「温床」の意味とは?例文解説と類語・英語訳や言葉の由来も紹介

「犯罪の温床となる」などに使われる「温床」は、元々は農業に由来する表現です。本記事では、「温床」の本来の意味をはじめ、一般的な使い方と例文、類語や英語訳などの関連用語についても詳しく解説します。

「温床」の意味とは

「温床」の意味は「原因となる場所・物事」

「温床」とは、「物事の起こる原因となる場所・もの」という意味です。「ある事柄・結果が生じやすい環境」を指しても「温床」と使うことができます。

「温床」の意味は「温床育苗」に由来する

「温床」は本来、「温床育苗(おんしょういくびょう)」の形で農業用語として使用されていました。この場合の「温床」とは、「苗を早く成長させるために、人工的に土を温かくした苗床」を意味します。具体的には、木やわら、コンクリートなどの枠で囲い、熱を加えたフレームなどが「温床」と呼ばれます。

本来は、「苗を早く育てるための環境」というポジティブなニュアンスですが、一般的に広く用いられる「温床」は「悪い結果・事態を引き起こしやすい環境」というネガティブなニュアンスで使用されるのが大きな特徴です。

一般的な読み方は「おんしょう」、「おんどこ」は限定的

「温床」は、「おんしょう」と読むのが一般的です。「温床」の「床」は、「起床」の例のように「ショウ」と読みます。

なお、「温床」を「おんどこ」と読むこともありますが、この読みは農業用語として用いる場合にしか使用されません。一般的には「おんしょう」という読みを覚えておきましょう。

「温床」の使い方と例文

「温床」は良くない結果を引き起こす原因を指して使う

「温床」は、「(物事が)育つのに絶好の環境」という意味ですが、良くない事柄・結果を引き起こす原因に対して使うのが大きな特徴です。

たとえば、「犯罪の温床」という表現でよく用いられますが、これは「犯罪が発生するのに絶好の環境」「犯罪が生じやすい状況」という意味になります。

例文
  • 不良の温床と言われても仕方がない程、ここらの治安は悪い
  • 上司によるパワハラが社内不正の温床となっていた
  • 温床とまではいかなくとも、社員同士の軋轢が業績悪化の一因となったことは否めない

「温床栽培」「温床線」など農業分野でも用いられる表現

「温床」はニュースでもよく耳にする一方で、今なお農業用語としても広く用いられる表現です。

たとえば、「温床栽培に移行したことで、収穫状況は大きく好転した」といった使い方ができるでしょう。他にも、床土を適切な温度にするために用いられるヒーターワイヤーは「電気温床線」とも呼ばれます。これは、通電することによって土を適切な温度にすることができるケーブルとして、植物の育成用に特別に開発されたものです。

「温床」の類語

「温床」と似た意味で用いられるのは「土壌」

「温床」と似た意味で用いられる単語のひとつに「土壌」が挙げられます。「土壌(どじょう)」は、「土・作物を育てる土地」という意味だけでなく、「何かが生じる条件」という意味もあります。「温床」と同じく、農業にも使われる単語です。

「土壌」と「温床」は似たニュアンスではありますが、「土壌」は良い結果に対しても使える点が特徴です。たとえば、「ヒット商品を数多く生み出す企業には、それなりの土壌がある」といった使い方もできます。

「巣窟」も似た意味の表現

「温床」と似た意味の表現には「巣窟」も挙げられます。「巣窟(そうくつ)」とは、「盗賊や悪人などが潜んでいる場所・すみか・かくれが」を意味する単語で、ネガティブなニュアンスを含む表現です。たとえば、「密売人の巣窟」「犯罪の巣窟」などといった使い方ができます。

なお、「温床」が「育つ」というニュアンスを含むのに対し、「巣窟」は「その場にある元々の環境」を意味する点も相違点です。

「因子となる」「発生源となる」といった言い換えも可能

「温床となる」という表現は、「因子となる」あるいは「発生源となる」といった言い回しでも表現することができます。「因子となる」とは、「ある結果を引き起こすもととなる要素」を指す表現です。

たとえば、「食生活が危険因子となる疾患は多数ある」というと「食生活が発生や進行の原因となる疾患は多数ある」という意味になります。

「温床」の英語訳

「温床」は英語で「hotbed」

「温床」は英語では「hotbed」と表現されます。この「hotbed」には、日本語で使われる農業用語としての「(苗床の)温床」という意味もありますが、日本語同様に「(悪い事態を引き起こすのに)うってつけの環境」という意味もあります。

たとえば、「犯罪の温床」は「a hotbed of crime」と表現できます。また、「肥沃な土地・土壌」という意味の「fertile ground」を使って、「fertile ground for fraud(詐欺・不正の温床)」といった表現も可能です。

まとめ

「温床」は、農業用語としての「温床栽培」などの使用例もありますが、「悪い結果を引き起こしやすい環境」という意味でも広く用いられます。たとえば「犯罪の温床」や「不正の温床」といった使用例はニュースでもよく耳にする表現として挙げられるでしょう。これに対し、「良い結果を生み出す環境」に対しても用いられるのが「土壌」です。「温床」はポジティブなニュアンスでは用いられない点が大きな特徴です。