「役職定年」とは?「役職定年制」と例外・その後の待遇を解説

「役職定年」は、一般的な定年年齢に達する前に「役職」に定年を設ける制度のことです。この「役職定年」は、日本国内で採用する企業も多いことから、キャリアを考える上でも知っておきたい制度のひとつと言えるでしょう。本記事では「役職定年(制)」の詳しい意味やその運用について、また「役職定年」となった後の給与や退職金などについても触れています。

「役職定年」とは

「特定年齢で管理職を外れ、一般職等に処遇される」制度を意味する

「役職定年」とは、「特定年齢に達した役職者はその職を離れ、一般職あるいは専門職などに処遇されること」を意味します。文字通り、「役職に定年を設定する」ことが「役職定年」です。たとえば、「55歳に達した営業部長が部長職をはずれ、一営業スタッフとなる」などの例が挙げられます。

「役職定年」は、「役職定年制」あるいは「役職任期制」などとも呼ばれます。一方で、「役職任期制」の場合は「所定の任期を終えた後に再任される」という例もあり、厳密には「役職定年制」と区別されることもあります。

「役職定年」により、優秀な若手に活躍の場が生まれる

「役職定年」の一番のメリットは、若い世代にも役職に就くチャンスが与えられる点にあります。管理職のポストにはどうしても限りがあるため、降格人事でもない限り中々そのポストに空きが出ることはありません。しかし、「役職定年」制を導入することで、一定年齢に達した人がその職を退くため、次の世代が役職に就くチャンスが生まれるます。同時に、組織が一新され、新しい風が吹くこと、また組織の若返りが図れることも「役職定年制」の大きなメリットと言えるでしょう。

「役職定年制」の運用について

「役職定年」の年齢は55歳とする例が多い

「役職定年制」の運用においてまず重要となるのがその年齢でしょう。「役職定年」となる年齢で最も多いのは55歳で、多くの企業が55~60歳の間に設定していることは、「平成30年民間企業の勤務条件制度等調査」でも明らかになっています。

これには、「役職定年(制)」が「55歳定年」から「60歳定年」へと引き上げられる際に広く導入されたという背景があります。

【参考】民間企業の勤務条件制度等調査 / 平成30年民間企業の勤務条件制度等調査 / 統計表

「役職定年」の例外を設ける企業も

「役職定年」では、課長や部長などあらゆる役職を対象とする企業も多いですが、中には「例外」として「役職定年」の対象外を設ける企業もあります。この場合、「役職定年」の年齢に到達した後も引き続きその職を担うことになるでしょう。「例外」が適用される最たる例としては、「役職者本人にしかできないポストである」ことが挙げられ、後継者がいないという理由も考えられます。

国家公務員でも「役職定年」制導入を予定

「役職定年」の導入は、一般企業だけでなく国家公務員にも広がっています。国家公務員の場合は、60歳の誕生日から以後の最初の4月1日までに管理監督職以外の職に異動させることとなっています。なお、この場合には例外があり、「公務の運営に著しい支障が生ずる」場合は引き続きその職にあたることもあります。

中小企業より大企業に多い制度

「役職定年」は日本企業の中でも、大企業に多いのが特徴です。中小企業でも「役職定年制」を用いるところもありますが、大企業に比べると少ないのが実状です。中小企業の場合、後継となる人がいないという場合もあれば、「役職定年」した人をどのポストに配置するのか難しいということもあるようです。

そのため、仕事の質・量はそのままに単に給与カットの理由として「役職定年」を運用する企業もあり、「役職定年制」の運用に課題を抱える企業もあります。

日経グローバル企業では「役職定年制」廃止の動きも

日本では多い「役職定年」ですが、海外では年齢で処遇が決定されることへの反発があります。そのため、日系グローバル企業と呼ばれるような会社では、「役職定年制」を廃止する動きもあるようです。ただし、この場合、人件費が下落しにくいこと、また人材育成の観点でも壁が生じるなどの問題が指摘されています。

なお、「役職定年」は英語では「age limit system for managerial personnel」や「executive age-limit system」と表現することが可能です。しかし、先述のように英語圏ではあまりない概念であるため、英語訳そのものが難しいと言われることもあるようです。

「役職定年」のその後は?

「役職定年」後に合わせ新たな専門職を用意する企業も

「役職定年」となった後は、管理職から離れ一般社員となります。たとえば、「営業部長」が「一営業職」として働くこともあります。

ただし、これでは「役職定年」となった本人が喪失感を覚えることも多いことから、これまで培ったスキルや専門性、知識などを生かした働き方ができるような専門職を用意する企業も多いようです。たとえば、新たにその役職に就く人の指導係となったり、社内で若手の指導役を任されるなどの例が挙げられます。

「役職定年」後は給与が下がるのが一般的

「役職定年」後は、給与が下がるのが一般的で、年収でみて2割程度下がる企業が多いと言われています。特に、役職手当が大きく、基本給が低いという企業程「役職定年」後の減額率は大きくなります。たとえば、700万円の年収が560万円になることもあり、生活にも大きくひびくこともあるでしょう。

「役職定年」後すぐに退職金は受け取れない

「役職定年」はあくまでも「役職」に対する定年なので、会社を退職するわけではありません。そのため、「役職定年」後にすぐに退職金をもらうことはできません。「退職金」は会社を辞める時に支払われるお金なので、その時まで受け取ることはできないのです。このことからも、「役職定年制」のある企業で働く場合は、将来の家計・生活水準に対する見極めが重要になります。

まとめ

「役職定年(制)」とは文字通り「役職に対して設けられた定年制度」のことです。「役職定年」を迎えた後は、給与が下がるのが一般的ですので、それを考慮した上でのキャリアプラン・ライフプランが求められます。「70歳までの就業機会確保」が企業の努力義務とされるなど、労働年齢が上がる中、どう働いていくのかは現代のビジネスパーソンには不可欠な課題かもしれません。