「家族手当」とは?支給条件や平均相場から廃止が増える理由も

企業が手当として支給するもののひとつに「家族手当」が挙げられます。人事院が行った調査によると、調査対象企業の8割近くが「家族手当制度がある」と回答していました。本記事では、「家族手当とは何か」「いくらくらいもらえるのか」に始まり、「家族手当」と「扶養手当」の違いや一般的な支給条件について解説しました。また、近年増えている「家族手当廃止」の理由・原因についても触れています。

「家族手当」とは

「家族手当」とは「家族を持つ社員に支給される手当」のこと

「家族手当」とは、文字どり「家族を持つ社員に支給される手当」を意味します。『2019年(平成31年)職種別民間給与実態調査の結果』(人事院)によると、調査対象企業のおよそ8割近くが「家族手当制度がある」と回答しています。

この「家族手当」は、法律で定められたものではなく、企業が独自に運営する福利厚生のひとつです。そのため、全企業に支払い義務はなく、社内規定で「家族手当」を定めた企業だけが対象となります。毎月の給与にプラスして支給されることで、家族がいる社員の金銭的負担を減らす・安心して働いてもらう、などの役割があります。

参考:人事院 民間給与の実態(2019年 職種別民間給与実態調査の結果)

支給相場・平均額は企業の規模でも左右される

「家族手当」の支給額は企業によって異なります。「家族手当」は家族の内訳によって支給額が設定されるのが一般的で、配偶者で月10,000~15,000円程度、子ども一人当たり月3,000円~5,000円程度が相場と言われています。この支給額は、企業の規模によっても変動し、企業規模が大きい程、その支給額も増える傾向にあります。

「家族手当」と「扶養手当」の違いとは

「扶養手当」は「家族手当」とほぼ同義

「扶養」とは、簡単に言うと「その人の収入により、助け養うこと」を意味します。つまり、その家族を扶養していることが前提となる手当です。「家族手当」もまた、「扶養家族に対する手当」として支払われることが多いため、「家族手当」と「扶養手当」はほぼ同義といってよいでしょう。

一方で「家族手当」と「扶養手当」の両方を設定している企業の例では、「扶養の有無にかかわらず生活を共にする人」を対象に「家族手当」を、「扶養している人」を対象に「扶養手当」をそれぞれ支給する例もあります。

「家族手当」は共働きの配偶者も対象の場合も

「扶養手当」の場合、一定以上の収入がある配偶者は支給対象から除外されますが、「家族手当」の場合は扶養の有無に関係なく、共働きで収入がある場合でも手当の支給対象となる場合があります。同様に、年金収入が一定以上ある親も、「家族手当」では企業の条件次第で対象となる可能性があります。

このように、「家族手当」の方がより幅広い意味で使われているということができるでしょう。

国家公務員の場合は「扶養手当」として支給されている

一般企業とは異なり、国家公務員の場合は法律で「家族手当」に関する定めがあります。国家公務員の場合、「家族手当」ではなく「扶養手当」という名称が用いられていて、ひとり当たりの支給額が法律で規定されています。

なお、地方公務員の場合は各地方自治体によって定められていますが、概ね国家公務員の支給基準に準じたものとなっているようです。

「家族手当」の条件とは

企業が定める「家族」の範囲に該当することが条件に

「家族手当」は支給額はもちろん、支給対象者も企業が定めることができます。通常、配偶者・子供・親に対して支給されますが、その細かい条件も企業次第です。まずは、就業規則で「家族手当」の支給対象者を確認しましょう。

家族の収入による上限に関する規定も一般的

「家族手当」の支給条件では、収入の上限を設けるのが一般的です。

たとえば、配偶者に関しては「配偶者控除」が受けられる給与上限の103万円にあわせる例や社会保険の被扶養者としてみとめられる年間収入130万円未満にあわせる例が多いでしょう。そのため、これら以上の年収がある場合は配偶者でも「家族手当」の対象外となるケースが考えられます。

併せて、同居の有無や同一生計かどうかも「家族手当」支給における条件の代表例です。たとえば、「同居」が条件である場合は進学等で別居している子は対象外となります。しかし、同居の有無は問わず「同一生計であればOK」ということなら、生活費を送る一人暮らしの子どもは対象となることがあります。

独身の場合、親への「家族手当」も条件をクリアすれば可

「家族手当」は、配偶者や子どもだけでなく、親も条件を満たせば支給対象となります。親への支給条件の場合は、先述した収入や同居、同一生計かどうかなどのほかに、「年齢」が加わるケースが多いでしょう。親の場合は、満65歳以上のような定年後を対象とする例が多く見受けられます。

こうした年齢設定は、親だけでなく子にも言えることで、大卒の就職年齢である22歳以下が「家族手当」の対象となることが多く、それ以上の場合は対象外となる例も多いようです。

共働き増加などを理由に「家族手当」廃止も増加傾向

「家族手当」は、近年、共働きの増加などを理由に「家族手当」そのものを廃止したり、名称を変更したりする例が増えています。もちろん、扶養家族に対する手当をすべてなくすというのではなく、配偶者への手当てを廃止し、その分子ども手当を増額するという例も見受けられます。今後も、時代に即した「家族手当」に変更されることが予想されます。

「家族手当」をもらうには?

申請書が必要な企業が多い

「家族手当」をもらうには、「家族手当支給申請書」などの申請書の提出を必要とする企業が多いようです。たとえば、新たに子どもが生まれた場合には、出生後に申請書を提出することで、給与とともに振り込まれます。申請の際には、家族の状況が分かるよう住民票などを添付するのが一般的です。

申請書の提出タイミングによっては、支給開始が遅れることもあります。定められた期日内に速やかに提出しましょう。

不正受給は返還の対象に

たとえば、配偶者が条件を超える収入を得た場合や子どもが条件を外れた場合に届け出をせず、「家族手当」を不当に受給した場合には、返還の対象となります。民法における「返還請求権」に従うと、企業から従業員への返還請求は10年までさかのぼることができます。返還義務はもちろんのこと、勤務先に対しても不誠実な行いとなりますので、家族の状況に変更があった場合にも速やかに届け出るのが原則です。

まとめ

「家族手当」とは、文字通り「家族に対して支払われる手当」のことで、企業が独自に定める福利厚生制度のひとつです。「扶養手当」や「配偶者手当」などの名称で運用されることもあります。近年では特に、社会情勢や家族を取り巻く環境の変化に合わせ、従来の「家族手当」を廃止する企業も増えているようです。子育て環境の変化や家族の在り方の変化に伴い、企業の福利厚生への期待も変わっているということができるでしょう。