「錚々たる」の意味は?「錚々たる面々」や敬語での使い方・類語も

優れた人物の集まりや豪華メンバーの共演に「そうそうたる顔ぶれが集まった」と表現することがありますが、この「そうそうたる」は漢字で「錚々たる」と書きます。本記事では「錚々たる」の意味のほか、使い方を例文で紹介。「お歴々」など言い換えに使える表現、英語訳など関連用語についても触れています。

「錚々たる」の意味とは?

「錚々たる」の意味は”特に優れている人々”

「錚々たる」の意味は、“特に優れている人々の集まり・集団”です。漢字表記の「錚々たる」になじみがない人でも、「そうそうたるメンバー」という表現を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

なお、「錚々たる」は、”特別に優れている”という「集団」を指すのがポイントで、特定の個人を指して使用する表現ではありません。また、あまり使用されませんが、「錚々」には”楽器や金属の音がさえわたり、響いている様”という意味もあります。

「錚々たる」の読み方は”そうそうたる”

「錚々たる」の読み方は“そうそうたる”です。「錚(ソウ)」は音読みで、訓読みでは「かね・どら」と読みます。漢字1字だけでも「金属の鳴る音」「かね・どら」の意味を持ちます。

語源は中国の故事にある

「錚々たる」の語源は、古代中国にあります。「錚々」とは本来”鉄が立てる涼やかな音”という意味の表現でした。この「鉄」は、当時金などに比べ低級とみなされていたことから、「位の低い鉄でも、中には良い音がするものもある」つまり「身分が低い者の中にも優れた人はいる」という比喩として使われたことに由来します。

この「目下の者を褒める」というニュアンスが国や時代をこえて変わり、”特別に優れた人々”という意味で現代では用いられています。

「錚々たる」の使い方と例文

「錚々たる顔ぶれ」のフレーズで使うことが多い

「錚々たる」は”錚々たる顔ぶれ”の言い回しでよく用いられます。「顔ぶれ」とは、”集まりや事業に参加する人々”という意味の単語で、「錚々たる顔ぶれ」とすることで”その会合に集まった人(事業に参加した人)達が特に優れた人達だった”ことを意味する表現となります。

例文
  • 会議の出席者は錚々たる顔ぶれだった
  • 錚々たる顔ぶれを前に、緊張はピークに達した

「錚々たるメンバー」は複数人を指す場合であれば可

参加者や出席者など集団の中にいる人物を指す際に「メンバー」というカタカナ語を使うことがあります。「メンバー」は、特定の個人を指しても使われる表現ですが、「錚々たるメンバー」とした場合は、必然的に複数人・集団を指すことになります。たとえば、「今回のチャリティコンサートには、錚々たるメンバーが賛同を示した」などといった使用が可能です。

なお、「錚々たるメンバー」とした場合、相手に対する敬意は失われます。そのため、「錚々たる」と表現する人物に敬意を表したい場合には「顔ぶれ」の方が適切です。

「錚々たる面々」も可、ただし敬語には不向き

「錚々たる」に続く言葉では、「面々」を使用することも多いでしょう。「面々」とは、「おのおの・ひとりひとり」という意味の単語です。「錚々たる面々がすでに集まっていた」という風に使うことができます。「錚々たる面々」と使うことで「人々」という複数を指すニュアンスが加わります。

ただし、「面々」もまた「メンバー」と同様に、目上の人に対して敬意を含む表現ではありません。そのため、「錚々たる」が敬意を含む表現であっても敬語表現としては使えないので注意が必要です。

「錚々たる」の類語

「お歴々」は身分や地位が高い人達のこと

「錚々たる」に似た言葉に「お歴々(おれきれき)」があります。「お歴々」とは身分や地位が高い人達のこと、名士とも言える業界人や有名人たちを指します。「錚々たる」と同様に、複数の人を意味する言葉ですので、ひとりの人間に対しては使いません。

「錚々たる」は特に優れている人々の集団ではありますが、何に優れているのかは言及していません。身分や社会的地位が高い人であれば「お歴々」に言い換えができます。

「錚々たる顔ぶれ」の言い換えは”名だたる顔ぶれ”

「錚々たる」の言い換えには、「名だたる」という表現を用いることができます。「名だたる」とは、文字通り”名前が立っている=名高い・有名な”という意味です。そのため、「名だたる顔ぶれ」は”錚々たる顔ぶれ”と似た意味となります。

なお、「名だたる」は複数だけでなく、特定の個人や団体を指す場合にも使用できるのが特徴で、たとえば「名だたる企業・名だたる強豪校」などといった使い方も可能です。

「精鋭」も似た意味を持つ表現

「精鋭(せいえい)」とは、”強くて勢いのいいこと・えり抜きの優れた人”という意味です。「少数精鋭(人数は少ないが優れた人のみをそろえること)」などの表現で知られています。

たとえば、「社長直々に声がかかった精鋭チーム」などといった使い方ができるでしょう。「錚々たる」と似たニュアンスを出すことのできる表現です。

「錚々たる」の英語訳

「錚々たる」は英語で”eminent”

「錚々たる」を英語で表現したい場合には“eminent”が使用できます。「eminent」とは、”地位の高い・高名な”という意味を持つ単語です。同様の意味を持つ単語では、「prominent(卓越した・傑出した・有名な)」も挙げられます。

例文
  • I’ll talk in front of eminent people.(錚々たる面々を前に話す予定だ)
  • You can find many prominent musicians on the list.(名簿には錚々たるミュージシャンの名前が掲載されている)

まとめ

「錚々たる(そうそうたる)」は”特に優れている人々”を指して使用される表現で、「錚々たる顔ぶれ」「錚々たる面々」などと使用されます。文章中に目にするというよりは、耳にすることの方が多い表現かもしれません。漢字で書くこともあまりありませんが、これを機に読み方はしっかりと押さえておきたいものです。