「この物語はテンプレだ」といったように、型どおりの展開を指す「テンプレ」。これは「テンプレート(template)」の略語ですが、ビジネスシーンでは「書類のひな形」や「決まったやり方」を意味する場合もあります。
本記事では「テンプレ」の意味をはじめ、使用例を例文で紹介します。また、「テンプレ」の類語や英語訳についても触れています。
「テンプレ」とは?
「テンプレ」の意味は”型どおり・ありきたりな展開”
「テンプレ」の意味は、“型どおり・ありきたりなストーリー展開”です。単によくある展開・よくある設定という意味で「テンプレ」と使うこともあれば、「ありきたりでつまらない」という否定的なニュアンスを含む表現として用いられることもあります。
また、ビジネスシーンでは、一般的な進め方や従来通りのやり方を指して「テンプレ」と使う例も増えています。
書類作成のひな形を「テンプレ」と呼ぶことも
ビジネスシーンなどでは、書類作成時によく用いるひな形を「テンプレート」と呼び、これを略して「テンプレ」を言う場合があります。
たとえば、「請求書のテンプレ」というと、日付・宛名・金額など必要事項を入力するのみで使用できる文書ファイルがイメージできるでしょう。会社名など、どの請求書にも共通する項目があらかじめ記入されているようなひな形が「テンプレ(=テンプレート)」です。
前述した「ありきたりな展開」という意味ではないため、何を指しているのかを確認することが大切です。
オタク用語では「ありきたりなストーリー」も意味する
オタク用語としては、テンプレを「ありきたりなストーリーや設定」を表現する言葉としても登場します。たとえば「このアニメに出てくるキャラはテンプレだ」と言えば、どこかで見たことがあるようなキャラ設定のことだといえます。
テンプレであることを喜ぶか、つまらないかと感じるかは人それぞれですので、褒め言葉にも悪い感想にも使います。
「テンプレ」の由来は”テンプレート(template)”
「テンプレ」とは、”テンプレート(template)”の略語です。「テンプレート」は、通常「ひな形・鋳型」といった和訳があてられますが、そこから派生し、”ひな形のようにきまりきった展開・ありきたりな様”を指して「テンプレ」と使うことが増えたようです。
「テンプレ」の使い方と例文とは?
「テンプレですね」でありきたりな展開を指す
相手の発言に「テンプレですね」と返した場合は、上記と同様に、「ありがちですね」「ありきたりですね」というニュアンスになります。
この場合、「ありがちな展開=つまらない」という意味で使われることももちろんありますが、必ずしも悪い意味とは限りません。王道の展開であっても喜ばれることはあるため、相手の真意は前後の文脈や声のトーンなどから判断するとよいでしょう。
「テンプレ通り」とは”王道の展開・いつも通り”を指す
「テンプレ通り」とは、いわゆる”ありきたりな展開・王道の展開”を指します。「テンプレ通りで見飽きた展開だ」というと、”ありきたりなストーリー展開で見飽きた”という意味です。「テンプレ通りでつまらない」は”ありきたりで面白くない”といった意味にとることができるでしょう。
また、「いつも通り(の方法)・決まったやり方」というニュアンスで「テンプレ通り」と使われることもあります。
- あとはテンプレ通りに進めておけば大丈夫だろう
- テンプレ通りと言われても新人の私にはわからない
ビジネスシーンでは「ひな形」を指すのか、「決まったやり方」か要注意
「テンプレート」が”資料などのひな形”を指して使われることから、「テンプレ」もまた”ひな形”の意味で用いられることがあります。
たとえば、「提案書はテンプレで作成して」というと”提案書のひな形を使って作成して”という意味です。一方で、特定のひな型を指すのではなく、先述したように「決まったやり方」という意味で「テンプレ通りに作業を進めてください」という使い方をすることもできます。
「テンプレ」というモノ(=ひな形)を使うのか、仕事のやり方を意味するのか、使い分けには気をつけるとよいでしょう。
「テンプレ」の類語とは?
似た意味の表現は「定型・マニュアル通り」
「テンプレ」と似た意味で用いられる表現には、「定型」が挙げられます。「定型」とは、”一定のかた・決まったかた”という意味で、「決まりきった」という意味で使われる「テンプレ」とは似た意味の単語と言えるでしょう。
また、「決まったやり方」という意味では「マニュアル通り」と言い換えられる場合もあります。たとえば、「テンプレ通りにやっておいて」は”マニュアル通りにやっておいて”という意味にもとることができます。
「フォーマット」は似た意味の言葉
「テンプレ(テンプレート)」と似た意味の単語に「フォーマット」があります。「フォーマット」は、「書式」や「仕様」という意味の単語で、コンピュータ用語としては「初期化」という意味でも用いられます。この「フォーマット」は、形式や基盤など「土台」となるようなものを指します。
「テンプレート」は、この「フォーマット」をもとに作成されたものです。入力するだけ・記入するだけといったものを指すことが多いでしょう。
ありきたりなことを言いたいなら「画一的・似たり寄ったり」
「テンプレ」が表す「ありきたりな様」を言いたい場合は、「画一的・似たり寄ったり」が類語として使えます。「画一的」とは何もかもが揃っていて個性がないこと、「似たり寄ったり」は大差がないことを言います。
「テンプレ」の英語訳とは?
「テンプレ通り」は英語で”by the books”
「テンプレート」は、英単語”template”に由来するカタカナ語ですが、「テンプレ通り」を英訳する場合には「template」という単語は使わず、「by the books」という慣用表現が便利です。「by the books」には、”規則・指示に従って何かをする”という意味があります。
また、「いつも通りに・例の通りに」という意味では「as usual」という慣用表現も挙げられます。
- I can only talk in a by-the-books fashion.(テンプレ通りでしか話せない)
- He was late, as usual.(彼はテンプレ通り、遅刻した)
まとめ
「テンプレ」は「テンプレート(template)」という英単語に由来するカタカナ語の略語ですが、本来の「ひな形」という意味だけでなく、「お決まりの・ありきたりな」という意味でも用いられます。たとえば、「テンプレ通り」というと「いつも通り・お決まりの展開」といったニュアンスとなります。
「テンプレですね」という言い回しでもよく用いられていますが、必ずしもネガティブな意味とは限りません。好意的な意味で用いられることもあるため、文脈・口調などから判断が必要です。