「ふつつかものですがよろしくお願いいたします」という挨拶は、誰もが一度は聞いたことのあるフレーズではないでしょうか。この「ふつつかもの」は漢字では「不束者」と書きますが、具体的にはどういった人を指すのでしょう。
本記事では「ふつつかもの」の意味をはじめ、ビジネスシーンでの使い方や男性での使用例など詳しく解説します。また、「ふつつかもの」の類語や言い換えに使えるフレーズも紹介します。
「ふつつかもの」の意味とは?
「ふつつかもの」の意味は”無礼な人・行届かない者”
「ふつつかもの」の意味は、“無礼な人・行届かない人”です。この「ふつつかもの」は、漢字では「不束者」と書きます。
「不束者」の「不束(ふつつか)」とは、”能力が劣っていること・配慮が不十分であること”などの意味を持つ単語です。そこから、「不束者」は”気が利かない人・未熟で劣っている人”という意味になります。
「ふつつかもの」の使い方と例文とは?
「ふつつかものですが」と自分に対して使う
「ふつつかもの」は、「ふつつかものですが」と自分の行届かない様を謙遜する形で用いられます。若手の社員が、まだまだ自分のことに精一杯で相手への配慮が足りないことが予想される場合などに使われるほか、本人の能力は問わず、謙遜の意味を込めて用いられることもある表現です。
- ふつつかものですが、何卒よろしくお願いいたします。
- ふつつかものではございますが、誠心誠意努めさせていただきます。
- ふつつかものではありますが、引き続きご指導のほどお願い申しあげます。
また、自分以外でも、身内(部下など)を取引先の目上の人に紹介する場合などに使うことができ「ふつつかものの部下ではございますが、引き続きよろしくお願いいたします」といった使い方も可能です。
「ふつつかものですが末永く」は結婚挨拶の常套句
「ふつつかものですが」というフレーズは、結婚の挨拶における定番のフレーズとして記憶している人も多いことでしょう。かつては、女性側の親が結婚相手の家族に対して、「ふつつかものの娘ですが、末永くよろしくお願いいたします」という挨拶がよく用いられていました。
これは、「至らない点が多い娘ですが、末永くよろしくお願いします」という意味です。「結婚=相手の家に入る」という考えが主流だった時代の、結婚後の娘の生活を案じた親の気持ちが込められたフレーズなのかもしれません。
「ふつつかものですが」は男性も使える表現
「ふつつかものですが」というフレーズが娘を嫁に出す親の言葉として覚えている人も多いことから、「ふつつかもの=女性」という印象を持つ人も多いものです。しかし、「ふつつかもの」は男女を問わず使用できる表現ですので、もちろん男性に対して使用しても問題はありません。実際、ビジネスシーンでは男女を問わず使用されています。
「ふつつかもの」の類語とは?
「ふつつかもの」の類語は”若輩者・未熟者”
「ふつつかもの」の類語は、”若輩者・未熟者”が挙げられます。「若輩者(じゃくはいもの)」とは、”経験がなく、能力不足な人”を意味します。一方「未熟者」とは、”学問やスキルなどが身についていない者”を意味する表現です。
上記のうち、「ふつつかもの」と同様に、自らを謙遜したり部下を紹介したりする際に使うことができるのは「若輩者」です。
- 若輩者ではありますが、日々精進してまいりたいと存じます
- 若輩者ですが、どうぞよろしくお願い致します
これに対し、「未熟者」には謙遜の意味はありません。そのため、「未熟者ではございますが~」という風に挨拶文で使うことができないのが特徴です。他には、一人前ではなくまだ修行中であることを意味する「半人前」が、謙遜する意味で用いることができる表現です。
「不調法者」も”ふつつかもの”と似た意味
「ふつつかもの」と似た意味の表現では、”不調法者”もあります。「不調法者」とは、”行届いておらず、経験が浅い人”という意味の表現で、「不調法者ですが」と自らを遜る表現として用いることができます。
「至らない点もありますが」に言い換えも可能
「ふつつかものですが」を別の表現で言い表す際には「至らない点もありますが」というフレーズが便利です。たとえば、相手に「ふつつかものですが、よろしくお願いします」と言われた場合に、「こちらも至らない点があるかと思いますが、よろしくお願いいたします」などと返せるとスマートな印象につながるでしょう。
まとめ
「ふつつかもの」は、”無礼な人・行届かない人”という意味ですが、もっぱら「ふつつかものですがよろしくお願いします」というフレーズで自らを謙遜する意味合いで主に用いられます。男性でも女性でも使える表現ですが、「ふつつかもの」は自分あるいは身内(部下)にしか使用できません。無礼な相手であっても、「ふつつかもの」と使うことはできないと覚えておきましょう。