人物が入ります。そのため、単に「教えてもらう」というよりは、専門家・一流の人に対して使う表現です。

例文
  • 10年ほど前から、○○大学の山田教授に師事している
  • 技能はさることながら、その人柄もまた、A師に師事する理由だ
  • 佐藤先生に師事して10年になる

「師事される」は受動態で使うことは少ない

「師事」には、「教えを受けること」という意味があることは先述しましたが、これは単に「生徒が先生に教わる」というのとは意味が異なります。

たとえば、「師」として尊敬する人物に対して、「自ら教わりに行く・師匠の技や芸を盗む」というニュアンスが「師事」には含まれます。その自発的・能動的なニュアンスからも推測できるように、「師事」は自分の行動に対して使う表現です。「師事される」のように受動態で使われることは少ないと言えるでしょう。

「師事を仰ぐ」ではなく”指示を仰ぐ”

「師に仕える」というニュアンスで「師事を仰ぐ」と表現する人がいますが、これは誤りです。「しじを仰ぐ」という場合には、「指示」を使用します。この「指示を仰ぐ」とは、”目上の人に指示を求める”という意味で、「上司の指示を仰ぐ」のように使うことができます。「師事を仰ぐ」は、「指示を仰ぐ」という表現と混同されたと考えられる誤用例です。

履歴書での使用例

音楽家や画家など、芸術関連の仕事では特に経歴・プロフィール欄に「~に師事」として、教えを受けた人の名前を記載します。

例文
  • 大学在学時より○○氏に師事
  • 10代より○○氏に魅了され、師事するために上京

この履歴書における「師事」の記載は、礼儀として書くべきだとする人もいれば、中には慣習的に書いている、という人もいるでしょう。この場合、当然ながら「尊敬している師」の名前を書きます。たとえば、大手音楽教室に通い、偶然その先生に教わったという場合は「師事する」には該当しません。一方で、「その分野でも有名な○○氏の教えを受けたいと思い通った」という場合には「師事した」と使えるでしょう。

「師事」の類語とは?

「師事する」と似た意味の表現は”門下に入る”

「師事する」と似た意味の表現では、「門下に入る」が挙げられます。「門下(もんか)に入る」とは、”その人の弟子となり、教えを受ける”という意味です。同様の意味では、「門下生になる」や「門弟になる」もあります。

「薫陶を受ける」とは”影響を受け、自らが磨かれる”こと

「薫陶を受ける(くんとうをうける)」とは、”優れた人物の影響を受け、自分自身も磨かれる”という意味の慣用表現です。優れた人格者や品位ある人と「直接交流し影響を受けた」という場合だけでなく、「触れ合わずともその偉大さに感化された」という場合にも使うことができます。

例文

大学時代の恩師に薫陶を受け、研究者を志すようになった

直接的ではない場合は「私淑」を使う

「師事する」は”師に教えを受ける”と直接的な師弟関係がある場合に用いられます。これに対し、実際の師弟関係がない場合に用いられるのが「私淑(ししゅく)」です。「私淑する」とは、”ひそかに師として学ぶ”という意味の表現で、「実際に会ったことはないが、心の中で師とする人物」に対しても使うことができます。

「従事」は”仕事に就くこと”、「師事」とは異なる意味

「師事」と似た語感の表現に「従事」があります。この「従事」とは、端的に言うと”仕事に就くこと”を意味する表現です。そのため、「師事」の類語には当たりません。惑わされないようにしましょう。

「師事」の英語訳とは?

「師事する」は英語で”study under~”と表現する

英語で「師事する」と表現したい場合には、“study under~”という言い回しを使用します。「study under~」とは、”~の下で学ぶ・~の下で教えを受ける”という意味です。「train under~」や「learn at his feet」といった表現も同様の意味で用いられます。

例文

I have studied under Mr. Yamada. (私は山田先生に師事していた)

まとめ

「師事」とは、”師として尊敬する人の教えを受ける”という意味で、一般には「~に師事する」の形で用いられます。その道でトップクラスの人・権威となる人のように、優れた人物に対して使用するのが大きな特徴です。また、「教えてもらう」のではなく「自ら学びに行く」という能動的・自発的なニュアンスを伴う表現ですので、学ぶ側の姿勢も問われます。