親しい間柄の人や会社の関係者が入院したら「お見舞金」を渡すことがあります。また、災害が多い日本では「災害見舞金」を手渡すケースも多いかもしれません。本記事では、病気やケガ、災害時などに手渡す「お見舞金」について、金額の相場から渡すタイミングまで詳しく解説しました。
「お見舞金」とは
「お見舞金」は「入院や被災した人に贈るお金」のこと
「お見舞金」とは、知人や友人、親族などが病気やケガで入院した場合、あるいは災害に合った場合などに「お見舞」として贈るお金のことです。同僚など会社関係者に渡すこともあれば、親や兄弟に渡すこともあるでしょう。病気や自然災害など状況に差はあれど、いずれの場合も相手も慰める目的で用意されます。
お見舞金額の相場とは
親・兄弟・親族は5,000~10,000円
「お見舞金」の額は、相手との関係性で異なります。親・兄弟や親戚関係への「お見舞金」は5,000円から1万円が相場です。普段から親しい間柄であれば親族でも3万円用意する場合や、地域の風習によって相場が決まっているケースもあります。
会社関係は3,000~30,000円まで様々
同僚への「お見舞金」は5,000円、連名であれば1,000~3,000円程度が多いでしょう。部下への「お見舞金」は少し額が上がり、5,000円から1万円ほどが相場と言われています。
これに対し、上司への「お見舞金」には少々注意が必要です。目上の人に現金を贈ることは無礼ととらえられるため、「お見舞金」ではなく品物を用意するのが通例です。どうしてもお金を包む場合には3,000~1万円程度となるでしょう。
なお上記以外、プライベートの友人・知人ということであれば、同僚への「お見舞金」同様に3,000~5,000円程度で問題ありません。
社内規程に従い「見舞金」が出ることも
会社関係者への「お見舞金」は部署で用意するほか、会社から「見舞金」が支給されるケースがあります。たとえば、取引先への「お見舞金」がその代表的な例で、個人として取引先の相手に「お見舞金」を渡すことはあまりありません。会社名義ということもあり、金額も相応になり1万~3万円程度が用意されます。
「お見舞金」の入れ方・書き方
「お見舞金」には赤帯の見舞い用封筒や白無地の封筒
「お見舞金」を手渡す封筒は、「御見舞い」と書かれた赤帯の専用封筒もしくは白無地の封筒を使用します。封筒には、けがや病気の場合は「御見舞い」と書き、被災された人には「災害見舞金」と書くのが通例です。なお、「災害見舞金」の場合は、赤帯の封筒ではなく、白無地の封筒を使用します。
入院や被災を良くないことととらえ「不祝儀袋」を用意する人がいますが、「不祝儀袋」は絶対に使用しません。
軽度のけが・病気には結び切りの祝儀袋を使うことも
相手のけがや病気の程度が軽く一時的な入院と分かっている場合には、紅白の「結び切り」の水引があしらわれた祝儀袋を使用することもあります。水引とはのし袋の飾り紐のことで、ほどけないように固く結ばれた結び切りの水引は、「二度と繰り返さないように」との願いを込めた装飾です。
一方、容易に結びなおしが可能な「蝶結び」の水引は「何度あっても喜ばしい」事柄に使用するため、「お見舞金」には不適切です。
連名の場合は目上の人を右側に
「お見舞金」の封筒の書き方は、上部に「御見舞い」あるいは「災害見舞金」と書き、その下に贈り主の氏名を記載します。連名で贈る場合には目上の人から順に、右から書くのがマナーです。4名以上の場合は、代表者の氏名のみを記入し、その左側に「他一同」や「外一同」と書きます。贈り主全員の氏名は別紙に記載し、同封します。
中に入れるお札に新札はNG
「お見舞金」には、新札ではなく旧札を使用します。新札は「事前に用意しておいたお金」と推察できることからタブ―とされていますので、新札しかない場合には折り目をつけて封入するのがマナーです。また、その読みから死・無・苦を連想させるため、4・6・9を伴う金額は避けます。特に連名で用意する場合には合計額に配慮しましょう。
なおお札は、人物の面を表として、表向き・上向きが基本です。封筒の口を右にしておいた状態で、人物の面が表となり、かつ数字が正しく読めるように入れます。
「お見舞金」の渡し方
渡すタイミングは様々、入院すぐはNG
まず、入院直後あるいは手術前後など、先方が慌ただしい時期の「お見舞金」の持参は避けます。数日たってからの方が望ましいでしょう。また、見舞いにいった当日は、長居を避けるためにも、できるただけ早いタイミングで手渡します。
なお、本来見舞いの際には、「お見舞金」ではなく品物を用意するのが好ましいとされているため、「御見舞い品の代わりに」と一言添えるとよいとされています。
災害時は被災から2週間~1ヶ月が目安
災害時の「お見舞金」については、被災後2週間~1ヶ月程度を目途に渡すことが多いでしょう。救援物資と共に贈る場合など、被災後2週間を待たずに渡しても問題はありませんが、無事に届けられるかどうかの状況確認を優先させるようにします。
友引はNG?
お見舞には「友引」を避ける風習があります。「お見舞に来た人にも悪い何かが及ぶ」という説や「病気と引き分けでは困る」などの説があり、古くから避ける人が多いようです。近年では入院期間そのものが短期傾向にあること、また多忙などを理由に友引かどうかを気にしない人も増えているようですが、年配の方の場合は配慮したほうが良いかもしれません。
退院後は「祝ご退院」などと書いて渡すことも
入院中に「お見舞金」を渡せなかった場合、退院後3週間以内であれば「祝ご退院」として渡して問題ありません。自宅療養を続けている場合には引き続き「御見舞い」として渡すこともありますが、完治が伺えるようであれば「祝御全快」を用いることもあります。
一方、「快気祝い」の熨斗は入院した側が用いるものです。混同しないようにしましょう。
「お見舞金」をもらったら?
お礼として気持ち程度のものを贈る
「お見舞金」をもらった場合は、退院後1ヶ月以内にはお返しを贈ります。もらった額の半分から3分の1程度の品を返すべきとの説もありますが、どの人にも一律で気持ち程度の品を用意することも多いようです。
「災害見舞金」は基本的にお返し不要
「災害見舞金」の場合には、その他の「お見舞金」のようにお返しをすることはありません。もちろん、お返しをしないことが失礼に当たることもありません。そのため、助けになりたいとの思いがあっても、あまりに額が大きいと相手に気苦労を負わせてしまうこともあります。相場程度の額にとどめた方が無難です。
「お見舞金」の英語訳
「お見舞金」を意味する単語は「solatium」
英語で「お見舞金」を意味する単語には「solatium」が挙げられます。「solatium」には、「見舞金」という意味の他「賠償金」「慰謝料」などの意味もあります。海外では「お見舞金」としてお金を贈るよりも品物を贈る風習が根強い地域も多いことから、「a get-well present(お見舞のための金品)」という表現が用いられることも多いようです。
このほか、「a consolatory present of money」といった英訳や「a gift of money for someone who is in the hospital 」と表現することもできるでしょう。
まとめ
「お見舞金」は入院中の人あるいは災害にあった人に対して贈るお金です。入院時の「お見舞金」には結び切りの水引を用いた祝儀袋を使用することありますが、災害時には白無地の封筒を使用するのが通例です。また、あまりに高額を用意しても恐縮させてしまうこともあるものです。親しい人、お世話になっている人の万が一の際に、失礼のない形で気持ちが届けられるよう、「お見舞金」のマナーを抑えておきましょう。