「ミニマリズム」とは?本来の意味と建築・生活様式などの事例も

近年、おしゃれな生活様式のひとつとして「ミニマリズム」「ミニマリスト」といった表現が用いられることが増えていますが、そもそも「ミニマリズム」とはどういったスタイルを指すのでしょう。本記事では「ミニマリズム」の本来の意味をはじめ、ファッションや建築から生活様式などにおける使用例とその特徴について解説しました。

「ミニマリズム」とは?

「ミニマリズム」の意味は”最小限の要素のみを用いる様式・手法”

「ミニマリズム」の意味は、“最小限の要素だけを用いる手法・様式”のことです。

英語の「minimalism」がそのままカタカナ語として定着したもので、「最小限」を意味する「minimal(ミニマル)」という単語からきています。

「ミニマリズム」はアートに始まり、現代ではライフスタイルも

「ミニマリズム」はアメリカの芸術分野で始まったスタイルで、”完成度を高めるために装飾をほどこすのではなく、必要最小限まで省略する表現様式”を意味しました。

そこからさまざまな分野へと広がり、日本では近年特に、生活様式を表す単語として広く使用されるようになりました。「ミニマリズムな人」という意味で「ミニマリスト」という表現もしばしば用いられます。

「ミニマリズム」の使用例とは?

生活スタイルでは「最小限の物しか持たない暮らし」を指す

「ミニマリズム」の使用例で最も多いのが生活スタイルです。生活様式に対して「ミニマリズム」と使う場合は、”必要最小限の物しか持たないライフスタイル”を意味します。また、そうした生活様式を「ミニマルライフ」、その生活を実践する人を「ミニマリスト」と呼びます。

たとえば、衣服も流行のものを複数買いそろえるのではなく、シンプルで着回しが効くようなものを数着、というようなスタイルが「ミニマリスト」の特徴です。同様に、出かける際の持ち物も最小限で、女性ではメイク道具もシンプルさを貫く人が多いようです。

文学・本の分野では「小さな出来事」を描く

生活様式に対して用いられることの多い「ミニマリズム」ですが、1960年代に美術から始まった表現スタイルで、1980年代には文学界にも広がりを見せました。

文学における「ミニマリズム」では、”小さな出来事・題材”を描くのが特徴です。家庭内などの小さな出来事を短編として描くような表現が「ミニマリズム」と呼ばれます。

ファッションにおいては装飾を排除し、色・形でデザインする手法

ファッションにおける「ミニマリズム」は、美術がそうであったように”装飾を排除し、単純な形・色によって表現する手法”を指します。きらびやかな装飾品を用いるのではなく、無駄なものをすべて省き、最大限にシンプル化することを言います。

建築では「必要最小限の機能」に絞られる

建築分野における「ミニマリズム」は、「ミニマリズム」が生まれた当初から造形芸術のひとつとして存在しました。建築においても「必要最小限」が「ミニマリズム」の基本で、無駄な要素を省き、機能を最小限に絞る設計を指します。

現代では、技術の進歩とともに機能性が高い商品が多数出回っていることもあり、「ミニマリズム」を求める場合には「特注品」として、あらゆる機能をそぎ落としたシンプルなものを作成する例も多いようです。

「ミニマリズム」の本質とは?

日本では「ミニマリズム=持ち物を捨てる」と思われがち

生活様式に対して「ミニマリズム」あるいは「ミニマリスト(ミニマリズムを貫く人)」と使うことが多い日本では、どうしても「ミニマリズム=持ち物を最小限にするために不用品を捨てる」という概念にとらわれがちです。

たとえば、「ミニマリストになるためにまずはうちにあるものを捨てよう!」「ミニマリストになるためには服を10着にしなければ」などといった思考に陥りやすい傾向にあります。確かに、「ミニマリズム」とは、「必要最小限のもので暮らす」という意味ではありますが、かといって必要なものまで捨ててしまっては本末転倒です。

「ミニマリズム」は選択・集中のひとつの手法

「ミニマリズム」はそもそも、芸術の完成度を高めるために生まれた概念です。

より高い完成度を求めた結果、さらに装飾を凝らすのではなく、最小限まで無駄なものを減らしたスタイルが「ミニマリズム」と称されました。つまり、自分が求めるものに「集中」するために、それ以外の部分を「取捨選択する」ことが本来の「ミニマリズム」の考え方と言えるでしょう。

これは生活様式にも言えることで、ただがむしゃらに持ち物を最小限に抑えるのではなく、まずは自分の価値観を整理し、取捨選択することが大切です。

まとめ

「ミニマリズム」とは、”最小限の要素を用いた様式・手法”を表す言葉で、ライフスタイルだけでなく、美術や建築、文学作品にファッションなどあらゆる分野で使用されます。特にライフスタイルに関しては、持ち物を減らすことが重視されがちですが、自分の価値観に合わせて「最小限」を決めることが重要です。衣服にこだわりたい人は「ミニマリズム」のために服を捨てるなんてことはせず、ほかを「最小限」にすることでより一層充実した生活を実感できる、というのが「ミニマリズム」と言えるでしょう。