「拍車」の意味とは？「拍車がかかる」など使い方と例文・類語も

物事のスピードが増す様を「拍車がかかる」などと表現しますが、「拍車」は元々は乗馬の際に用いられる「馬具」のひとつであることを知っていますか。

本記事では「拍車」の意味とともに、「拍車がかかる」や「拍車をかける」などの使い方や例文、類語も解説します。悪い意味として使う場合の例もご紹介しましょう。

「拍車」の意味とは？

「拍車」の意味は”乗馬靴に取り付ける金具の名称”

「拍車」の意味は、“乗馬者のかかとにつける金属製の道具”です。このかかとの「拍車」で馬の腹を刺激することで、馬を早く走らせるなど速度を加減するための道具として用いられます。

「拍車」は歯車のような形をしていることからその突起を気にする人もいますが、くるくる回る状態に手入れをされていれば馬に痛みはないと言われています。

「拍車」の読み方は”はくしゃ”

「拍車」の読み方は“はくしゃ”です。「拍」とは”うつ・手でたたく”という意味を持つ漢字で、「ひょう・はく」などの読みを持ちます。「拍車」の場合は”はく”と読み、「はくしゃ」という読み方をします。

「拍車」の使い方と例文とは？

「拍車をかける」とは”進行を一気に早めること”

「拍車をかける」とは、”進行を一気に早める”という意味の慣用表現です。「拍車」が馬を早く走らせるための道具であることに由来した表現で、単に人を急かす場合のほか、物事が人に与える影響やその勢いについて言及する場合にも使うことができます。なお、馬具としての「拍車」を使用する際にも「拍車をかける」と表現します。

「拍車がかかる」とは”スピードが速まること”を意味する

「拍車をかける」と似た表現に”拍車がかかる”があります。「拍車がかかる」とは、”スピードが速まり、勢いがついたように進む様”を表しています。

悪い意味で使う場合は「事態の悪化」を指す

「拍車をかける」あるいは「拍車がかかる」といった表現は、物事が好転する場合だけでなく、事態の悪化を指して用いることも可能です。物事がさらに面倒になること、あるいはエスカレートさせるような意味合いでも「拍車」という単語を使用します。

「拍車」の類語・言い換えとは？

「加速させる」「促進させる」が類似の表現

「拍車をかける」と似た意味を持つ表現には、“加速させる”や“促進させる”などが挙げられます。いずれも、物事にはたらきかけ、進行を早めることを意味する表現です。また、後ろから吹く風・有利な状況を意味する「追い風」という単語を使った「追い風に乗る」も似た意味で用いられます。

ネガティブな意味では「火に油を注ぐ」とも言い換えられる

ネガティブな意味合いで用いられた「拍車をかける」は、“火に油を注ぐ”や“波風を立てる”などの表現に言い換えることができるでしょう。「火に油を注ぐ」とは、（勢いが盛んなものに）さらに勢いを加えよくない結果にすることを意味します。「波風を立てる」には、面倒な事柄・もめ事を持ち込むという意味があります。また似た表現には、「事を荒立てる」も挙げられるでしょう。

「輪をかけて」も程度の変化を表す言い回し

「拍車をかける」のように、程度が激しくなる様を表す言い回しには“輪をかけて（輪をかける）”が挙げられます。「輪をかける」には、”程度が一層激しくなる・さらに大げさにする”などの意味があります。

「拍車」の英語訳とは？

「拍車」は英語で”spur”

「拍車」は英語では“spur”となります。「spur」には、”拍車”という意味の他「刺激・激励」などの意味もあり、「need the spur（刺激が必要だ）」などの表現でも用いられます。

「拍車をかける」という動詞でも使用することができ、「The award was formed to spur research.（この賞は研究に拍車をかけるために設立された）」などの使用が可能です。「The news has spurred the confusion.（その知らせは混乱に拍車をかけた）」などと使うこともできます。

まとめ

「拍車」は元々は速度を調整するための馬具ですが、一般には「拍車をかける」や「拍車がかかる」など物事の加速や勢いが増す様を意味する表現として用いられています。「加速する」「促進する」などに言い換えることもできますが、「拍車」という単語を使うことで「より一層」というようなスピード感をもった表現となるのが特徴です。