「申し子」の意味とは?「時代の申し子」など例文と類語・対義語

「彼は時代の申し子だ」などと称賛することがありますが、この「申し子」とは具体的にはどういった人を指す表現なのでしょう。本記事では、「申し子」の本来の意味をはじめ、現代における使い方を例文で紹介しました。また、「申し子」の類語(類義語)や対義語、英語訳についても触れています。

「申し子」の意味とは

「申し子」とは「神仏に祈って授かった子」という意味

「申し子」とは、「神仏に祈り、授かった子」を意味します。たとえば、昔話などでは、子どものいない夫婦が神社などに祈願したり、夢でお告げを受けたりして授かった子を「申し子」と呼びます。

また、神仏に限らず「霊力を持つものから生まれた子」という意味もあり、「霊力のような不思議な力を持つ子供」を「申し子」と表現することもあります。

「時代などの特性を反映して生まれたもの」の意味も

「申し子」は、現実離れした意味だけでなく、「あるものの特性を強く反映したもの」という意味も持ちます。たとえば、生まれ育った環境や社会的な背景・世情を著しく反映した子(人)を指しても、「申し子」と使うことができます。

「申し子」の使い方と例文

神仏よりも「時代の申し子」などの表現で使われることが多い

「申し子」は「○○様の申し子」のように「神仏より授かった子」の意味でももちろん使用されますが、、一般には「時代の申し子」のように「ある特性を強く反映した子」というニュアンスで用いられることが多いでしょう。

「時代の申し子」とは、「その時代の特性を著しく反映した子」という意味になります。たとえば、「スマホを使いこなす子供」は現代社会を色濃く反映した「時代の申し子」と呼ぶことができます。

例文
  • 両親は子宝祈願を経て私を授かったようで、妊娠が分かった時は「○○様の申し子だ」と大騒ぎだったようだ。
  • なんでもオンラインで済ませようとする甥は、まさに「現代の申し子」だ。

また、「その時代の申し子」という意味で「平成の申し子」のように和暦を入れた表現も多く用いられます。

優れたビジネスパーソンを「時代の申し子」と称することも

「時代の申し子」の表現を例に挙げましたが、この「時代の申し子」は優れたビジネスパーソンに対してもよく用いられる表現です。この場合、「時代の特性・ニーズをとらえ、活躍している人」あるいは「これまでにない事業戦略を繰り広げるビジネスマン」といったニュアンスになります。その時代のビジネスシーンに影響を与えるような人に対して、広く使われている表現と言えるでしょう。

例文
  • 近年急成長を遂げたA社の社長は、時代の申し子とメディアでもてはやされている。
  • かつては時代の申し子と呼ばれていたが、もはや過去の人となってしまった。

このように、「申し子」は単に子どもを指す表現としてだけでなく、様々な「人」に対して用いることができます。

天才的な才能を指して「○○の申し子」と使う例も多い

「申し子」は「そのことをするためだけに生まれてきた人」という風な「特別な才能」「天才的な能力」を持つ人を指して使うこともあります。たとえば、「テニスの申し子」というと、「テニスをするためだけに生まれてきたと言える程、ずば抜けた才能の持ち主」という意味になります。

例文

彼は中学時代から地元の大会で頭角を現すようになり、「短距離の申し子」とまで言われていた。

また、「申し子」の持つ「霊力を持つものから生まれた子」というニュアンスに合わせるように、水泳に長けた人を「水の申し子」という風に比喩的に用いることもあります。

「申し子」の類語・類義語とは

「申し子」と似た意味の単語は「風雲児」や「寵児」

「時代の申し子」のようにその時代に特に活躍するような人を指す表現には、「風雲児」や「寵児」があります。

「風雲児(ふううんじ)」とは、「好機に乗じて活躍する英雄」や「時代の変革期に乗じて活躍する人」を指す表現です。「寵児(ちょうじ)」とは元々は「親の愛を一身に受けた子」という意味ですが、転じて「世にもてはやされる人・時代に合った才能を発揮する人気者」といった意味でも用いられる表現です。

いずれも、「時代の申し子」の言い換えとして使用することができます。

「化身」も「申し子」と似た意味の表現

「申し子」の「神から授かった子」という意味では、「化身」が近い意味を持つ表現と言えるでしょう。「化身(けしん)」とは、「神仏が姿や形を変化させ、現実的に姿を現すこと」を意味します。仏教用語としては「世の人を救うために人の姿となった仏」という意味ですが、「悪の化身」のような使い方も可能です。抽象的な物が現実に形となって表れることを指す表現として広く用いられます。

「申し子」の対義語とは

反対の意味を持つ表現は「非才」や「凡才」

「申し子」の対義語として特定のワードを定義づけることは難しいのですが、「その時代で活躍する人」「天才的な才能を持つ人という意味で用いられる場合は、「非才」や「凡才」が対義的表現と言えるでしょう。

「非才(ひさい)」とは、「才能がないこと」あるいは「才能が乏しいこと」を意味します。「凡才(ぼんさい)」も似た意味の表現で、「平凡で特に優れたところのない人・才能」という意味です。ある特性を著しく反映した人を意味する「申し子」とは対義的な表現です。

「申し子」の英語訳

「時代の申し子」は「a child of his age」と表現

「申し子」を「神に祈り、授かった子」という意味で用いる場合は、「a child born in answer to one’s prayer」と英訳することができます。また、「a heaven-sent child」や「a god-sent child」なども「神から贈られた子」という意味で、「申し子」の英訳として用いられます。

これに対し、「時代の申し子」という意味では「a child of one’s age(generation)」などの表現が可能です。

例文
  • This girl is a heaven-sent child.(彼女は神の申し子だ)
  • He is a child of his generation.(彼は時代の申し子だ)

まとめ

「申し子」とは、本来「神に祈り、授かった子」や「霊力を持つものから生まれた子」という意味の単語ですが、現代では「ある特性を著しく反映している様」を指して用いられることの多い表現です。特にその時代をうまく読み取り、活躍する人を「時代の申し子」と称しますが、ほかにも「ある分野で天才的な才能を持つ人」を指して「○○の申し子(例:短距離の申し子)」という表現で用いられることもあります。