「受難」の意味とは?キリスト教における使い方や芸術作品も紹介

「受難」とは、災難が多かった年を振り返って「受難の年」などと使われることが多い言葉ですが、キリスト教用語としての意味も持っています。

この記事では、「受難」の二つの意味を解説し、類語や英語表現も紹介します。あわせてキリスト教の「受難」をテーマとした芸術作品についても紹介しています。

「受難」の意味とは?

受難の意味は「苦難や災難を受けること」

「受難(じゅなん)」とは、一般的には「苦難や災難を受けること」という意味です。災害などが続いた年や、人々がいくつもの災難に見舞われた年を「受難の年」と言ったりします。

「受難」は、自然から受ける災難である自然災害や、人生の過程に起こる様々な苦しい出来事、あるいは肉体的・精神的苦痛などから起こる出来事に対して使われます。

「受難」を使った例文

  • 冷害被害が深刻だった昨年は農家にとって受難の年だった
  • A社は昨年、社員の不祥事や取引先の倒産など問題が多発し、受難の年となった
  • 超高齢社会を日本の受難ではなく福音に変えるための政策が求められる
  • 消費税の増税によって倒産や失業が多発する受難の時代が到来するのではないか
  • バブル崩壊後に就職活動を行った世代は受難の世代と呼ばれている
  • 北海道の開拓は受難の歴史だったといえる

キリスト教における「受難」とは何か?

キリスト教での意味は「キリストが受けた苦難」

キリスト教における「受難」とは、イエス・キリストの磔刑に係る一連の出来事を意味します。「殉教」といった意味も含まれています。聖書に記されたイエスの処刑までの苦難の物語を「受難物語」と呼びます。

他にも「受難劇」「受難節」「受難曲」「受難者」などは、このキリストの受難に関する言葉です。

キリスト教における「受難」を扱った芸術作品

キリスト教芸術における「受難」は、絵画や音楽などの主題として多くの作品が作られてきました。受難物語、受難劇、受難曲、受難絵画など、受難を主題とした芸術作品が多くあります。

西洋における宗教画は、イエス・キリストの生涯や旧約聖書の物語、聖母マリアや聖人たちのエピソードから主題がとられて描かれてきました。その中で重要なカテゴリーの一つにイエスが受けた磔刑の苦しみなどを描いた「受難」があります。

受難をテーマとした絵画の始まりは「最後の晩餐」

イエス・キリストの生涯をテーマとした絵画は、イエスの受胎を大天使ガブリエルが聖母マリアに告げる「受胎告知」から始まります。ヨハネの洗礼を受ける「キリストの洗礼」や、イエスが荒野で悪魔からの誘惑を受ける「荒野の誘惑」などを経て、イエスの「受難」に至ります。

「受難」を主題とした絵画は「最後の晩餐(さいごのばんさん)」から始まり、イエスが処刑され、十字架から降ろされる「十字架降下」までの、重要な場面のいくつかが取り上げられ、イエスの生涯の中でのクライマックスとなる工程です。

「最後の晩餐」は、自分の最期が近づいたと知ったイエスが、12人の弟子たちと最後の晩餐を囲み、パンを自らの体として、ワインを血として弟子たちに与える場面が描かれます。「最後の晩餐」は多くの画家が繰り返し描き、特にレオナルド・ダ・ヴィンチの作品が有名です。

■参考記事
「最後の晩餐」の意味とは?ユダの裏切りや『聖書』の場面も解説

「キリストの磔刑」も「受難絵画」のテーマ

「最後の晩餐」のあとは、オリーブ山でイエスが祈る「ゲッセマネの祈り」や、裏切り者のユダが捕らえられる「ユダの裏切り」、ゴルゴタの丘までイエスが十字架を背負って連行される「十字架の道行き」などが絵画の主題として描かれます。

十字架に磔にされる「磔刑」、そして息絶えたキリストが十字架から降ろされる「十字架降架」の場面までが「受難」のカテゴリーとなる一連のテーマです。

有名な作品に、マンテーニャの『キリストの磔刑』や、ルーベンスの『十字架降架』などがあります。

キリストの受難を描く音楽劇「受難曲」

キリストの受難を主題にした音楽を「受難曲」と呼びます。バッハの『マタイ受難曲』『ヨハネ受難曲』などが代表的なものです。

具体的には、新約聖書におさめられたマタイ、ヨハネなどの福音書の内容を音楽で表現したもので、キリスト教の典礼の際などに演奏されます。現代のクラシック音楽愛好家にも愛好されています。

「受難」の類語は?

「受難」の類語は「苦難」

一般的な「受難」が意味する「苦難や災難を受けること」という意味に近い意味を持つ言葉は「苦難」だといえます。災害などが相次いだ「受難の年」は「苦難の年」と言い換えることができます。

「受難」の英語表現とは?

「受難」は英語で「suffering」

一般的な意味の「受難」の英語は「suffering」です。他にも「辛苦・苦難」などの意味では、「hardship」とも表現できます。

キリスト教用語の「受難」は英語で「passion」

キリスト教用語の「受難」は英語で「passion」と書きます。「キリストの受難」は「the Passion」または「the suffeings of Christ」と表現します。

まとめ

「受難」とは、一般的な意味においては「苦難や災難を受けること」を総称する言葉として用いられ、自然災害などが頻発した年などを「受難の年だった」などと振り返ります。

キリスト教用語としての「受難」は、イエス・キリストが十字架にかけられた苦難を指します。聖書に書かれたキリストの苦難の物語は受難劇や受難曲、受難絵画などに表現されてきました。英語ではそれらは「the Passion」と表現されます。