「イギリスの4つの国」とは?歴史と国旗・それぞれの特徴も紹介

イギリスは世界でも数少ない女王が君主の連合王国です。「イングランド」「ウェールズ」「スコットランド」「北アイルランド」の4つの国によって成り立っています。

今回はイギリスがなぜ4つの国から成り立つようになったのか、その歴史的背景と、それぞれの国の国旗や特徴を紹介します。

※この記事の担当:Light1(海外在住20年。イギリス在住経験あり。イギリスのビネガー味のフライドポテトが好き)

イギリスにはなぜ4つの国があるのか?

イギリスは4つの国の連合王国

イギリスの4つの国とは、イングランド、ウェールズ、スコットランド、そして北アイルランドです。君主は一人の同君連合で、現在の君主は1952年2月6日から在位している女王エリザベス二世です。

連合国となった歴史的背景

イギリスを構成する最大の島がグレートブリテン島で、「イングランド」「スコットランド」「ウェールズ」の3つの国があります。イングランドは12世紀から近世まで他国への侵略を試みて、13世紀にはイングランドはウェールズを統治下に置きました。

また1707年にはイングランド王国とスコットランド王国が統一して「フレートブリテン王国」が成立します。

1801年にアイルランド王国が加わり「グレートブリテンおよびアイルランド連合王国」が生まれます。アイルランドは1922年に独立したため、残った北アイルランドとともに現在のイギリスになりました。

イギリスの4つの国の国旗とは?

「イングランド」の国旗は白地に赤十字

「イングランド」の国旗は「セント・ジョージ・クロス」と呼ばれる白地に赤十字の旗です。この国旗のデザインは、セント・ジョージすなわち「聖ゲオルギウス」として知られるキリスト教の聖人の象徴です。聖ゲオルギウスはドラゴンを退治したという逸話があります。

「スコットランド」の国旗は青字に斜めの白十字

「スコットランド」の国旗は「セント・アンドリュー・クロス」と呼ばれる青字に斜めの白十字の旗です。

セント・アンドリュー、すなわち「聖アンデレ」は、キリスト教の12使徒のひとりでスコットランドの守護聖人です。X字型の十字架にかけられて殉教したことから、斜め十字が象徴としてデザインされています。

「ウェールズ」の国旗は赤い龍が印象的

「ウェールズ」の国旗は白と緑の下地に赤い龍が印象的な旗です。ウェールズ語で「ア・ドライグ・ゴッホ(赤い龍)」と呼ばれていて、1595年に制定されています。

「北アイルランド」には北アイルランドを表す旗がある

北アイルランドには国旗はありません。しかし白地に斜めの赤十字が印象的な「聖パトリック斜め十字」が北アイルランドを表す旗として使われていてイギリス国旗「ユニオンジャック」にも取り込まれています。

しかし北アイルランドの公共団体ではユニオンジャックを掲げていて、スポーツ団体や一部の政府当局では1953年~1972年まで政府公認だった「アルスター・バナー」という旗が用いられています。

イギリスの国旗は「ユニオンジャック」

4つの国の連合国であるイギリスの国旗は「ユニオンジャック」または「ユニオンフラッグ」と呼ばれています。「イングランド」と「スコットランド」の国旗と、「北アイルランド」を表す「聖パトリック斜め十字」を重ね合わせてデザインされています。

ウェールズの国旗が「ユニオンジャック」に入っていませんが、その理由は13世紀末にウェールズがイングランドの統治下にあったという歴史を踏まえているからだと言われています。

参照:イギリス国旗の意味と歴史とは?名前の由来と似てる国旗も解説

イギリスの4つの国の特徴とは?

「イングランド」は政治と経済の国

グレートブリテン島の約2/3の領土を占める「イングランド」には、イギリス人の80%以上が暮らしています。イングランドは独自の政府や議会を持たないので、イギリス議会が責任を負っています。

イギリス議会はイングランドの首都でありイギリスの首都でもあるロンドンにあります。ロンドンはイギリスを代表する都市ですが、イングランドにはマンチェスターやバーミンガムなどの産業都市もあります。またスポーツにおいては、イングランドはラグビーの発祥地としても有名です。

「スコットランド」はバグパイプの演奏で有名

イギリスの中で二番目に大きいスコットランドは、グレートブリテン島の北側に位置します。首都はエジンバラで、グラスゴーやアバディーンなどの都市部に人口が集中しています。

スコットランドはバグパイプの演奏のほかにも、男性が着る民族衣装のキルトスカートが有名です。またゴルフの発祥の地として知られるセント・アンドリューズはスコットランドの都市です。

「ウェールズ」はケルト文化が息づく国

ウェールズはイングランドの西側にある比較的小さな国で、首都はカーディフです。ケルト語から派生したと言われるウェールズ語は、一部のウェールズ人の間で今でも話されています。世界遺産として登録されているコンウェイ城が有名です。

「北アイルランド」は自然豊かな国

北アイルランドの首都はベルファストで、美しい海岸と緑豊かな田舎町が印象的な国です。

自然豊かな国ですが、内政では落ち着かないことも多く北アイルランド紛争などがありました。現在では落ち着いていますが、イギリスのEU離脱(ブレグジット)が検討され始めて以来、新たな火種が生まれようとしています。

まとめ

イギリスはイングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドによって構成されている連合王国です。連合国ではあるものの、スコットランドの独立機運は継続的にありますし、ブレグジットの影響もあって連合国としての結束が危ぶまれているようにも思われます。

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「難解なワードでもわかりやすく」をモットーに、常識ワードからビジネス用語、時には文化・アート系など、幅広く記事を書かせていただいています。ドイツ在住で2児の母。好きな食べ物はビターチョコレートとナッツ類。