「アジテーター」の意味とは?機械・音楽での使い方や類語も解説

大衆を率いる人に対して「アジテーター」という表現を用いることがありますが、「アジテーター」とは具体的にはどういった人を指すのでしょう。本記事では「アジテーター」の意味と政治・機械・音楽など各分野での使い方について詳しく解説しました。また、「アジテーター」の言い換えに使える類語表現も紹介しています。

「アジテーター」とは?

「アジテーター」の意味は”大衆を扇動する人”のこと

「アジテーター」の意味は、“大衆を扇動する人・扇動者”のことです。「扇動(せんどう)」とは、”相手の心をかき乱すなどして自分の思うままに動かそうとすること・人の気持ちを煽り立て、ある行動をするよう仕向けること”という意味です。

由来は英語の「agitator」で、「撹拌機」の意味もある

カタカナで使用される「アジテーター」は、英単語の”agitator”に由来します。「agitator」とは”扇動者・運動員”という意味のほか、”政治的な活動家”という意味も持つ単語です。

また、英単語の「agitate」には”かき混ぜる”という意味があることから、「撹拌機」という意味で”アジテーター(agitator)”と使うこともあります。

「アジテーター」の3つの使い方と例文とは?

政治的な意図に基づいて大衆を指揮する人に使う

「アジテーター」は主に、政治的な意図・イデオロギーを持ち大衆を指揮したり、特定の世論を形成するために動いたりする人を指す表現として用いられます。演説あるいは著作物などによって、多くの人に自分の意図する政治的行動を呼びかけるような人が「アジテーター」と称されます。

たとえば、自らの主義・主張を基に民衆を指揮し、政治を動かした歴史上の偉人などは「アジテーター」の良い例と言えるでしょう。

例文
  • 歴史的な出来事の背景には、隠れたアジテーターがいることも少なくはない。
  • アジテーターに惑わされず、自分の価値観で判断したい。

「アジテーター」の大きな特徴は、”ほかの多くの人に特定の(政治的)行動をとらせること”を目的としている点です。自らが動くだけでなく、大衆を動かすことを目的としていて、そのための刺激を行うのが「アジテーター」ということができます。

音楽では「観客を盛り上げる役割」のこと

音楽分野で「アジテーター」というと、”観客を盛り上げる役割(の人)”を指します。

ライブ会場では観客を煽って会場のボルテージを上げ、一体感を高めるようなシーンがしばしば見受けられますが、その役を担う人が「アジテーター」です。ボーカルがその役を担うケースも少なくありませんが、インスト形式(ボーカルのいない楽器のみで構成される)で、メンバーのひとりが「アジテーター」を担うバンドもあるようです。

建設においては生コンクリートを作る装置・機械を指す

建設分野で「アジテーター」とは、”生コンクリートを撹拌する装置(機械)”のことです。「コンクリートミキサー車」もこの「アジテーター」であり、「アジテーター車」と呼ばれることもあります。

「アジテーター車」と「ミキサー車」の違いは?

「アジテーター」と「ミキサー」という単語には、厳密にはニュアンスが異なります。「ミキサー」は別々のものを混ぜて何か新しいものを作る、という意味を含む点がポイントで、一方の「アジテーター」は”かき混ぜる”という意味で用いられます。

そのため、「コンクリートミキサー車」は厳密には「コンクリートとなる材料(セメント・水など)」を入れて混ぜているものを指し、あらかじめ混ぜられた生コンクリートを固まらないように撹拌しているだけの場合は「アジテーター車」と呼び名が正しいということになります。車の見た目は同じでも、中で行われている作業が異なるのです。

「アジテーター」の類語とは?

「アジテーター」の類語は”音頭取り”や”火付け役”

「アジテーター」の類語には”人の気持ちを煽り、ある行動をとるように仕向ける人”を指す表現が挙げられます。たとえば、「音頭取り・火付け役・立役者」などです。

「音頭取り」とは”先に立って物事をすること(人)”を、「火付け役」は”きっかけを作る人”を意味します。また、「立役者」には”物事の中心となり重要な役割を担う人”という意味があり、こちらも類似表現と言えるでしょう。

「アジテーター」と「リーダー」は異なる

「アジテーター」の多くはその目的達成のために「大衆の前に立ち指揮する」ことも多いため、「アジテーター」と「リーダー」が混同されることがあります。ただし、厳密には両者の役割や影響は大きく異なります。

「リーダー」とは”指導者”のことで「進むべき方向を示し、導く人」を意味します。これに対し「アジテーター」は”心をかき乱すなどして意のままに動かそうとする人”のことです。たとえば、優れた企業のトップを指して「理想のリーダー」と褒め称えることはあっても、「アジテーター」と表現することはまずないでしょう。

まとめ

「アジテーター」には”扇動者・撹拌機”の2通りの意味がありますが、主に政治的な意図を持ち大衆を指揮したり、特定の行動をとらせるために動いたりする人のことを指して「アジテーター」と用いられます。「扇動者」と言い換えるとややネガティブなイメージを持たれがちですが、音楽では「盛り上げる役割を担う人」を指して「アジテーター」と呼ぶなど好意的な使用例もあります。使用分野によって意味合いが変わってくるので、その場に応じた正しい読み取りが求められる単語です。