「準じる」の意味とは?「準ずる・准じる」との違いや類語も解説

「正社員に準じるものとする」「弊社規定に準じた対応をとる」などビジネスシーンでは「準じる」という表現をしばしば目にします。本記事ではこの「準じる」について、詳しい意味や使用例を解説します。また、「準ずる」や「准じる」「殉じる」などの似た表現との違いや英訳についても触れています。

「準じる・準ずる」の意味とは

「準じる」の意味は「~に従う・のっとる」

「準じる」とは、「ある根拠に従う・のっとる」という意味です。「準じる」の「準」の字は、「基準」などの熟語にも用いられますが、「基準となるものを定め、それに従うこと」また「その基準にのっとった対応をすること」「基準にならうこと」を指します。

同様に、「基準に見合った扱いをする」という意味でも「準じる」と表現することができます。

「準じる」には「同じような扱いをする」という意味もある

「準じる」には、「あるものを基準とし、それと同じような扱いをする」という意味もあります。

たとえば、「正社員(正式)ではないもののそれと同じような扱いをされる社員」として「準社員」というポジションを設ける企業がありますが、この場合の「準」の使い方をイメージするとわかりやすいでしょう。「全く同様ではないが、それと似たような扱いをする」という意味で「準じる」と使うことができます。

「準じる」は「準ずる」が変化した形

「準じる」と似た単語に「準ずる」があります。実は、「準ずる」の方が先に生まれたとされる単語で、この「準ずる」が変化した形が「準じる」です。

現代では、「準じる」と「準ずる」のどちらも誤りとはされておらず、意味も同義です。ただし、契約書などフォーマルで形式ばった書類では「準ずる」の方が好まれる傾向にあります。

「準じる」の使い方と例文

「準じるもの」「準じる対応」と使う

「準じる」は、「~に準じる」という表現だけでなく、「~に準じるもの」「~に準じる対応」といった表現でよく用いられます。たとえば、「休暇に関しては、正社員に準じる」というと、「正社員にならう」あるいは「正社員と同様の対応をとる」といった意味にとることができるでしょう。

例文
  • 業務内容は、パートスタッフも正社員に準じるものとなります
  • 緊急時には慌てず、マニュアルに準じた対応をとることが大切だ

文脈に応じて、「~にならう」や「~と同様の対応」あるいは「~に従って」と細かいニュアンスが変わります。

「~に準じて」は「~に応じて」の意味

「~に準じて」と使う場合は、「~に応じて」と言い換えると意味が分かりやすいでしょう。たとえば、「給与は能力に準じて算出します」というと「能力に応じて」という意味になります。同様に、求人情報で見かける「給与は経験に準じて決定します」というと、「他の社員の前例ではなく、その人の経験に応じて給料が決定する」ことになります。

例文
  • 納税額は収入に準じて算出される
  • 企業では前例に準じた対応が重んじられることが多い

「~に準じる成績」は「~に程近い成績」のニュアンス

「準じる」には「~にならう」という意味がありますが、たとえば「~に準じる成績」と使った場合は「~にほど近い成績・同等の成績」という意味になります。ただし、全く同じという意味にはなりません。

「優秀賞に準ずる業績を上げた場合にも、賞与の対象とする」というと、「優秀賞だけでなく、それと同等と認められるだけの業績を上げた場合にも賞与がもらえる」という意味です。つまり、「必ずしも優秀賞でなくても賞与の可能性あり」という意味になるのです。

「経験年数に準じる」というと「~に見合った」の意味に

「経験年数に準じる」のように、「~に準じる」とした場合、「~に見合ったものとする」という言い換えができます。たとえば、「有給休暇の日数は勤続年数に準じる」というと、「有給休暇の日数は、勤続年数に見合ったものとする(勤続年数に応じて休暇日数が決まる)」という意味となるでしょう。

「準じる」と同じ読み方の言葉の意味と違い

「准じる」は「準じる」と同じ意味の単語

「準じる」と同じ読みを持つ単語に「准じる」が挙げられます。この「准じる」は、「準じる」と同じ意味を持つ単語です。辞書でも「準じる/准じる」として紹介されることも多いでしょう。

「殉じる」とは「主君などの後を追うこと」

「殉じる」とは、「主君や恩人などの後を追って死ぬこと・殉死すること」を意味する単語です。また、「(信念などのために)命をかけて尽くす・命を投げ出す」や「ある人を追って、同じ行動をとること」という意味もあります。

例文

大臣に殉じて、秘書も辞職した。

「順じる」とは「教えに従うこと」、誤用の例も多い

「順じる」は、「宗教上の教えや先生の教えを守り、従うこと」を意味します。ただし、この「順じる」は誤記として用いられることも多く、「準じる」の誤用であるケースも多いようです。「順じる」の意味を考慮しても、あまり使用シーンの多い単語ではないと言えるでしょう。

「準じる」の類語とは

「準じる」と似た意味の単語は「従う」「則る」

「準じる」と似た意味の表現には、「従う」「則る(のっとる)」「倣う(ならう)」などが挙げられます。

例文
  • マニュアルに則った対応をとる
  • 仕様書に従って入力してください
  • 前例に倣う

「準じる」の英語訳

「準じる」は英語で「follow」や「according to」と表現

「準じる」は英語では「follow」や「conform to」と表現することができます。また、「~に応じて」という意味を持つ「according to」を用いて表現することも可能です。

例文
  • You should follow a precedent.(前例に準じるべきだ)
  • These conform to the work manual.(業務マニュアルに準じる)
  • You should deal with these matters according to precedent.(これらの問題は前例に準じて対応するべきだ)

まとめ

「準じる」とは、「ある基準に従う・のっとる」や「基準に見合った扱いをする」という意味です。また、「あるものを基準として同じような扱いをする」という意味もあります。それぞれ細かいニュアンスの違いはありますが、「~に従って」「~に応じて」などと言い換えるとわかりやすいでしょう。また、「準じる」も「準ずる」も意味に違いはありませんが、契約書類などでは「準ずる」の方を好んで使うことが多い傾向にあります。