気乗りしない様子を「気が引ける」と表現することがあります。この「気が引ける」はどのようなシーン、あるいはどんな心理状況に対して使うのが正しいのでしょうか。本記事では「気が引ける」の詳しい意味とその使い方について、例文を交えて解説します。また、「気が引ける」と似た意味の表現や英語訳についても触れています。
「気が引ける」の意味とは
「気が引ける」とは「引け目を感じる・気後れする」という意味
「気が引ける」とは、「相手に対して引け目に感じること・気後れする様」を意味します。たとえば、遠慮する気持ちやおどおどする様、臆する様を表す際に「気が引ける」と表現します。「引け目を感じる様」を意味するともいえるでしょう。
「気が引ける」のにはコンプレックスややましさなどの心理が
「気が引ける」は、単に「やましいことがあっておどおどする・恐れる」という場合だけでなく、自信がなくてひるんだり、コンプレックスなどから劣等感を覚えたりする様を指しても使用することができます。様々な心理描写に使用できるため、使用シーンによって背景が変わってきます。
「気が引ける」の使い方と例文
「気が引ける」は自信のなさ・おどおどする様を表す際に使う
「気が引ける」は、自信がなくて気後れする様を表現する場合やおどおどする様に用いられることが多いでしょう。たとえば、「プロジェクトメンバーに抜擢されたが、皆優秀で気が引ける」とは、「優秀な人々に囲まれ、自信のなさにひるむ様子」あるいは「劣等感からおどおどする様」を表しています。
- 性格上、宴会の席とはいえ、人前に立つのはどうも気が引ける。
- 威圧的な部長の呼び出しはいつも気が引ける。
ためらいや遠慮を表す場合にも使用することができる
「気が引ける」は、ためらいの気持ちや遠慮を表す場合にも用いられます。
たとえば、「自分からランチに誘うのは気が引ける」は、「ランチに誘うのをためらっている様・遠慮している様」を表します。この場合、「素敵な人なので誘うのをためらっている」という風に劣等感を伴う表現にもとることができるでしょう。
- このような高級な店での食事は気が引ける。
- 優秀な先生方と私のような若輩者が名前を並べるのは気が引けて仕方がない。
単に「気乗りしない」という意味でも使用可能
「気が引ける」は、単に「気乗りしない・気が進まない」といった意味で用いられることもあります。たとえば、「結婚の話題が多く、最近は帰省も気が引ける」というと「結婚の話を振られることに嫌気がさし、帰省も気乗りしない」という意味です。
- この手の懇親会は気が引けるなら参加しなくても問題ない。
- A社の担当者はとても細かいので、ミーティングはいつも気が引ける。
「気が引ける」の類語とは
似た意味の表現は「気後れする」「臆する」
「気が引ける」と似た意味の表現は、「気後れする」や「臆する」が挙げられます。「気後れする(きおくれする)」とは、「その場の状況や雰囲気に圧倒されるなどし、ひるむこと」を意味します。恐怖感を伴う場合もあれば、大勢の前で恥ずかしさを感じる場合にも使うことができます。「気が引ける」のように、自信のなさが背景になることも多いでしょう。
一方、「臆する(おくする)」には「気後れし、おどおどすること」という意味があり、その漢字からもわかるように「臆病な様」を意味する表現です。内気な性格を表す場合にも用いることがあるでしょう。
- 仕事柄セミナーで講演することもあるが、未だに人前では気後れしてしまう。これも性格だろう。
- あれだけ練習したのだから、臆することなく堂々とするべきだ。
「気が引ける」の英語表現とは
「気が引ける」は英語で「ashamed」で表現
「気が引ける」は英語では「ashamed」などを使って表現されます。「ashamed」は「恥ずかしい」という意味です。たとえば、「こんな服装で人前へ出るのは気が引ける」は、「I am ashamed to go out dressed like this.」と表現することができるでしょう。
他にも、「feel inferior(劣っていると感じる)」や「feel small(恥ずかしく思う)」「feel mean(恥ずかしい)」なども「気が引ける」の和訳が宛てられる英語表現です。
また、「気乗りしない」「~する気にはなれない」という意味で「気が引ける」と使う場合には、「don’t feel like~」という表現を使うこともできます。
- I feel small in his presence.(彼の前では気が引ける)
- I don’t feel like telling him about it.(彼にそれを告げるのは気が引ける)
まとめ
「気が引ける」とは、「引け目を感じ気後れする様」や「引け目を感じる様」を意味する表現です。自信が持てずにひるんだり、臆したりする他、単に気が乗らない・気が進まないというニュアンスで用いられることもあります。ビジネスシーンでは目上の人達や大勢の人を前にした場合などに「気が引ける」ことも多いですが、堂々とした態度でのぞむことで、自らの臆する気持ちをカバーすることができるかもしれません。