「火事場の馬鹿力」の意味とは?使い方の実例や類語・メカニズムも

「締め切りに間に合わないかと思ったが何とか乗り切った」というように、土壇場で切り抜けた人に対して「火事場の馬鹿力だね」と言葉をかけることがあります。本記事では「火事場の馬鹿力」の詳しい意味とともに、その原理や事例について解説しました。また、「火事場の馬鹿力」と似た意味の表現・類語や英語訳についても触れています。

「火事場の馬鹿力」の意味とは

「火事場の馬鹿力」とは「普段は想像できないような力」を意味

「火事場の馬鹿力」とは、「切迫した状況における、普段は想像できないような力」という意味です。「普段は出せないような力を無意識に出すこと」という意味でも用いられます。

「火事場の馬鹿力」は切迫した状態の例え

「火事場の馬鹿力」は、「火事」に見舞われたことを危機的状況・切迫した状況の例えとして使った表現です。

実際に自分の家が火事になった際に、普段は持てないような家具を抱えて避難した、という話に由来する表現とされています。「火事場」というのはあくまでも例えなので、「緊迫した状況下におけるいつも以上の力・能力」という意味で幅広く使用することができます。

例えば、実際に力を必要とする場面でなくても、「切羽詰まった状況下でいつも以上に頭脳をフル回転させ、顧客対応力を発揮する」という場合にも「火事場の馬鹿力」と表現することが可能です。

「火事場の馬鹿力」の使い方と例文

土壇場でのファインプレーに使われることが多い

「火事場の馬鹿力」は、「とっさのことだったが、火事場の馬鹿力で持ち上げた」という風に単に「とっさの力技」のニュアンスで用いられることもありますが、力仕事に限らず、危機的状況下であればあらゆるシーンで用いられます。

たとえば、ビジネスシーンでは「難しい局面をうまく切り抜けた」というシーンで「火事場の馬鹿力でやってのけた」という風に表現することもあります。

「火事場の馬鹿力」を使った例文

  • 締め切り前はいつも火事場の馬鹿力で乗り切っている。
  • 査定の時期が近いため、火事場の馬鹿力で何とか契約をとりたい。
  • 社長プレゼンの資料に誤りが見つかったが修正が間に合わない。ここは火事場の馬鹿力で、その場で何とかしよう。

いずれの例文も、「いつも以上のパワー・スキルで乗り切った」という意味で用いられています。

「火事場の馬鹿力」の類語とは

「火事場の馬鹿力」に似た意味の表現は「背水の陣」

「火事場の馬鹿力」と似た意味の表現には、「背水の陣」が挙げられます。

「背水の陣(はいすいのじん)」とは、背中に水(川や海)が広がっていて逃げられない状況を意味します。転じて、「逃げ道のない困難な状況に身を置き、必死に取り組む」という意味で用いられる表現です。「背水の陣の覚悟で~する」のように使われることが多いでしょう。

例文
  • 昇級試験まで残り一か月。背水の陣の覚悟で勉強しよう。
  • 今回のコンペの結果で今期の売り上げが大きく左右される。背水の陣で取り組もう。

「無鉄砲」「がむしゃら」も「火事場の馬鹿力」の類語

「火事場の馬鹿力」に似た表現にはほかにも、「全力でひたすらに行動する」という意味の「無鉄砲」や「がむしゃら」も挙げられます。

例文
  • こんな無鉄砲な計画ではきっと成功しない。
  • がむしゃらに勉強する。

「火事場の馬鹿力」のメカニズム・原理とは

「火事場の馬鹿力」は制限が外れた状態

「火事場の馬鹿力」はあくまでもたとえであり、「そんなパワーは実在しないのでは?」という意見も多いかもしれませんが、「火事場の馬鹿力」には人間の脳や身体の作りを根拠とした説があります。

通常、人間は自らの身体への損傷を防ぐための安全装置として、発揮できるパワーに制限がかかっていると言われています。しかし、緊急時にはこの安全装置がはずれ、限界を超えて潜在的なパワーが解放されるようになる、というのが「火事場の馬鹿力」のメカニズムとされている理論です。

ただし、この「安全装置」は身体的な損傷を防ぐためのものなので、実際にパワーではなく頭脳で乗り切るような場面でさらなる能力解放が期待できるかどうかは定かではありません。

骨折しても痛くないのが「火事場の馬鹿力」の不思議

「火事場の馬鹿力」が発揮されるような危機的状況下においては、脳の神経伝達物質の影響で仮に骨折しても痛みを感じないとも言われています。つまり、脳が無我夢中で危険を回避しようとしているという状況にあるため、痛みよりも場を切り抜けることに脳が夢中になるようです。

「火事場の馬鹿力」の英語表現とは

「火事場の馬鹿力」は英語で「fight-or-flight response」

「火事場の馬鹿力」は英語では「fight-or-flight response」と表現することができます。この「fight-or-flight response」とは、「戦うか逃げるか反応」とも言われるもので、自分の身が危険にさらされた場合における反応を意味する表現ですが、「火事場の馬鹿力」が和訳に宛てられることもある表現です。

また、「hysterical strength」や「super human strength」なども「火事場の馬鹿力」の英訳として使用されます。

例文

He showed super human strength. 彼は超人的な力を発揮した(火事場の馬鹿力を発揮した)。

まとめ

「火事場の馬鹿力」とは、「危機的状況における、普段は出せないような力」という意味の表現で、パワーだけでなくスキルや対応力などに対しても比喩的に用いられる表現です。ビジネスシーンでは、締め切りやプレゼンなど切迫した状況をうまく切り抜けたり、ファインプレーで乗り切ったりするようなシーンでよく用いられます。