「ヒステリー」の意味とは?例文と類語「ヒステリック」との違い

感情をあらわにする女性に対し、「ヒステリー」あるいは「ヒステリックだ」ということがありますが、実は「ヒステリー」とは本来は精神病の名称です。本記事では病気の名称としての「ヒステリー」から俗語として用いられる「ヒステリー」や「ヒステリック」について詳しく解説しました。また、類語についても触れています。

「ヒステリー」の意味とは?

「ヒステリー」の意味は”興奮して激しく泣き、怒る様”

「ヒステリー」の意味は、“興奮して感情をおさえきれず、激しく泣く様・怒る様”です。女性が何かに対して激しく怒り泣き叫ぶ様は、「ヒステリー」と称される典型的な状況といえるでしょう。感情のコントロールが効かないほどの病的な興奮状態を意味する単語です。

「ヒステリー」とは元々は精神病の名称だった

「ヒステリー」は俗語としては上記の意味で用いられますが、元々は精神病のひとつであり医学用語でした。現在では「ヒステリー」と呼ばれた精神病は「転換性障害」と「解離性障害」に分類され、診断されています。

症状は運動症状から意識障害・健忘まで様々

かつては「ヒステリー」と称されていた「転換性障害」と「解離性障害」の症状は多岐にわたり、心理的要因による意識障害や身体症状(痛み、運動や知覚の麻痺、発熱、嘔吐など)、健忘(けんぼう、記憶をなくすこと)などの精神症状などが挙げられます。他にも、声が出ないなどの症状もあるようです。

これらの症状からもわかるように、病気としての「ヒステリー(転換性障害と解離性障害)」の症状は、俗語として用いられる「ヒステリー」の意味とは大きく異なります。私たちがよくイメージするような「ヒステリー」な状態は病気のイメージとはイコールではない点は覚えておきましょう。

「ヒステリー」の語源はドイツ語、英語ではない

「ヒステリー」はドイツ語の”Hysterie”に由来します。さらにこのドイツ語の「Hysterie」は、「子宮」を意味する古典ギリシア語から派生した単語と言われています。

なお、英語で「ヒステリー」を意味する単語は”hysteria”です。

「ヒステリー」の使い方と例文とは?

「ヒステリーを起こす」と使うことが多い

会話で用いられる「ヒステリー」は、主に、感情が抑えられず怒りや悲しみがむき出しになる様を指して用いられます。その状況になる様を意味するのが「ヒステリーを起こす」という表現です。「ヒステリー」を略して「ヒスを起こす」と表現したり、「ヒステリー気味だ」と表現したりすることも多いでしょう。

例文
  • 彼女はまたヒステリーを起こしている。
  • ここ最近の妻はヒステリー気味だ。何か気に障ることでもあったのだろうか。

女性に対して使うことが多いが男性でも可

たとえば、男女がもめているシーンでは女性が怒りをあらわにしたり、叫んだりする姿を指して「ヒステリー」と使うことが多いですが、「ヒステリー」という単語は女性だけでなく男性に対しても使うことができます。

男性への使用例では、「怒りを抑えられない様」「些細なことでカッとなり物や人にあたる様」などを指すことが多いでしょう。見た目の様子にこそ差はありますが、「興奮して感情が抑えられない様」を表す際に男女問わず使用することができる表現です。

性格を表す際には「ヒステリック」と表現することも

「ヒステリーを起こしている様」を意味する単語には「ヒステリック」も挙げられます。異常なまでに興奮している様や感情のコントロールが効かず感情がむき出しの様に対して「ヒステリックな物言い」「ヒステリックな態度」などと使うことができます。また、性格や思考、人間性の特徴として「ヒステリック」と使うこともあります。

例文
  • 彼女のヒステリックな性格は何とかしてほしい。
  • 部長はヒステリックな一面があるので気を付けた方がよい。
  • ヒステリックな物言いが気に障る。

「ヒステリー」とされる人の特徴やチェックとは?

感情の起伏が激しく、興奮しやすい人

病的な意味ではない場合の「ヒステリー」は一般に、感情の起伏が激しく、怒りや悲しみなどで興奮状態に陥りやすい人を指すことが多いでしょう。些細なことで急に怒鳴り散らしたり、反対に泣きわめいたりというように、極端な感情表現が多いのも「ヒステリー」とされる人の特徴です。

喜怒哀楽が入れ替わりやすい人

怒りや悲しみ、悔しさなど負の感情によって「ヒステリック」な状況に陥る人が多いようですが、「ヒステリーを起こしやすい人・ヒステリックな人」は喜怒哀楽すべての感情の入れ替わりが激しいのも特徴と言われています。たとえば、さっきまで怒っていたかと思えば、一通り怒鳴り散らした後はすっきりした顔をしている、なんて人もいるかもしれません。

「ヒステリー」の類語とは?

「ヒステリー」と似た意味で用いられるのは”癇癪”

「ヒステリー」と似た意味の表現には、”癇癪(かんしゃく)”が挙げられます。「癇癪」は”ちょっとしたことにも怒りやすい性質”や”声を上げて泣いたり奇声を発したりする様”を表します。「癇癪持ち」の表現でも知られています。似た表現には「癇性(かんしょう)」もありますが、「癇性」には”異常に潔癖な性質”という意味がある点で異なります。

「発狂する」「逆上する」などの言い換えも

「ヒステリーを起こす」は、”発狂する”や”逆上する”などの表現に言いかえることができます。「発狂する」とは、精神に異常をきたすことを意味しますが、俗語としては「怒りなどの激しい感情から異常と思われるような行動をとったり投げやりな態度をとったりする様」を指して用いられることが多いでしょう。

一方、「逆上する」とは”頭に血が上り興奮し取り乱すこと”を意味します。激しい怒りや悲しみによって分別がつかない程興奮する様などを指して用いられる表現です。

まとめ

「ヒステリー」とは、元々は精神病の名称として用いられた単語ですが、現在では俗語として「興奮して激しく泣いたり怒ったりする様」の意味で用いられます。同様の意味を持つ「ヒステリック」という表現もよく耳にするでしょう。なお、病名としての「ヒステリー」は、現在は「転換性障害」と「解離性障害」と診断されますが、その症状は多岐にわたり、一般に用いられる「ヒステリー」の様相とは全く異なります。