「親展」の意味とは?封筒の書き方・取扱や「信書」との違い

「親展」はビジネスシーンだけでなく、自宅に届く郵便物でもよく見かけます。この「親展」にはどのような意味があり、どう取り扱うのが正しいのでしょう。本記事では言葉の意味をはじめ、封筒の書き方や料金など「親展」の出し方、「親展」を受け取った時の取扱い、電子メールの「親展」などについて詳しく解説しています。また、「信書」との違いや英語訳についても触れています。

「親展」の意味とは

「親展」とは「宛名人自身に開封してほしい」という意味

「親展」とは、「宛名人本人に、開封してほしい」という意味です。「親展」の「親」は「おや」「したしい」などの読みで知られていますが、「自ら」という意味もあります。一方の「展」は、「開いて読むこと」を指しています。つまり、「親展」とされる封書は、「宛名人以外には知られたくない事柄なので本人が開封してください」という意味になるのです。

「親展」とされる文書は様々ですが、たとえば、健康診断の結果や年金の記録なども「親展」として郵送されるもののひとつです。

「親展」の書き方・送り方

「親展」の位置は宛名の下、赤色で書く

「親展」の封書を贈る際、封筒の宛名の面に赤字で「親展」と記載します。特にどの場所に記載すべき、という決まりはありませんが、縦書きの場合は宛名の左下あたりに、横書きの場合は宛名の右下あたりに記載することが多いようです。

一方で、封筒の下の方は見落としやすいから上部がいい、という意見もあります。封筒を手にした人がすぐにわかるように、位置を工夫すると親切です。

「親展」に限らず、送付方法で料金は変わる

「親展」として送る場合に特別料金がかかるということはありません。普通郵便の場合は追加料金がかかることなく、特別な手続きを取らずとも規定の切手を貼れば送付可能です。ただし、普通郵便以外の手段(速達・簡易書留・書留など)をとる場合は、その送付方法によって料金は変わってきます。詳しくは、窓口で確認してください。

「親展」の郵便物も転送可能

「親展」と記載された郵便物であっても、「転送不要」の但し書きがない場合は転送可能です。

この場合における「転送可」か「転送不要」かの判断は、宛名人ではなく送り主(差出人)の判断によります。つまり、宛名人本人が「すべて転送」と要求していても、送り主(差出人)が不要とした郵便物は転送されないのです。

なお、「転送不可」となった郵便物を再度送付してもらうには、送り主に直接、新住所等を知らせる必要があります。

「親展」の受け取り方・扱い方

家族であっても自分以外の「親展」は開けないのがマナー

「親展」に含まれる内容は、プライバシーにかかる内容が多いと推察できるため、仮に同居の家族であっても開封しないのがマナーです。「親しき中にも礼儀あり」という言葉がありますが、プライバシーにかかわる内容は例え家族であっても尊重したいものです。よほどの事情がない限り開封しないのが望ましいと言えるでしょう。

他人が開封しても罪にはならない

開封しないのがマナーではありますが、仮に「親展」の郵便物を他人が開封したとしても罪に問われることはありません。「親展」は、あくまでも「本人に開封してほしい」という送り主の希望です。

法人宛ての「親展」は、まず上長に確認を

企業にも「親展」の封書が届くことがあります。この場合、個人名が記載されていない場合は担当部署の上長に確認するのがベターです。

また、秘書として上司の郵便物の開封を任されているという場合でも、「親展」に関してはそのまま渡すのが良いでしょう。

「親展」と「信書」の違い

「信書」とは「意思を他者に伝える文書」という意味

「信書(しんしょ)」とは、端的に言うと「手紙」のことで、郵便法などで規定されている「意思を他者に伝える文書」を意味します。この「信書」に該当するものは、運送会社を利用した発送方法では送付できないことになっています。

「信書」には様々なものがあり、個人宛ての手紙はもちろんのこと請求書や領収書、各種証明書(印鑑証明書・住民票の写しなど)、また受取人が記載されたダイレクトメールなども「信書」に該当します。

「信書」は本人以外が開封すると「信書開封罪」に問われる

「信書」は法律上、本人以外が開封することが「信書開封罪」となることが定められています。「信書の秘密」は「基本的人権」のひとつとして守られているのです。そのため、「信書」を開封された本人(被害者)が告訴した場合、事件として扱われることもあります。

「親展」の郵便物は本人以外は開封すべきではない、と先述しましたが、そもそも「信書」に該当する郵便物はその秘密が広く守られるべきであるため、「親展」ではない場合でも安易に開封すべきではない言うことになります。

電子メールの「親展」の取扱い

メールの設定画面で「親展」としてメールを送ることも可能

封書だけでなく、電子メールのやり取りでも「親展」を利用することができます。その設定方法はメールアプリによっても異なりますが、一旦下書きとして保存した上で「プロパティ」や「設定」画面を開き、「秘密度」を「標準・個人用・プライベート」などの項目から選択するなどの方法で設定可能です。

ただし、「プライベート(親展)」に設定したメールは、受け手の設定に関係なく、転送されないのが通例です。

「親展」の英語訳

「親展」は英語で「confidential 」「private」

「親展」を意味する英単語は「confidential」や「private」が挙げられます。

「confidential」には「機密・親展」などの意味があり、「private」には「私的な・一身上の」などの意味があります。文章中などで用いる場合には「confidential letter」で「親展の封書」という意味になりますが、封筒の表に記す場合には「Confidential」のみで使う例が多いでしょう。

まとめ

「親展」とは、「宛名人本人に開封してほしい」という送り主(差出人)の意思を示すものです。そのため、本人以外が開封するのはマナー違反です。しかし、そもそも個人宛ての手紙などの「信書」は、その秘密が守られるべきと法律でも定められています。親告罪であるため、開封後すぐに罪に問われるというものではありませんが、自分以外の封書は「親展」に限らず安易に開封しないようにしましょう。