「差し上げる」は謙譲語でも要注意!失礼にならない敬語の使い方

「先着100名様に差し上げます」や「ご連絡差し上げます」など、「差し上げる」という言葉はよく目にするものです。「差し上げる」は敬語表現ですが、言い回しによっては失礼に聞こえることがあります。正しい使い方とそのポイントを紹介します。

「差し上げる」の意味と敬語の種類は?

そもそも「差し上げる」とはどんな意味なのでしょう。まずは「差し上げる」の意味から詳しく解説します。

「差し上げる」は「あげる」の謙譲語

「差し上げる」は、「あげる」「与える」の敬語表現です。自分から目上の人に物を渡す際などに「差し上げます」という言い方をします。

もう少し詳しく言うと、敬語の中でも相手をたて、自分を低くみた言い方である「謙譲語」に該当します。そのため、相手の行為ではなく、自分が渡す・差し出す際に使う敬語表現です。

使い方によっては失礼な印象に

「差し上げる」は相手を敬った言い方ですが、文脈によっては失礼な印象を与えることがあるので注意が必要です。たとえば、「ご案内して差し上げます」というと、「案内してあげる」といった上から目線なニュアンスを含む表現になります。育ちの良いお嬢様言葉といった雰囲気になるので、「~して差し上げる」という言い回しは、謙譲表現でもビジネスではあまり使用しません。

また、「謝礼を差し上げます」という言い回しも、「謝礼がもらえて嬉しいですよね」といった上から目線なニュアンスととられることがあります。

相手の希望をかなえる場合に使うとベター

誤解を生まないためには、「差し上げる」という言葉は相手の期待すること・ニーズを叶える際に用いるようにするのがポイントです。たとえば、「来場者全員にノベルティを差し上げます」は、相手のメリットとなる(期待する)ことなので、謙譲語として正しい意味で伝わります。

「差し上げる」の使い方には、ほかにもいくつか使い方のポイントがあります。次から詳しく解説します。

「差し上げる」の使い方は?例文で紹介

「差し上げる」は相手の期待を叶える際に使うのがポイントですが、具体的にはどういった使い方をするのでしょう。「差し上げる」の使い方を例文で紹介します。

「物を差し上げる」場合に幅広く使える

「差し上げる」は、何か「物をあげる」という場合に幅広く使える表現です。「弊社の商品サンプルを差し上げます」や「こちらを差し上げます」というように使います。

一方で、同じ「物」でも、お金のようなセンシティブな話題では使わないほうが無難です。先にも例に挙げましたが、「参加者には謝礼を差し上げます」とすると、上から目線の印象を与えかねません。

お金がもらえるというのは相手の期待・メリットではありますが、そもそもは対価として受け取る権利があるというケースがほとんどです。そのため、「謝礼をお支払いします」や「謝礼をご用意しています」といった表現のほうが、相手への感謝の気持ちを込めた表現として適切です。

「お電話差し上げる」「メールを差し上げる」もよく使う表現

「電話(メール)します」という意味で、電話やメールに「差し上げます」を使うことがあります。同様に「後ほどご連絡差し上げます」というと、「後ほど連絡します」という意味です。

「お電話(メール)差し上げます」という表現は、どちらかというと相手が連絡を期待している場合に使います。そうでない場合には、一方的に連絡するよう決めつけているような印象を与えることがあるので、注意が必要です。

目上の人に「差し上げてください」は注意が必要

自分が話している相手に「差し上げる」のではなく、「○○さんに差し上げてください」と誰かに手渡してもらうように依頼する場合には、注意が必要です。

たとえば、「山田部長に差し上げてください」という表現は、同僚間では問題ありませんが、取引先の担当者を前には使えません。この場合、話している相手が自分と同じ立場になるからです。

取引先の人に、「山田部長に渡してください」という意味で使うのであれば、「部長にお渡しいただけますでしょうか」や「部長にお手渡しください」という表現が適切です。話している担当者にも配慮した言い回しになります。

「差し上げる」の言い換えは?

細かい配慮が必要な「差し上げる」という言葉は、別の言葉に言い換えたほうが良いケースもあります。言い換えに使える表現を紹介します。

「ご連絡差し上げる」の言い換え

「ご連絡差し上げる」という表現は、一方的な印象を与えてしまう懸念がありますので、「差し上げる」を使わない言い回しがおすすめです。たとえば、「ご連絡いたします」や「ご連絡申し上げます」という言い方も丁寧で好まれます。

同様に、「お電話差し上げます」や「メールを差し上げます」も、「お電話いたします」や「メールにてご連絡申し上げます」とすることができます。「差し上げる」とうまく使い分けると、コミュニケーションの幅も広がるのでおすすめです。

「差し上げる」は「させていただく」に言い換えが可能

「させていただく」という表現も、「差し上げる」の言い換えとして使える言い回しです。たとえば「連絡させていただきます」というように使うことができます。上から目線な印象の「ご案内差し上げます」も「ご案内させていただきます」とするのが適切です。

また、「ご連絡させていただいてもよろしいでしょうか」と疑問文にして、相手の都合を伺うと、一方的ではなく配慮が感じられる丁寧な表現になります。この「させていただく」は、汎用性の高い表現として幅広く使えますので、覚えておくと大変便利です。

まとめ

「差し上げる」は敬語表現ですが、使い方によっては上から目線な印象を与えかねません。一方的な表現にならないよう、相手が期待すること・相手のメリットになることに使うのがポイントです。また、「ご連絡差し上げます」も場合によっては「ご連絡いたします」と言い換えるなどして、うまく活用してみてください。