「~を目安とする」「来年度予算の目安を立てる」などに用いられる「目安」にはどういった意味があるのでしょう。本記事では、「目安」の意味・読み方をはじめ、その使い方について例文で解説しました。また、「基準」「目処」など類語との違いや英語訳についても触れています。
「目安」の意味と読み方とは?
「目安」の意味は”目当て・標準・目標”
「目安」の意味は、“目当て・標準・目標”です。「大体このくらい」というようなおおよその目標やひとつの段階、一定の基準を表現する際に「目安」を使うことができます。また、「目安」は厳密な基準ではなく”おおよその見当”を意味する単語であり、「全く見当がつかない」ような事柄に対して使うことはできません。
「目安」の読み方は”めやす”
「目安」の読み方は“めやす”です。会話で耳にする際には「めあす」と聞こえることもありますが、正しくは「めやす」です。「安」には「あん」という読みもあるため混同しやすいのですが、「あす」という読みはありません。
「目安」の使い方と例文とは?
「目安とする」や「目安として」と使う
「目安」は”目安とする”あるいは”目安として~する”といった表現で用いることが多いでしょう。たとえば、「昨年の合格ラインである60点を目安としてクラス分けをする」というと「60点をおおまかな基準としている」というニュアンスになります。しばしば具体的な数字を共に用いられるのも特徴です。
- 全体の80%を目安としてプログラムを作成する。
- 観客数は例年の7割を目安とした方がよいだろう。
- 目安として具体的な数字を挙げてほしい。
「目安をつける」「目安を立てる」もよく使う表現
「目安」は”目安をつける”や”目安を立てる”といった表現でもよく用いられます。「おおよその見当をつける」あるいは「大まかな基準を設定する」という意味にとることができるでしょう。
- ひとり当たり3,000円と目安とつけて店を探す。
- 目安を立てては見たものの、このままでは予定通りとはいかなさそうだ。
- 早くも来年度予算の目安を立てるようにと上からの指示があった。
「目安量」とは”おおよその基準となる量”
「目安量」とは”目安となる量”のことで、もう少し具体的に言うと「おおよその基準量」を表しています。たとえば、食事の栄養バランスや摂取量について、「一定の栄養状態を維持するのに十分な量」という意味で「目安量」というワードを用いることがあります。
同じく「目安○○」という使い方では、「目安時間」という表現をよく耳にします。「目安時間」とは文字通り「目安となる時間」のことで、たとえば組み立てにかかる大体の時間・おおよその時間を示す際に「目安時間:60分」などの表示をすることがあります。
「目安箱」とは”庶民の進言を集めるための投書用の箱”のこと
「目安箱」とは、”庶民の進言を集めるために用意された投書用の箱”のことです。「進言を集める制度・しくみ」を指して「目安箱」ということもあります。
この「目安箱」は、古くは将軍徳川吉宗が享保の改革時に用いた施策のひとつで、一般庶民の意見を幕府が取り入れるために設置された投書箱でした。江戸当時「目安」という単語には「箇条書きにした文書」や「訴状」の意味があったことに由来するとされています。この江戸の「目安箱」の制度がそのまま、現在でも「広く意見を集めるための投書用の箱」の意味で用いられることがあるのです。
「目安」の類語とその違いとは?
「基準」には”守るべき”という意味が加わる
「目安」と似た意味の単語では「基準」が挙げられます。「基準」には”物事の基礎・よりどころとなるもの”という意味があり、守るべきもの・満たべきものというニュアンスがある点が大きな特徴です。
一方の「目安」は”大まかな基準”と言い換えられるように、「基準」よりもやや緩い表現であると言えるでしょう。
「目途(目処)」は”目指すべきもの”である点が違い
「目途(目処)」には、”目指すところ・目当て・見当”などの意味があります。ある事柄に対する見通しや目算を指して用いられる単語です。「再開の目処が立つ」とは”再開の見通しが立つ”という意味になります。
この「目途(目処)」には”目指すべきもの・点”という明確で積極的なニュアンスがある点が大きな特徴で、「目安」は”おおまかな目標”というように柔らかいニュアンスがある点で異なります。
「参考」も似た意味の表現
「目安」と似た意味で用いられる単語には「参考」も挙げられます。「参考」とは、”他人の意見やほかの資料などを引き合わせ、自分の考えを決めるための手がかりとすること”を意味します。たとえば、「昨年の開催人数を参考とする」とは”昨年の人数を手掛かりとする、目安とする”と言い換えることができるでしょう。
「目安」の英語訳とは?
「目安」は英語で”guide”を使う
「目安」を英語で表現する場合には“guide”を使用します。「guide」には名詞で”よりどころ・基準”などの意味があります。たとえば、「guide to use」は”使用の目安”、「That is only a guide.(これは単なる目安です)」などの使い方が可能です。
他にも、「That is just an example.」も”単なる目安です”の和訳が宛てられることがあります。
まとめ
「目安」とは”目当て・標準・目標”などの意味があり、「大まかな基準・大体の目標」を意味する場合に用いられます。「基準」とは違って、緩やかなニュアンスを持つ点が大きな特徴です。なお、「目安」の正しい読み方は”めやす”です。「めあす」と読まないように気を付けましょう。