コールセンターの業務では「架電件数」や「架電の件」といった表現を使うことがあります。本記事では、ビジネス用語のひとつ「架電」について、その意味や使い方を解説しました。また、「架電」の類語や反対語、英語訳についても触れています。
「架電」の意味とは
「架電」とは「電話をかけること」を意味する
「架電(かでん)」とは、「電話をかけること」という意味です。「架電」の「架」には、「かける・かかる」という意味があります。
「架電」という表現は、元々は法律の分野で用いられていましたが、現代ではビジネス用語としても使われるようになっています。ただし、特定の業界・業種でのみ用いられる傾向が強いこともあり、取引先との会話で使うというよりは、社内にかぎって使用するビジネス用語といった方が適切でしょう。
「架電」の反対語は「受電」
「電話をかける」という意味の「架電」に対し、かかってきた電話・受けた電話は「受電(じゅでん)」といいます。「受電」は、「電話を受けること」という意味があるほか、「電力を受け取る」という意味でも用いられます。
このほか、「入電(にゅうでん)」も「電報や電話などの何らかの電信が到着すること」という意味があり、「架電」とは反対の意味を持つ表現として使用することができます。
「架電」の使い方と例文
自分からかけることを指して「架電する」と使う
「架電」は、自分から電話をかける際に「架電する」という形で使用します。「電話をかけること」あるいは「自分がかけた電話」の意味で「架電」と使うこともあります。
- 取引先に契約の件で架電する。
- その件については、先方に架電済みです。(=先方に電話済みです)
- しつこい架電で契約が取れることなどまずない。(=しつこい電話で~)
また、「電話をかけた件数」を「架電件数」と表現したり、「これからかける電話番号のリスト」を「架電リスト」と表現したりする例もあります。
電話メモとして「架電あり」として使う人も
担当者不在時に受けた電話は、後で本人に伝えることになりますが、この「電話メモ」で「架電あり」という表現を使う人もいます。たとえば、「11:05、A社鈴木様より架電あり。折り返しのご対応をお願いします。」などといった具合です。
しかし、本来「架電」とは「電話をかけること」を意味する表現であるので、この使い方は厳密に言うと誤りです。ただし、慣例的に相手からかかってきた電話も「架電」と称する企業もあります。
「架電の件」は「電話した件」という意味になる
「先ほど電話で話した件」という意味では、「架電の件」の言い回しで用いられます。たとえば、「架電の件、どうなりました?」というと、「電話で話した件はその後どうなりましたか?」というニュアンスにとることができます。
- 架電の件ですが、まだ調査中です。もう少しお待ちいただけますでしょうか。
- 架電の件について資料をお持ちしました。
ただし、口語で使う場合にはややわかりにくいこと、また「架電」が社内で主に用いるビジネス用語であることを考慮すると、特に目上の人に対しては異なる表現を使った方がよいでしょう。たとえば、「先ほどお電話差し上げた件についてですが~」などの表現がより丁寧です。
「架電者」は「電話をかけた人」の意味
「架電者」とは、文字通り「(その)電話をかけた人」という意味になります。たとえば、問い合わせ対応をした場合などに、「架電者」として対応した人物の名前を記載することもあります。
「架電」の類義語
「架電」と似た意味の表現は「連絡する」「一報を入れる」など
「架電」を言い換える場合には「電話をかける」「電話する」といった表現の他、「連絡する」や「一報を入れる」などの言い回しを使うことができるでしょう。「一報を入れる」の「一報」とは、元々は「簡潔な知らせ」を意味する単語ですが、現代ではその内容を問わず「知らせる・連絡を入れる」の意味で用いられています。
「荷電」は異なる意味の単語
「架電」と同じ読みをする単語に「荷電」があります。「荷電」とは、「物体が電荷を帯びること」という意味の単語で、「電話をかける」という意味の「架電」とは全く異なる意味です。一字違ですが、しっかり特別して覚えておきたい単語です。
「架電」の英語訳
「架電」は英語で「call」
「架電」は英語では「call」を使って表現します。「call」は「電話をかける」という意味があり、「I’ll call you.(後で電話します)」「I’ll give you a call back.(後でかけなおします)」などと使うことができます。
また、「架電の件ですが」のように、先に電話した内容について言及する場合は、「As we discussed on the phone yesterday, …(昨日電話でお話した件ですが)」と表現することができるでしょう。
まとめ
「架電」は「電話をかけること」という意味のビジネス用語で、コールセンターなど特定の業界で好んで用いられます。「架電」は社内用語として用いられるのが通例で、社外の人に対して「架電の件ですが~」と切り出すことはあまりありません。はっきりと敬意を表したい場合にも避けた方が無難です。