「無断欠勤」の意味とは?クビ・解雇の可能性や対応例を解説

正社員に限らず、パートやアルバイトでも、事前に連絡することなく欠勤することは「無断欠勤」に該当します。では、「無断欠勤」をするとどうなるのでしょう。また、企業側は「無断欠勤」にどう対応すればよいのでしょう。本記事では、「無断欠勤」の意味をはじめ、従業員への対応や解雇の可能性などについても言及しました。

「無断欠勤」とは

「無断欠勤」とは「連絡なしに欠勤すること」を意味する

「無断欠勤」とは、「無断で欠勤すること」つまり「勤務日に事前に連絡することなく、自己都合で欠勤すること」を指します。本来、前日あるいは始業時刻までに欠勤する旨を連絡するのがマナーですが、その連絡なしに突然欠勤することが「無断欠勤」です。

「無断欠勤」の理由には病気や人間関係のトラブルも

「無断欠勤」となる理由は様々です。よくあるのは、高熱や腹痛などの体調不良で即座に連絡できなかったというケースでしょう。また身体的不調だけでなく、人間関係のトラブルなどによる精神的不調で「連絡すらできない」状態に陥る人もいます。

こうした病気などの正当な理由がある場合は、始業時刻を過ぎてからの連絡でも、実質は「無断欠勤」とは扱われません。会社に行けない理由がある場合は、できるだけ早く連絡しましょう。

一方、寝坊した・めんどくさい・(正当な理由はないが)行きたくないなど、自己管理不足やだらしなさから「無断欠勤」する例もあります。

「無断欠勤」への会社の対応は?

本人に連絡をとるのが第一

まず、始業時刻に従業員が職場に到着していない場合は、本人に連絡を取り、身の安全・無事を確認します。寝坊等が理由の場合は出社を促し、体調不良など理由がある場合は「無断欠勤」ではなく、病欠の旨を周囲に報告します。

精神的な不調を抱えている場合も病欠として扱われますが、その原因(職場環境やセクハラ・パワハラの有無)を確認することも必要です。特に、会社側に問題がある場合には「無断欠勤」とならないのが一般的で、人事担当者などと協力し、事実確認や処分の検討など早急な対応が求められます。

病気などを理由にした欠勤には「有給休暇」を当てることも

通常、「無断欠勤」はほかの「欠勤」同様に、無給となります。しかし、正当な理由があり欠勤した場合には事後申請として、欠勤分に「有給休暇」を当てるケースもあります。「有給休暇」の事後申請を可とするか不可とするかは、企業によって異なります。

一方で、企業側が本人の同意を得ずに勝手に「欠勤」を「有給」にすることはできません。「年次有給休暇」に関しては、「業務に著しい支障をきたす場合を除き、会社側が取得時季の変更を命令をしない」ことが条件になるためです。

繰り返す「無断欠勤」は解雇事由になりうる

「無断欠勤」を繰り返す場合や出社命令にも応じず連続して「無断欠勤」をする場合は、解雇事由となる場合があります。ただし、これまでの裁判等の事例を見ると、1週間程度の「無断欠勤」を理由に解雇することは違法と判断されることが多く、2週間を超える「無断欠勤」がある場合には正当な解雇事由として認められることが多いようです。

「無断欠勤=解雇」ではない

「無断欠勤」が2週間を超えた場合でも、解雇できないケースもあります。たとえば、セクハラやパワハラなど職場に出勤できない理由がある場合です。また、精神疾患などを抱えている場合における解雇も、不当解雇とみなされます。

一般に、病気による「欠勤」が続く場合には、まずは休職を勧めることが多いでしょう。それでも状況が改善しない場合は、退職を勧めるのが一般的です。ただし、解雇に関してはあらかじめ定められた就業規則における記載にのっとった方法で行われるのが原則となります。解雇の条件に該当する場合でも、突然に解雇するのではなく、口頭あるいは書面による「解雇通知」を行った上で行わなければいけません。

「無断欠勤」の英語訳

英語では「absence without leave」

「無断欠勤」は英語で、「absence without notice」あるいは「absence without leave」と表現されます。「absence」は「不在・欠席」という意味で、「notice」は「通知・お知らせ」、「leave」は「許し・許可」といった意味がそれぞれあります。また、「without leave」は、「無断で・勝手に・無届」などの意味を持つ慣用表現としても用いられます。

また、「電話もなければ姿も見せない」という意味で「no call, no show」と表現することも可能です。

まとめ

「無断欠勤」とは、文字通り「連絡なしに欠勤すること」を意味しますが、病欠や企業側に問題があった場合などは実質「無断欠勤」とはなりません。一方で、本人に問題があり、なおかつ出社命令にも応じない場合などは解雇事由にもなり得ます。ただしその場合でも、事前に休職や退職を促したり、きちんと解雇通知を行った上で解雇する必要があります。不当解雇とならないためにも、本人との密な連絡体制が鍵となるようです。