「一言居士」の意味とは?由来や例文、類語と女性への使い方も解説

口うるさい人に対して「一言居士な人だ」という言葉が向けられることがありますが、この「一言居士」とは具体的にはどういった人を指すのでしょう。本記事では「一言居士」の意味とその使い方について解説しました。併せて、「一言居士」の類語や英語訳についても触れています。

「一言居士」の意味とは

「一言居士」の意味は「一言いわないと気のすまない人」

「一言居士」とは、「何につけても、必ず一言いわなければ気のすまない人」「必ず、一言口を挟まずにはいられない人」という意味です。「何かあるたびに、いちいち口をはさんでくる、厄介な人」といったニュアンスでも用いられます。

「一言居士」の由来は「一言抉る」

「一言居士」は元々は「一言抉る(こじる)」という表現で、「ひとこと、抉る人(ひねくれた言い方をしたり、講義したりする人)」という意味の表現だったとされています。この「一言抉る」に対して、仏教で男性が亡くなった後に戒名の下につけられる称号である「居士」を当て、「一言居士」としたいう説があります。

この「居士」という単語は、特定の性質を持つ人を揶揄する場合にも使われていた背景があり、「一言居士」はやや批判的なニュアンスとしても知られています。

「一言居士」の読み方は「いちげんこじ」「いちごんこじ」

「一言居士」は「いちげんこじ」と読むのが通例です。「言」の字は、「言語」」などの例のように「げん」と読むのが一般的ですが、「ごん」という読みを当て、「いちごんこじ」と読むこともできます。

ただし、「ひとこと」や「いちこと」といった読みは誤りですので、「いちげんこじ」あるいは「いちごんこじ」と覚えておきましょう。

「一言居士」の使い方と例文

「一言居士な人」と人に言及する際に使う

「一言居士」は、人の性質に言及する際に用いられる表現です。先述したように、「一言居士」で「何事にも必ず一言口を挟む人」という風に「人」という意味を含んだ表現ですが、「一言居士な人」という使い方をされることも少なくありません。

「一言居士な人」を使った例文

  • 彼の一言居士なところは、仲間内では有名だ
  • 一言居士でも主張が正しければよいのだが、彼の場合は偏った主観ばかりでやっかいだ
  • 父は昔から一言居士な人だったが、年を取ってその傾向はさらに強くなった気がする

「一言居士」はネガティブなニュアンスで使われることが多い

「一言居士」は「何事にも口を挟む、口うるさい人」とややネガティブな意味で用いられることが多い表現ですが、正しい主張・的確な発言であればそう嫌われることもありません。「ご意見番」「しっかりとした人」といった印象を持たれることでしょう。

ただし、「一言居士」という四字熟語だけを切り取ると、やや理屈っぽいニュアンスを含む表現として用いられることが多いのが特徴です。使用には慎重になった方が良いかもしれません。

「一言居士」は女性にも使える表現

「一言居士」の「居士」という単語は、男性の戒名に用いられることから「一言居士」という表現自体も男性に向けられたものとの印象を持つ人も多いことでしょう。しかし、「一言居士」という四字熟語としては、性別に関係なく「必ず一言、口を挟む人」という意味で用いられます。女性に対して使用しても誤りではありません。

「一言居士」の類語とは

「一言居士」の類語「一家言」

「一言居士」と似た意味を持つ単語には「一家言」が挙げられます。

「一家言(いっかごん)」とは、「その人ならではの主張・意見」「独自のこだわり・自論」などといった意味を持つ単語です。「一家言な人(一家言ある人)」などの表現で「自論を主張する人」といったニュアンスになり、「一言居士」と似た意味合いで使用することができます。

類語「一家言」を使った例文

  • 一家言ある人とは折り合いをつけるのが難しい
  • 出会った頃は一家言な人とは知らなかった

「一言居士」の英語表現とは

「一言居士」は英語ではかみ砕いて表現する

「一言居士」を英語で直接的に表現できる単語はないため、英語で意訳して表現することになります。一般には、「一言居士」は「すべてのことに対して何か言いたがる人」と英訳することが多いでしょう。

例文
  • He has anything to say about everything.(彼は一言居士だ)
  • a person who has something to say on anything and everything(何でもかんでも口を挟む人)

また「干渉する・口を出す」という意味の「poke one’s nose」を用いて、「He is apt to poke his nose」としても「一言居士」と同様の意味となります。ここで使われている「be apt to~」とは「えてして~しがちである・~したがる」という意味です。

まとめ

「一言居士」とは、「何事にも必ず口を挟む人」という意味の表現で、「一言居士な人」「彼は一言居士だ」といった表現で用いられます。「一言居士」であることは必ずしも悪いというわけではありませんが、「口うるさい」「うざい」といったネガティブなニュアンスで使用されることが多い表現です。男女問わず使える表現ですが、使用の際には配慮が必要でしょう。