「嘆願書」とは?目的・事例や「上申書」など類語との違いも解説

行政や会社、保育園などに何かを要求する際には、「嘆願書」の作成が必要となることがあります。この「嘆願書」にはどのような意味・目的があり、どのような書式で作成すればよいのでしょうか。

本記事では「嘆願書とは何か」に始まり、事例や書き方のポイントについて紹介しています。また、「上申書」や「請願書」との違いや「嘆願書」の英語訳についても触れています。

「嘆願書」とは?意味と読み方

「嘆願書」は「依頼内容を記した文書」を意味する

「嘆願書」とは、何かを依頼する際に求められる書類のひとつで、「実状を説明するとともに依頼内容を記した文書」のことです。何かを要請するために用いられる文書や改善を要求するための文書が「嘆願書」と呼ばれます。

「嘆願書」の読み方は「たんがんしょ」

「嘆願書」は「たんがんしょ」と読みます。「嘆願(たんがん)」には「事情を説明して、願う」という意味があり、そのために用いられる文書が「嘆願書」です。

「嘆願書」は行政や税務署、保育園など様々な場で必要に

「嘆願書」は、行政や税務署に何かを求める際に用いられます。たとえば、税務調査で何らかの問題が発生した際、事情を説明し、情状酌量を求めるために「嘆願書」を作成します。また、住民の意見を伝えるために行政に対して「嘆願書」が提出されたり、どうしても入園したいが空きがない保育園について行政に「嘆願書」を提出したりする例もあるようです。

上記の他にも、交通事故で加害者の減刑を望む際や、企業内ではパワハラの告発に用いられることもあります。いずれの場合も、「嘆願書」に法的な拘束力はなく、要請した内容が必ずしも実現するわけではありませんが、何らかの回答あるいは改善を期待して作成されます。

「嘆願書」の類語「上申書」・「請願書」との違いとは

「上申書」とは所定の手続きを取らずに申し立てを行う書類

「上申書」とは、官公庁・警察などに対して、「法的な所定の手続きを取らずに申し立てや報告を行うための文書」を意味します。法律に基づかない意見・報告をする際に「上申書」とするのが通例で、特許庁の商標登録に意見する際にも「上申書」が必要です。

また、一般企業においては、経営層など上の者に対し提案や意見をする場合に使用する例が見受けられます。

「上申書」は法的な書類ではないため、「嘆願書」と同じく法的な力はありません。そのため「上申書」で必ず意見が通るわけでもありませんが、官公庁などに自分の意見・意志を伝える手段のひとつとして用いられています。

「請願書」とは自分の権利を主張する際に用いられる文書

「請願書」は主に、「自分の権利を主張する際に用いられる文書」です。憲法上の権利を主張する際に用いられるのが特徴で、「主張する」という意味合いからも提出する側の強気な姿勢が伺えます。

これに対し、「嘆願書」は「お願いする文書」であるという点で全く異なる意味合いを持つ文書と言えるでしょう。

「意見書」とは拘束力の低い書類

行政などに何かを求める際に使用される文書には「意見書」もあります。「意見書」とは、「ある事柄や判断に対して、自分の意見を述べる文書」を意味し、先に述べたどの文書よりも姿勢の低い文書と言えるでしょう。法的拘束力がないという点では上記の書類と同じですが、ほかの文書よりもさらに控えめな印象となります。

「嘆願書」の書き方とは

「嘆願書」は相手先・作成日・嘆願者の署名などで構成

「嘆願書」には決まったフォーマットはありませんが、基本的には次のような項目で構成されます。

基本構成
  • 表題:何に関する嘆願書なのかを簡潔に記載
  • 作成日
  • 宛先:裁判官や行政の長など、正しく明記
  • 嘆願する内容:具体的に、相手に伝わるように記載する
  • 嘆願者の住所および署名:複数人の場合は署名

「嘆願書」は代筆可能?

「嘆願書」は嘆願者の署名で締めくくられます。この署名の代筆は基本的には不可で、自筆で記載するのが原則です。ただし、子どもや身体が不自由で自筆が難しい場合などには代筆の形がとられることもあります。

「嘆願書」は嘆願する内容とその理由が鍵

「嘆願書」は、言わずもがな、嘆願する内容とその理由が一番のポイントとなります。「嘆願書」に法的拘束力はないものの、内容次第では要求が認められる場合があるからです。そのため、分かりやすく記載することはもちろん、嘆願の理由についても相手に伝わるような記載が求められます。

処分内容についても簡潔に

「嘆願書」で相手に求める内容は、過度な要求にしないのも大きなポイントです。あまり大きな要求にはせず、本当に困っていること・何としてもお願いしたいことに的を絞って記載します。その方が切に困っている現状が伝わりやすくなります。

また、セクハラ・パワハラなど社内における「嘆願書」に関しては、現状とその改善を訴えるにとどめ、加害者の処分については言及しないのが通例です。処分に関して決めるのはあくまでも企業側ですので、実状に関して日付や内容の詳細を具体的に記載し、まずはハラスメントをやめてもらうよう嘆願します。

「嘆願書」の英語表現とは

「嘆願書」は英語で「petition」

「嘆願書」は英語では「a petition」あるいは「a written petition」と記載します。「嘆願書を提出する」という場合には、「present」や「submit」「hand in」などの表現を用いるとよいでしょう。

たとえば、「present a petition to the government」で「行政に嘆願書を提出する」という意味になります。また、同じ「嘆願書を提出する」という表現には「put in a plea」という表現も挙げられます。

まとめ

「嘆願書」は、何かを依頼する際に提出される書類のひとつで、「その実情と依頼内容を記した文書」のことを指します。行政に対する「嘆願書」の他、一般企業内でも「嘆願書」が用いられることがあります。いずれの場合も、切に困っている事柄を訴えることで依頼内容の改善が見込めますが、必ずしも結果が約束されているわけではありません。記載内容や現状の程度などによっても、相手先の対応が変わるものと考えられます。