「年次有給管理簿」とは?作成方法と雛形・管理方法について解説

「年次有給管理簿」は2019年4月から作成が義務化された書類ですが、馴染みの少ない書類なので作成方法に戸惑われる方も少なくないでしょう。

今回は「年次有給管理簿」の意味を解説して、作成方法と管理方法を紹介します。「年次有給管理簿」のテンプレートもありますので参考になさってください。

「年次有給管理簿」とは?

「年次有給管理簿」とは「有給休暇の取得状況を管理する書類」

「年次有給管理簿」とは、従業員の有給休暇の取得状況を管理するための書類です。企業の規模、業種は関係なく、2019年4月1日の労働基準法の改正により年次有給管理簿の作成が義務化されました。

有給休暇は、働き方改革により年間5日の有給休暇を取得することが義務化されましたが、従来では有給休暇は残日数によって管理されていたため、年間5日の有給休暇を取得したかどうかを確かめられませんでした。確実に有給休暇を取得したことを確認および有給休暇の取得状況を管理するために「年次有給管理簿」を作成することが義務化されました。

「年次有給管理簿」の作成に関しては労働基準法25条の7に規定されています。

年次有給休暇の日数は従業員の勤務期間等によって変わる

年次有給休暇を取得できる従業員とは、勤務期間が6ヶ月以上で8割以上を出勤している従業員です。さらに年間で取得できる有給休暇の日数は、勤務年数や労働日数などにより異なります。

付与された有給休暇を取得し消化することは労働者の権利です。もしも従業員が有給休暇を取得しなかったら、一定の有給休暇を取得しなかった従業員一人につき会社は30万円以下の罰金を科せられる。

参照:「有給」の意味とは?「有休」との違い・有給休暇について解説

「有給管理簿」を作成しなくても罰則はない

「有給管理簿」の作成は義務化されているものの、「有給管理簿」を作成しなかったとしても罰則規定はありません。「有給管理簿」は労働基準法第109条の規定では重要な書類には該当しないため(2018年9月現在)、労働法による罰則対象にはあたらないからです(2020年9月現在)。

「有給管理簿」の必須の記載事項とは?

「有給管理簿」には記載しなければならない記載事項が3つあります。「基準日」「時季」「日数」ですが、ここではそれぞれの意味を見ていきましょう。

「基準日」とは「有給休暇の権利が与えられた日」

「基準日」とは会社が従業員に有給休暇を与える権利を得られた日のことです。有給休暇は従業員が入社してから6カ月過ぎてから与えられます。つまり入社して7カ月目から有給休暇を取得できるようになりますが、その有給休暇を取得できるようになった日を「基準日」と言います。

従業員はこの基準日から1年間の間に少なくとも年間5日分の有給休暇を取得する義務があります。また基準日から1年すると新しい基準日が設定されて、それから1年の間に各従業員で認められる日数分の有給休暇を取得することになります。

「時季」とは「取得した有給休暇の日付」

「時季」とは従業員が実際に取得した有給休暇の日付です。「○月〇日」のように日付ごとに記載するか、連日で取得された有給化なら「○月〇日から○月〇日」のように記載することもできます。

「日数」とは「取得された有給休暇の日数」

「日数」とは、年次有給休暇を取得した日数のことですが、時間単位で取得された有給休暇も含まれます。

「年次有給管理簿」の様式とテンプレート

「年次有給管理簿」の様式に規定はない

「年次有給管理簿」の様式に規定はありません。そのため、必須記載事項である「基準日」「時季」「日数」がわかりやすく記載されていれば、様式として成立していることになります。

パソコン上で作成し保管していてもいいのですが、労働基準監督署の調査が入った時には紙媒体で提出することになるので、いつでも印刷できるように準備をしておくことが大切です。

また「年次有給管理簿」は勤怠管理システム等のソフトウェアを使って作成することもできますが、表計算ソフトのエクセルで作成されることも多いようです。

年次有給管理簿のテンプレート

ここでは年次有給管理簿のテンプレートを紹介します。様式に規定がないので、テンプレートを参考にして自由なフォーマットで作成してみてください。

年次有給管理簿のテンプレート

個人別年次有給管理簿

〇〇〇〇年度: 〇〇年〇月〇日~〇〇年〇月〇日

社員番号:         所属:          氏名:         

 

入社年月日基準日有効日数(付与日数)合計
繰越分本年度残日数
〇年〇月〇日〇年〇月〇日

 

請求日年次有給休暇全日

取得日数

時間

取得時間

備考
  /〇〇年〇月〇日~〇〇年〇月〇日
  /〇〇年〇月〇日~〇〇年〇月〇日
  /〇〇年〇月〇日~〇〇年〇月〇日
  /〇〇年〇月〇日~〇〇年〇月〇日

「年次有給管理簿」の管理の仕方とは

「年次有給管理簿」の保存期間は3年間

「年次有給管理簿」は最初の基準日から3年間は保存しなくてはなりません。ただしこの保存期間は会社に従業員が有給休暇を取得したかどうかを思い起こさせるための年数と考えられているので、もしも「年次有給管理簿」を3年間保存していなくても罰則の対象にはなりません。3年経過した後は「年次有給管理簿」を破棄できます。

「年次有給管理簿」は労働者名簿や賃金台帳と併せた調整も可

有給管理簿は労働者名簿または賃金台帳と併せて調整することもできます。例えば、労働者名簿等に有給管理簿として必要な事項も記載して、「有給管理簿」として単独の書類を作成しないという方法もあります。

このような管理の仕方は、労働基準法施行規則第55条の2において労働者名簿または賃金台帳と併せて調整できると規定されています。

「年次有給管理簿」は各支店・各事業所で管理する

「年次有給管理簿」は支店ごと、または事業所ごとに管理する必要があります。事業所ではなく本社で一括して管理することは許されません。

まとめ

「年次有給管理簿」とは各従業員が一年間でどれだけの有給休暇を取得したのかを管理するための書類です。作成義務が課せられている書類で、各事業所単位で管理して、労働基準監督署の調査が入った時には提示できるように準備しておきましょう。