「申し送り」の意味とは?使い方・例文と書き方の基本も紹介

「申し送りをする」「申し送り事項」などといった表現は、看護・介護の現場に限らずビジネスシーンでも用いられる表現です。本記事では「申し送り」の意味と共に、使い方や使用例、また「申し送り」の書き方について解説しました。また、「申し送り」と「引継ぎ」との意味の違いについても触れています。

「申し送り」の意味とは?

「申し送り」の意味は”前任者から後任者へと情報を伝えること”

「申し送り」の意味は、“前任者から後任者へと進行途中の業務を引き継ぐこと”です。特に、進行中の業務を途中でほかの人に渡す際に、「現在持っている情報を伝える」という意味で用いられます。

看護・介護など交代制の職場では、情報を把握することが目的

「申し送り」は、看護や介護の現場では非常に重要な業務のひとつです。看護の現場では、カルテとは別に患者の情報をまとめ、後から来たスタッフがきちんと把握できるようにするのが通例です。介護の現場でも同様に、利用者が不快な思いをしないよう「申し送り」は重視されます。

また、看護・介護に限らず、シフト制の職場では業務に必要な情報を「申し送り」としてやり取りすることは多いものです。交代したスタッフが情報を正確に把握し、行き違いが無いように配慮します。

「申し送り」の書き方とは?

基本項目は日時・記入者・業務内容・所感の4点

「申し送り」は日時・記入者・業務内容・所感の主に4点で構成されます。「業務内容」の項目では、その日の業務内容を時系列で端的に記載しましょう。

「所感」の欄にはその日に感じたことをそのまま記載します。簡単な連絡事項を所感の欄に記載することもあります。

わかりやすく書くには「5W1H」が基本

「申し送り」は相手に正確に伝えることが目的ですが、そのためのポイントとなるのが「5W1H」です。「5W1H」とは英単語の疑問詞の頭文字をとった表現で、「いつ(when)どこで(where)だれが(who)何を(what)なぜ(why)どうした(how)」を意味します。この「5W1H」を意識して書くと、自ずとわかりやすい文章になります。

例文

B社訪問日程変更希望の連絡あり。○日(金)14時に変更で調整中。返信期限は明日*日12時。

「申し送り」の使い方と例文とは?

「申し送り」は”申し送りする”と使うのが一般的

「申し送り」は、”申し送りする”あるいは”申し送りを行う”などの表現で使うことが多いでしょう。「申し送りを済ませる」という表現もよく耳にします。

例文
  • 必要事項をもれなく申し送りする。
  • 申し送りは15分程度で簡潔に済ませるようにしている。
  • 田中さんから順に申し送りをお願いします。

「申し送り事項」とは”必要事項をまとめたもの”

「申し送り事項」とは、”申し送りのための必要事項・必要項目”などを指します。また、必要事項をまとめたものを指して「申し送り事項」と呼ぶこともあります。

「申し送り事項」に含まれる内容は様々ですが、注意事項や変更点など業務上共有しておいた方が良い情報はすべて含まれるといってよいでしょう。その場に居合わせれば一言で済む事も、交代制の職場では「申し送り事項」として明確に伝える手段をとります。

「申し送り書」とは”申し送りの書類・書式のこと”

「申し送り書」とは、「申し送り」に関して記載した書類や「申し送り」のためのフォーマットを指して用いられる表現です。「申し送り書に記載した通りです」などの言い回しでも使用されます。

一方で、最近では書面よりも、所定のシステム等を用いて共有することの方が増えているかもしれません。ただし、メール等を使って「申し送り」する場合でも、記載内容・記載項目を統一するのが通例です。フォーマットを統一することで、情報が共有しやすくなります。

「申し送り」のビジネスマナー

社外の人に対して「申し送りしてください」はNG

「申し送り」という単語は、基本的には社内用語です。社外の人に対して”状況を教えてください”の意味で「申し送りしてください」などと使うことはありません。

こちらから連絡する場合も「申し送りします」「この件について○○さんにも申し送りしてください」などとは使用しません。

社外には「ご連絡いたします」「お伝えいたします」を使う

社外に対しては、「○○についてご連絡いたします」や「お手数ですが○○さんにお伝えいただけますか」などのように丁寧な表現で伝えるようにします。

また、社内であっても目上の人に対しては「申し送り」よりも「ご報告(いたします)」などの表現が好まれるケースもあります。

「申し送り」の類語とは?

「申し送り」の類語は「引継ぎ」

「申し送り」と似た意味の単語は、「伝達」や「知らせる」など、情報を伝えることを意味するが挙げられますが、中でもビジネスシーンでよく耳にするのが「引継ぎ」です。

「A社案件について引継ぎをお願いします」「業務の引継ぎを行う」などといった使用ができますが、「申し送り」と「引継ぎ」は厳密には意味が異なります。

「申し送り」と「引き継ぎ」の違いはポスト交代があるかどうか

「申し送り」が”その仕事の進捗等を後任者へと伝達すること”であるのに対し、「引継ぎ」は”前任者の仕事の続きを後任者が行うこと”を意味して使用されることが多いのが特徴です。

そのため「引継ぎ」をした業務はその人(前任者)の手を離れ、後任者が行うことになるというのがポイント。転職や転勤など、主にポスト交代などのシーンで用いられます。

「申し送り」は日々の業務、「引継ぎ」は担当者変更というように使い分けられることが多いでしょう。

「申し送り」の英語訳とは?

「申し送り」は英語で”message”を使って表現できる

「申し送り」を英訳する場合には“message”を使用します。「情報を伝える」という意味では、”pass the word(言葉を伝える)”や”handing over(引き渡す)”を使用することもあります。

例文
  • Do you have any message?(何か申し送り事項はありますか)
  • Pass the word to everyone.(皆に申し送りする)

まとめ

「申し送り」とは、”前任者から後任者へと業務に関する情報を正しく伝えること”を意味します。看護や介護をはじめ交代制勤務がとられる職場で、情報共有のために行われます。「業務を引き継ぐ」という意味も「申し送り」にはありますが、ビジネスシーンでは人事異動などで担当業務から外れる際に「引き継ぐ(引継ぎ)」と使うことが多いでしょう。