「知行合一」の意味とは?座右の銘やビジネスでの使い方・類語

「知行合一(ちこうごういつ)」は陽明学の命題のひとつとして、また、日本の歴史において多くの人が影響を受けた考え方としても知られています。この「知行合一」はビジネスシーンではどのような使い方をされているのでしょう。本記事では「知行合一」の意味をはじめ、座右の銘などビジネスでの使い方を例文で解説します。また、「知行合一」の類語・英訳についても触れています。

「知行合一」の意味とは

「知行合一」とは「知識は行動を伴う・一体である」という認識のこと

「知行合一」とは、物事の認識・考え方を表す四字熟語のひとつで、「知識と行動は一体であり、知識は行動を伴う」という意味です。頭の中の「知識」だけでは「本当の意味で知っている」とは言えず、「行動を伴うことが真の知である」「知っていても実践しないのでは真の知とは言えない」ことを表します。

「合一」には「ひとつにすること」という意味があり、まさに「知識と実践(行動)は切り離せないものである」ことを強調した表現となっています。

「知行合一」の読み方は「ちこうごういつ」

「知行合一」は、「ちこうごういつ」と読みます。「ちぎょう」という読み方をする人もいますが、「ちぎょう」と読むと別の意味を持つ単語となります。先述したように、「知行合一」は「知識」と「行動」に言及した表現ですので、「ちこうごういつ」と読むと覚えておきましょう。

「知行合一」は陽明学の命題のひとつ、「知行合一説」とも

「知行合一」は、中国の明の思想家「陽明」によって唱えられた「陽明学」の思想・学説としても有名です。そのため、「知行合一説」と呼ばれることもあります。「知識はすべて行動によって成立するものである」というこの考え方は、陽明学の中でも最も有名な思想として、世界的に知られています。

「知行合一」は「知識」と「行動」のどちらかに比重を置くのではなく、あくまでも「知識と行動は分別できるものではない」というのが大きな特徴です。「知識はすべて行動を通して成立する(行動なくしては知識として成立しない)」というのが根本的な考え方となっています。

「知行合一」は吉田松陰が影響を受けたことでも知られる

「知行合一」の思想は、日本では幕末の思想家であり倒幕論者としても知られる「吉田松陰」が影響を受けたことでも知られています。吉田松陰は、自身の「松下村塾」でこの「知行合一」についても、塾生たちに伝えたようです。この「知行合一」の精神によって、知識を着実に実践できる人を育てたと言われています。

「知行合一」の使い方と例文

「知行合一」は人を言い表す際に用いられる

「知行合一」は考え方を指し示す際に用いられる他、人について表現する際にも用いられます。たとえば、「彼は知行合一の人だ」というと、「自らが得た知識を、行動によって体得している人」と言えるでしょう。また、本来の意味とは若干ニュアンスが異なりますが、単に実践力のある人に対して「知行合一だ」と表現されることもあります。

例文
  • 知行合一の姿勢は、現代でもなお重視されている
  • 耳で聞いただけの知識はすぐに薄れてしまう。真の知識とするには知行合一が鍵だ
  • 明治維新にも大きな影響を与えた知行合一の精神は、これからの世でも未来を変えるきっかけとなるかもしれない

座右の銘としての「知行合一」は行動力・実践力を表現

「知行合一」を座右の銘として使う人も少なくありません。座右の銘としての「知行合一」は、行動力や実践力をアピールしたい場合に用いられることが多いでしょう。ただし、「知行合一」を「知識をすぐに行動に移す」の意味で使うのは、本来の陽明学における「知行合一」の思想とはやや意味合いが異なります。

「知行合一」は、「知識は行動を伴う・行動を伴わない知識は本当の意味での知ではない」というのが本来の意味です。「知行合一」を座右の銘とするのであれば、「インターネットや書籍から得た知識を実践することで、どんどん自分のものにしていく」というニュアンスが「知行合一」に近いと言えるでしょう。

「知行合一」の類語

「言行一致」は厳密には異なる意味の表現

「知行合一」と似た意味の表現として「言行一致」が挙げられることがありますが、厳密なニュアンスはやや異なります。

「言行一致(げんこういっち)」とは、「発言と行動が一致すること・矛盾がないこと」を意味する四字熟語です。「自分が主張する通りに行動する人」という意味でも用いられます。

これに対し、「知行合一」は「知っていて行動に移さないのは、真の知識ではない」ことを意味する表現です。発言内容と行動の関係に言及する表現ではないため、「言行一致」とは異なるのです。

「知行合一な人」は「精力的」「行動的」とも表現できる

「知行合一な人」を別の単語で言い換えるとするならば、「行動力のある人(行動的な人)」や「精力的な人」といった表現が使えるでしょう。「行動力のある・行動的」とは、「すぐに行動に移す様」を表します。また、「精力的」には「気力・体力ともにあふれている様」という意味です。

「知行合一な人」と必ずしも一致する意味ではありませんが、「知識をためておくだけでなく、行動に移す人」というニュアンスでは、類義的表現と言えるでしょう。

「知行合一」の英語訳

英語では「awareness comes only through practice」と表現

「知行合一」を表す英語表現は、「awareness comes only through practice」です。「awareness」は「知ること・意識」などの意味を持つ単語で、「practice」は「実行・実践」などの意味を持ちます。「awareness comes only through practice」は直訳すると「知ることは、実践によってのみもたらされる」という意味合いで、転じて「知行合一」の英訳として利用できるのです。

まとめ

「知行合一」とは、「知識と行動は切り離せない」という意味であり、「行動を伴って初めて真の知となる」「行動を伴わないのは真の知とは言えない」という陽明学の思想に由来する表現です。現代では「知識を得たら即行動するべきだ」というニュアンスで用いられることがありますが、厳密にはニュアンスが異なります。本来の意味をしっかりとおさえた上で活用してみてください。