「出戻り」の意味とは?「出戻り社員」など転職での使用例も解説

「出戻り」というと、離婚した女性に対する表現と思われがちですが、「出戻り」はゲームやSNS、あるいは転職市場など様々なシーンでも用いられます。本記事では、この「出戻り」の意味と使用例について詳しく解説しました。また、「出戻り」としての転職活動についても触れています。

「出戻り」の意味とは

「出戻り」とは「一度嫁いだ女性が実家に戻ること」を意味する

「出戻り」には、文字通り「一度出かけて途中で戻る」という意味があり、そこから「一度嫁いだ女性が離婚したり死別したりして実家に戻ること」という意味を持ちます。「離婚や死別によって実家に戻った女性」を指して「出戻り」ということもあります。

「出戻り」の使い方と例文

 

「出戻り」の他「出戻る」と動詞で使うことも

「出戻り」は、「彼女は出戻りだ」という風に用いられる他、「出戻る」と動詞で用いられることもあります。

例文
  • 母が離婚して実家に帰ったころは「出戻り」とのうわさが広まって大変だったらしい。
  • 今の時代、離婚は決して珍しいものではない。「出戻り」と呼ばれようが気にする必要はないのだ。

ゲームやSNSでは「一旦辞めてもう一度始めること」の意味

会員制ゲームやSNSにおける「出戻り」は、「一旦辞めてもう一度始めた人」という意味で用いられます。たとえば、1度アプリ(アカウント)を削除したが再度ダウンロード(登録)して利用するようになった、というようなユーザは「出戻り」と呼ばれます。

例文
  • SNSは面倒になって辞める人も多いが、一方でさみしさから出戻るユーザも少なくない。
  • 課金を辞めたくて一旦は退会したが、1ヶ月もせずに出戻ってしまった。
  • 出戻りユーザが多いということは、それだけメリットも大きいのだろう。

「出戻り社員」と使うと「再雇用者」の意味に

「出戻り」は、ビジネスシーンでは「再雇用者」の意味で用いられます。一度退職しほかの会社で働いた人が、再度元の会社に戻ることを「出戻り」と言い、そうして再雇用された社員を「出戻り社員」あるいは「出戻り」と呼ぶこともあります。

たとえば、ほかの会社で経験を積み戻ってきた人や、結婚・出産で一度は退職した女性がブランクを経て元の会社に戻る場合が挙げられるでしょう。ダイバーシティによる再雇用促進などから、近年では一定期間内であれば「出戻り」を可とする制度を持つ企業も少なくないようです。

会社に「出戻り」する際のポイント

ポジション、雇用条件が同じとは限らない

「出戻り」として再就職する場合に気を付けたいのが、「出戻り後」のポジション・待遇が退職前と同等は限らないという点です。企業の制度や本人のスキルなどにもよりますが、依然よりも給料が下がったり、業務内容が変わったりすることも珍しくはありません。

待遇だけでなく、同僚との関係性が変わる・職場の雰囲気が変わっているというケースも考えられます。

「出戻り」でも履歴書や職務経歴書は用意するもの

「出戻り」として再就職する場合、「育児や介護等を理由に退職したが状況が落ち着いたので復帰したい」という場合と「他の企業に転職したが再度この会社で働きたい」という場合の大きく2パターンが考えられます。前者の場合は、応募書類などを用いずに面談形式で話が進むケースもありますが、後者の場合は一般の中途採用同様に、履歴書や職務経歴書等の書類は必要になることが多いでしょう。

特に、「出戻り」の制度や前例のない企業では一般的な中途採用同様に、複数の採用プロセスを経た上で採用されるのが通例です。

応募書類や面接での志望動機・退職理由はポジティブに

「出戻り」の場合、履歴書や採用面接における志望動機や退職理由に悩む人も多いものです。この際、「転職先がいまいちだったから元の会社に戻りたい」という理由があったとしても、採用試験ではポジティブな言い回しに代えるのがポイントになるでしょう。

たとえば、「○○というスキルを活かした働き方がしたく、**に力を入れている貴社でもう一度働きたいと考えます」などといった意欲的な表現が理想的です。

「出戻り」転職する場合は事前に相談したほうがベター

「出戻り」の制度を利用するのではなく、中途採用の形で「出戻る」という場合でも、まずは企業側に再就職の意思があることを伝えておくのがベターです。特に、退職後であっても元上司と良好な関係が築けている場合には、会社側に一言添えてくれる場合もあります。そうでない場合でも、人事宛てに入社の意思があり、再度応募したい旨を伝えるのがマナーです。事前連絡なしにいきなり中途採用に応募してしまうと、心象を悪くする懸念もあるため、気を付けましょう。

転職後の挨拶では謙虚な姿勢を忘れずに

「出戻り」としての転職に成功したら、次は初出社での挨拶が待っています。在籍時に培ったノウハウやスキルこそあれど、再入社の際は謙虚な姿勢で臨むのがポイントです。特に、初日の挨拶で横柄な態度でいたり、先輩風を吹かせたりすると、周囲に「やりいくい」と感じさせる懸念があります。

また、「出戻り=勝手知ったる会社」というイメージを持たれがちですが、企業は日々変化します。社内申請・勤怠管理ひとつとっても以前と同様とは限りませんので、年齢・キャリアに関係なく、周囲に教わるという姿勢も大切です。

「出戻り」の英語訳

「出戻り」は英語で「Returning employee」

ビジネスシーンで用いられる「出戻り」を英訳する場合は、「Returning employee」あるいは「boomerang employee」といった表現を使用します。「boomerang」には「ブーメラン」および「ブーメランのように元へ戻ってくる人・もの」という意味があります。

なお、いわゆる「出戻り女性」は英語で「a divorced woman(離婚女性・結婚解消した女性)」もしくは「a divorced woman back at her parents’ home(結婚を解消し実感に戻った女性)」などといった表現が用いられます。

まとめ

「出戻り」とは、「離婚や死別により実家に戻った女性」を意味する他、SNSなどでは「一度退会して再登録したユーザ」を、ビジネスシーンでは「一度は退職したものの再度雇用された人」を意味します。「出戻り社員」は優秀な元社員を雇用できる・即戦力が雇えるなどのメリットがある一方で、その人の人柄も重視されます。自らが「出戻り」として再就職する場合は謙虚な姿勢もポイントになるでしょう。