物事への取り組みに対して「主体的に」という単語を使うことがあります。この「主体的」という単語は好意的な意味合いで使われることが多いですが、具体的にはどういった意味を持つのでしょう。
本記事では「主体的」の意味をはじめ、「主体的に取り組む」「主体的に捉える」などの使用例を紹介しました。また、「主体的」の類語や対義語、英語訳についても触れています。
「主体的」の意味とは
「主体的」の意味は「自分の意思で行動する様」
「主体的」とは、「自分の意志・判断で行動する様」を意味します。読み方は「しゅたいてき」です。他の人から強制されるのではなく、自ら状況に応じた判断を行い、自分の意思で行動することを指して「主体的」と表現します。
また、単に「~したいから○○する(例:食べたいから食べる・眠いから寝る)」というのではなく、はっきりとした目的意識・理由を伴う場合に「主体的」とするのも大きなポイントです。
「主体的」であることを「主体性」と言う
「主体的」に関連する言葉で知っておきたいのが「主体性(しゅたいせい)」です。「主体性」とは、「主体的であること」つまり「自分の意思で行動する性質や態度」を指しています。たとえば「主体性がある」「主体性がない」と表現します。
「主体的」の使い方と例文
「主体的に取り組む」の表現でよく使う
「主体的」は「主体的に取り組む」という表現でよく用いられます。「主体的に取り組む」とは、誰かに言われたままにやるのではなく、「自分の意思をもって物事に取り組む」という意味です。
- ビジネスパーソンとしては何事も主体的に取り組むことが求められる
- 主体的に取り組んでいれば、難しい局面でも打開策が見つかるかもしれない
「主体的に捉える」「主体的に考える」は「自分の意思をもって認識する」
「主体的に捉える」あるいは「主体的に考える」という表現もよく用いられます。いずれも、他人事として受け流すのではなく「自分事として認識し、考える」というニュアンスで用いられる表現です。
- 環境問題は各々が主体的に捉えられるかどうかが解決のカギだと思う
- 主体的に考えるには、まず意識を変える必要がある
なお、「主体的に捉える(考える)」とは「自分の意見だけで考える・自己完結する」という意味ではありません。「ほかの人の意見など複数の考えを併せた上で、自分の意思を持って判断する・答えを導きだす」という意味合いです。混同しないように注意が必要です。
教育や保育の現場でも「主体的な学び」が重視されている
「主体的」という単語は、教育や保育の現場でもよく用いられる表現です。「主体的な学び」は「学ぶことに興味・関心を持ち学習する」というだけでなく、「次の学習あるいは将来へとつなげる学び」というキャリア形成などにからめて用いられることもあります。
また、幼児保育における使い方も同様で、受け身ではなく子供が自発的に遊んだり学んだりする環境を指して用いられることが多いようです。
「主体的」の類語
「主体的」と似た意味の単語は「自主的」「能動的」
「主体的」と似た意味の単語には、「自主的」や「能動的」が挙げられます。
「自主的」とは、「自然と自分から進んで行う様」という意味です。特に、行う目的が明確な事柄ややるべきことが決まっている場合に用いられます。たとえば、「自主的に練習する」というと、「(しなければいけない)練習を人に言われることなく自分から行う」という意味です。
一方、「能動的」とは、「自分から他人に呼び掛けたり訴えたりして、他に影響を及ぼす様」という意味です。他の人からの強制ではなく、自分から働きかけることを指して用いられる表現です。
「積極的」も似た意味の表現
「主体的」と似た意味の単語には、「積極的」という単語もあります。「積極的」とは、「ほかの人からの働きかけに関わらず、意欲的に行う様」あるいは「意欲的にほかに働きかける様」を意味します。「積極的に取り組む」「積極的に参加する」のように、日常会話でも用いられることの多い表現です。
「主体的」の対義語
反対の意味を持つのは「受動的」や「従属的」
「主体的」と反対の意味を持つ単語には、「受動的」や「従属的」が挙げられます。「受動的」とは、「他から動作・作用を及ぼされる様」を指し、自分の意思ではなく他人に動かされる様を表す単語です。一方「従属的」とは、「権力者などに依存して、付き従う様・主要な事柄に対し支配される関係にある様」を意味します。「従属的」は力関係のある点が特徴的です。
「受動的」「従属的」のいずれも、自分の意思で何かをするのではなく、他者に言われるように行動したり、付き従ったりする点で「主体的」とは対義的表現と言えるでしょう。
「主体的」の英語訳
「主体的」は英語で「independent」
「主体的」を表す英単語は「independent」です。「independent」には「独立した・自主的な・頼らない」などの意味があります。また、ほかにも「self-directed(自ら方向を決める、自発的な)」や「self-reliant(独立独行の)」などの表現でも「主体的」というニュアンスを表現することができます。
一方、教育などにおける「主体的な学び」という表現に関しては、「自らが考え経験・体験する」というニュアンスが含まれるため、英語では「Experiential learning」と表現されることが多いです。日本語で使われている意味をうまくかみ砕いて英訳すると、誤解のない表現になるでしょう。
まとめ
「主体的」とは、「自分の意思や判断によって行動する様」を表します。「自主的に取り組む」や「自主的に捉える」などの表現でよく用いられますが、いずれも「自らの意思を持って考え、行動する・認識する」といった意味合いです。ビジネスパーソンとしてはもちろん、教育の現場でも「主体的」が重視される傾向にありますので、幼いうちから養うべきスキルのひとつと言えるかもしれません。