「準社員」の意味とは?「正社員」「契約社員」との違いも解説

求人情報で「準社員」の募集を目にすることがあります。「準社員」は「正社員」とは異なり、法律にも細かい定義はなくその実態はあまり知られていないかもしれません。本記事では「準社員」の意味をはじめ、契約更新や給与などの特徴について詳しく解説しました。また、「正社員」や「契約社員」など他の従業員との違いについても触れています。

「準社員」の意味とは

「準社員」とは「正社員に準ずる社員」という意味

「準社員」とは、「正社員に準じる社員」を意味し、英語では「Associate employee」と表現されます。一般に、雇用期間に定めがあり、業務における責任が正社員よりも軽いのが「準社員」の特徴と言えるでしょう。

「準社員」の「準(準じる)」とは、「あるものを基準とし、同様の扱いをすること」を意味します。つまり、「準社員」とは、「正社員と同様の扱いをされる社員」という意味になります。しかし、「準社員=非正社員」であり、一般には「正社員(正規社員)」と「非正規社員(契約社員など)」の中間のような位置付けで扱われることが多いようです。

「準社員」の特徴と雇用契約の注意点

一年あるいは半年ごとに契約更新するのが通例

「準社員」は、雇用期間に定めのない正社員とは異なり、雇用期間に定めがありますが、半年や一年など比較的長期の雇用契約であることが多いのが特徴です。契約更新を前提としていることが多い一方で、法律上、一度の雇用契約は3年(条件を満たせば5年)がひとつの区切りとなるため、長くても3年間(あるいは5年間)の勤務となるでしょう。

なお、契約更新の有無は雇用契約書に記載があり、更新の可能性がない場合もまれにあります。また、契約更新の可能性があっても、業績悪化や本人の成果によっては更新に至らない場合もあります。

給与は時給・日給制から固定給まで様々

「準社員」の給与体系で多いのは、日給制や時給制です。企業によっては、正社員と同様に固定給とするところもあります。

日給制・時給制の一番の特徴は、働いた分だけ収入が得られる点です。その分、就業時間がカットされるケースや、祝日や休暇が重なる時期は給与が少なくなるなどのデメリットも挙げられます。

昇給・ボーナスや退職金も企業によって異なる

「準社員」の場合、昇給は見込めない場合が多いでしょう。加えて、ボーナスや退職金もないことが多く、あっても少額となるケースが多いようです。

一方で、有給休暇や社会保険等は、法律の条件に合えば対象となります。特に、正社員と同様の勤務体系の場合は適用される可能性が高いです。そのほかの福利厚生に関しては、企業によって扱いが異なるため、個別に確認が必要です。

副業に関しては「正社員」と同様の扱いが多い

「準社員」は給与が不安定な面もあるため、副業に取り組みたい人も多いかもしれません。しかし、「準社員」の副業に関しては、正社員同様に禁止とする企業も多いのが実状です。一方で、正社員にも副業を許可する企業であれば、「準社員」も問題ないととらえてよいでしょう。詳しくは就業規則を確認してみてください。

「準社員」として雇用契約時は業務内容の確認も必須

「準社員」として働く上では環境も大事ですが、もちろん業務内容も重要です。一般に、正社員に対し「準社員」の方が責任の比重は軽い傾向にあり、「正社員のサポート」としての業務を担うケースが多いです。

一方で、入社したら正社員と同等の業務を任されてしまった、というケースもあります。雇用契約書をあらかじめ熟読しておくと、「契約と違う」と主張することができますが、よく確認せずに雇用契約を結んでしまったという人も中にはいます。契約時にしっかりと確認しておきましょう。

「準社員」と「正社員」「契約社員」などとの違い

「正社員」は「期間に定めのない雇用」の者を指す

「正社員」は「雇用期間に定めのない雇用」の従業員を意味します。この「正社員」に対し、「準社員」は「期間に定めがある」点で大きく異なります。

なお、「期間に定めがある雇用の者」は、法律上は「非正規社員」と呼ばれます。「準社員」も「非正規社員」の一種ということになるでしょう。

「契約社員=準社員」として扱う企業も多い

「準社員」と似た位置づけの従業員に「契約社員」が挙げられます。一般に、「契約社員」は契約期間に定めがあるものの、正社員と同じ労働時間・勤務体制で働く従業員を指すことが多いでしょう。「準社員」と同様の意味で取り扱う企業も多いものですが、より限定的な働き方(非常勤・嘱託社員など)を指して「契約社員」と呼ぶ企業もあります。

「パート」や「アルバイト」とは勤務時間が主に異なる

雇用期間に定めがあり、契約更新の可能性がある従業員では「パート」や「アルバイト」も挙げられます。ただし、「パート」「アルバイト」と「準社員」では勤務時間が大きく異なります。

一般に、一週間の所定労働時間が正社員よりも短いスタッフを「パート」「アルバイト」と呼びますが、「準社員」はフルタイム(正社員と同等)であるのが通例です。また、一週間に数日の勤務であることが多い「パート」「アルバイト」に対し、「準社員」は休業日も正社員と同様の扱いをされます。

「準社員」から「正社員」には可能?

「正社員登用制度」の有無は企業によって異なる

「有期労働契約」の上限は原則として3年と法律で定められているため、3年を超えて「準社員」として働くことはできません。ただし、「準社員」から正社員になることができる場合もあります。正社員への登用を強く希望する人は、期間限定求人ではなく、「正社員登用制度あり」の文言を中心に職を探すとよいでしょう。

ただし、「正社員登用制度」があっても認められるだけの働きができなければ、正社員となることはできません。一方で「契約更新の可能性あり」としか書かれていない企業でも、良い人材は正社員として採用したいという企業もあります。就業後の働きによるところも大きいものです。

転職する際の履歴書の書き方

正社員への登用見込みがない場合には、これまでの「準社員」としての経験・スキルを活かして正社員になるという方法もあります。この場合、履歴書の職歴欄には「準社員」として就業した旨を記載するとともに、職務経歴書等で細かい業務内容についてしっかりとアピールするとよいでしょう。

平成○年 4月 株式会社○○ 入社(準社員)
営業補佐として、提案資料作成・営業同行などの業務に従事

まとめ

「準社員」とは「正社員に準ずる社員」を指し、雇用期間に定めがあり、正社員のサポート業務を担う従業員を指すことが多いでしょう。この「準社員」は、法律上は「雇用期間に定めがない」という「非正規社員」に入りますが、実際の労働環境や勤務形態、福利厚生等は企業によって異なります。「準社員」として就業する際は、契約更新や正社員登用も含め、募集要項はもちろん、雇用契約書もくまなく確認することが必須です。